そして酵母

そして酵母

 ある時期、取り付かれたように酵母を起こしていました。見るもの聞くもの「酵母」と結びつけて、一体どんな酵母になるのかと夢にまで見る想いです。しかし現実は甘くない。「どんな酵母」どころか、全くの大失敗も数限りなく…。
 ここではそんな酵母起こしの奮闘記を一挙公開しました。何かの参考になれば嬉しいです。


*メロン
 プリンスメロンの皮と種をジャム瓶に入れ、水を注いで密封しました。すぐに泡が出始め、期待に胸を大きく膨らませたのもつかの間、あっという間に泡が吹きこぼれ、腐敗臭が・・・。

*バナナ
 バナナ好きの私。この甘い香りで酵母が出来たら、まずマフィンにして、それからバターロール、それからそれから…。
 その期待も虚しく、これも失敗。皮をむいて8等分くらいにしたバナナを瓶に入れ、水を注いで蜂蜜を少々入れました。やがて泡立ってきたのですが、それがなんとも不気味。竹串で混ぜると、ざわざわざわざわザワザワザワザワ…。まるで何かが潜んでいそうな様子なのです、きゃ~。
 それでも甘い香りはするし、味も甘い。そろそろバナナのお姿も消えかかっているところを見計らって漉してみました。すりおろしりんごジュースのような色でした。
 一晩冷蔵庫で寝かせてから中種を作り、腐ってしまったので失敗と判断。あ~、気持ち悪かった。

*冷凍ブルーベリー
 熱を加えると酵母が死ぬのではないかと思ったので、冷凍のままガラスのボールに入れて水を注ぎました。室温に置いているうちにだんだん溶けて粒がバラけたので、蜂蜜を少々。ハワイで天然酵母のパンを焼いている方のHPを見て、この時は密閉しないで大きなビニール袋をかけるだけにしました。
 さて、だんだんいい香りになって色もどんどん紫色に染まっていい感じ。でも泡はほんの少しで、あまり元気がない…。しかも、いつまでたってもアルコール臭がしてこないのがなんとも不安でした。
そして、ある時カビ臭いのに気付いてあえなく断念。

*マンゴー
 皮をむいて、果肉と種だけを瓶に入れて水を注ぎました。蜂蜜を少し入れて密閉するうちに早くも泡が。しかし夜までには泡は消えてしまいます。
 蓋を開けてみるとアルコール臭はなく、水が少し減っています。そこで減った分の水を足し、蜂蜜も少し足してみました。
 2日後、泡が盛んに出始め、いくらかき混ぜても止まらないので冷蔵庫へ。その日のうちに冷蔵庫の中でアルコール臭が出て完成。すぐにエキスを漉し取りました。パンもおいしく焼けました。

*ゆずジャム
 ゆずでマーマレード風のジャムを作ったのに、苦くて誰も食べないので冷蔵庫の中でほったらかしになっていました。
 よし、これで酵母起こしをと、瓶に直接水を入れて密閉。大体2倍に薄めるくらいでした。
 さて、ぶどうジャムで大失敗したのを教訓に、今度こそはゆっくり発酵を待とうと気合を入れたのですが、しかし、待てど暮らせど発泡しない。気の短い私は瓶を振ったり竹串で混ぜるだけでは満足できず、見張りの目を盗んでは(もうひとりの厳しい私がいました)こっそり水を足したり手のひらで包んで温めたり…。
 そして14日後、なんとなく泡が。匂いはそうでもないのに、なめてみると確かにピリッ。キャ~ッ、出来たんじゃないの?漉したい気持ちをぐっとこらえて、まだ泡が出続けているのでひとまず冷蔵庫へ。
 一晩経ってから中種に起こしてパンを焼きましたが、これは本当においしいゆずあんパンになりました。

*バナナ+ご飯
 どうしてもバナナをあきらめきれず、「旬の酵母で作るパンBOOK」という本を参考にしてご飯も加えてみました。腐敗を防ぐというので塩も少々。
 さて、まず前回と同じようにバナナが不気味にざわざわと泡立ってきました。ご飯粒も入っているせいで、不気味さもアップ。これでしばらく様子をみる事にしました。
 そして、ある時とても甘い香り。前回のと違って、もっと甘ったるいバナナのリキュールの香りです。なめてみると塩味。変だけど傷んではいないので、蜂蜜を少々足してまた数日おきました。
瓶の中がますます怪しい雰囲気になって、香りもどんどん甘ったるくなっていきます。もしかして今度こそは…?と期待を大にしたある日、塩味とともに酸っぱい味が!また失敗でした。

*レモンバーム
 大きな葉を選んで瓶に詰め、水を注いで蜂蜜を混ぜました。蓋を開けるたびに、だんだんレモンの香りが!もうそろそろアルコール臭がしてきそうだなと思う頃、なぜか気温ががっくり下がってしまいました。9月頃でしたが。
 根気よく待っていると、やがてうっすらアルコール臭が。ワクワクしながら待っていると、なぜか気温が急上昇。あっという間に水カビが生えてジ・エンド。環境の激変は避けたいものです。

*アップルミント
 いい香りのやわらかい葉を摘んで瓶に詰めました。これにかぶるくらいの水を入れ、蜂蜜を少々。やがてぶくぶく発泡して、だんだん葉の色が抜けてきました。アルコール臭の見極めはなかなか難しい。ミントのピリッとした香りなのかアルコールなのか…。
 葉の色がほとんど茶色になって浮いてしまったところで、泡も消えかかっている事だし思い切って漉してみました。エキスはやや濁っています。冷蔵庫の中で熟成を続けていましたが、なんとも言えないミントのさわやかな香り。試しに少量を中種にしてみました。
2回目の培養も済んで、1日に何度かかき混ぜながら様子をみていました。が、だんだんイヤな匂いに。タバコの灰皿のような感じです。でも種は元気。これをパンにしてもおいしくはなさそうだな~と悩んでいたある日、なんと冷蔵庫の中で腐っているのを発見。これにはかなり参りました。

*冷凍巨峰
 冷凍のブルーベリーを使った時に失敗したので、もう冷凍物は使うまいと思っていました。が、種と皮を除いて冷凍された巨峰は、味も素っ気もなくて食べてもおいしくない。退屈しのぎに酵母でも起こしてみましょ。
 というワケで、全く気軽に挑戦。まずレンジで軽く解凍し(熱くならない程度に)、ジャム瓶に入れて水を加えます。甘いので蜂蜜はほんの少し。これがあっという間に発泡して、2日でエキスの出来上がり。すぐに漉して冷蔵庫で熟成させました。
もともと香りのない素材だったせいか、アルコール臭以外の香りは何もなし。残念でもあり、わかりやすくてよかったとも言えます。これは中種もうまく出来たし、パンは本当においしいものになりました。レーズン酵母も安定したものが出きると言うし、ぶどう一族は偉い!

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