全33件 (33件中 1-33件目)
1
ジュリアン・アッサンジに対するスウェーデンの警察/検察による攻勢の背景にジョージ・W・ブッシュ政権で次席補佐官を務めたカール・ローブの姿が浮かび上がってきた。 ローブはホワイトハウスを離れた2007年からスウェーデンのフレデリック・レインフェルト首相のコンサルタントを務めているのだが、アッサンジを攻撃している「手口」がローブを指し示しているというのである。アッサンジがスウェーデンを訪れたとき、すでにローブの網は張られていた。「飛んで火に入る・・・」ということだ。 ブッシュ・ジュニア政権でローブは検察を「政争の道具」にしようとした。そのひとつの結果が10名近い連邦検察官の解雇である。当初の目論見は、93名の検察官を解雇してブッシュ・ジュニア大統領に忠誠を誓う人間に入れ替えるつもりだったという。 ブッシュ大統領を担いでいたのはキリスト教系カルト集団とネオコン(新保守)で、ともに親イスラエル派である。つまり、ローブの計画は、アメリカの検察システムを親イスラエル派で乗っ取るというものだと言えるだろう。 ローブの犠牲になった政治家として知られているのがドン・シーグルマン。1999年から2003年までアラバマ州知事を務めた「民主党」の政治家である。2002年のアラバマ州知事選では共和党のボブ・ライリーに負けているが、得票率はライリーが49.2%、シーグルマンが48.9%という僅差だった。 そして2004年にシーグルマンは起訴されるのだが、この時は検察側がすぐに取り下げてしまう。それだけ杜撰な起訴だったということだが、2005年にも収賄などの容疑で起訴され、この時はマーク・フラー判事が2006年に懲役7年、罰金5万ドルの判決を言い渡している。 これに対し、2007年には下院司法委員会が興味深い宣誓供述の内容を明らかにした。長年の共和党活動家のダナ・シンプソンの証言だ。ローブのごく近しい人から彼女が聞いた話の内容は、ローブがアラバマ州の検察官2人の協力でシーグルマンを訴えるというものだった。 その親しい人とは、アラバマ州知事ボブ・ライリーの息子、ロブ・ライリー・ジュニア。彼の話によると、2004年後半に父親のボブ・ライリーは旧友のローブと会っている。最初の起訴に失敗したことを受けての相談だったようで、2005年の起訴につながる。ローブの手は検察官だけでなく裁判官にも及んでいたという。シーグルマンに不満を持つ人物を担当判事に据えたとシンプソンは証言している。なお、こうした証言をした直後にシンプソンの家は放火され、「探偵」に監視されるようになった。 検察を使って「政敵」を排除する・・・日本でも実行されているようだ。
2010.12.31
カネと情報の集まるところに権力は存在する。また、権力を握った人間はカネを庶民から吸い上げ、情報を独占しようとする。その情報の一部がWikiLeaksに流れ、インターネットを通じて明らかにされたとなると、権力者にとっては一大事である。アメリカで同サイトのジュリアン・アッサンジを処刑しろと言う声が出てくるのは、それだけ事態が深刻だということだろう。 アメリカ政府は「敵戦闘員」を拉致、監禁、場合によっては獄死させているが、いきなり暗殺することも認めている。大した「民主主義国家」だ。アッサンジも殺されないとは言い切れない。アメリカでは民主的な政策を主張する政治家などが「飛行機事故」でしばしば死んでいる。病死に見せかけた毒殺、交通事故に見せかけた暗殺など手法はいくらでもある。1970年代にはサリンの噴霧も検討されていた。 アメリカの司法当局はアッサンジを「スパイ法」で起訴したい意向のようだが、アッサンジ側は手持ちの情報を対抗手段に使い始めた。12月29日にアッサンジはアル・ジャジーラのインタビューに答える形で、万一の場合、つまり殺されたり長期間拘留されたなら、CIAに協力しているアラブ諸国の政府高官の名前を公表すると語った。中東の「親米国家」の場合、日本と同じように体制そのものがCIAの協力者だろうが、イランやイラクなど「反米」と見られている国々なら、事態は深刻だ。
2010.12.30
今年の1月、アラブ首長国連邦のドバイでハマスの幹部、マームード・アルマボーが暗殺され、その実行犯としてモサド(イスラエルの情報機関)の名前が挙がった。この事件の捜査にアメリカ政府が協力していなかった事実をWikiLeaksの公表した外交文書は明らかにしたと報じられている。 イスラエルのハーレツ紙などによると、ドバイの警察当局がアメリカ大使とヒラリー・クリントン国務長官に対し、暗殺犯が使用したアメリカの銀行のクレジット・カードに関する情報を照会したところ、情報の提供をアメリカ側は拒否し、その一方でイスラエルに協力していたというのである。 振り返ってみると、イスラエルは1948年5月に「建国」した直後から、こうした暗殺を繰り返してきた。(建国前から「テロ」は盛んに行っていたが)その一例が1948年9月の出来事。国際連合調整官を務めていたフォルケ・ベルナドッテ伯(スウェーデン人)と国際連合監視者のアンドレ・セロー大佐(フランス人)がエルサレムの近くで暗殺されたのである。シオニストの非公然武装グループ「レヒ(通称スターン・ギャング)」が実行したのだが、このグループはイスラエル政府とも緊密な関係にあった。ちなみに、後にイスラエルの首相を務めるイツハク・シャミルは当時、レヒの指導者だった。 WikiLeaksの内部告発支援は、情報を庶民が取り戻す助けになった。このことは間違いないのだが、イスラエルや日本関係の文書など不自然に出てこないものもある。こうしたことからWikiLeaksとイスラエル/親イスラエル派との関係を疑う人もいるのだが、同サイトのジュリアン・アッサンジは西側のメディアがそうしたテーマを嫌がったと弁明している。具体的な名前は口にしなかったようだが、多くの人はニューヨーク・タイムズ紙を指していると推測している。 アッサンジによると、これから半年の間に約3700件のイスラエルに関係した文書を公表していくという。日本関係の文書も早く公表してもらいたいところだ。
2010.12.30
ロシアでミハイル・ホドルコフスキーに対する有罪判決が出た。ボリス・エリツィン時代に実行された「私有化」と「規制緩和」によって国の資産を私物化して巨万の富を築くだけでなく、政治も動かしていた「寡頭制支配者」、あるいは「七人のギャング」のひとりだ。 19世紀にアメリカで登場した資本家も私利私欲のためなら何でもしたことから「強盗男爵」と呼ばれているが、ロシアの「寡頭制支配者」に比べれば、マシだったという。つまり、「強盗男爵」は曲がりなりにも投資によって産業を興したが、「寡頭制支配者」は略奪するだけだったというのだ。大多数の国民が極度の貧困化で苦しむ中、「寡頭制支配者」は犯罪組織を背景にして、エリツィンの周辺と手を組むことでロシアを支配した。少なからぬ情報機関の元/現メンバーも雇っていた。 こうした話を明らかにする先駆的な仕事をしたのがポール・クレイブニコフ。アメリカの雑誌、フォーブスの編集者を務めていたのだが、2004年に殺されてしまった。 いわゆる「西側のメディア」によると、ホドルコフスキーはソ連が消滅する前、1987年にメナテプという銀行を創設、1990年代に「私有化」によって二束三文の値段で叩き売られた企業を買収し、巨万の富を得たとされている。 メナテブが「ビジネス」を本格化されたのは1990年代に入ってからのようで、1995年に石油企業ユーコスを手に入れる際にも重要な役割を果たした。この年、CIAはこの銀行に関し、「世界で最も堕落した銀行」と表現している。犯罪組織との緊密な関係も指摘されていた。 このユーコスは次々と別のエネルギー関連企業を飲み込んでいくのだが、それだけでなく1996年にはモスクワ・タイムズやサンクトペテルブルグ・タイムズの大株主になっている。彼らはメディア支配、情報操作の重要性を認識していた。 ソ連時代、ホドルコフスキーはコムソモール(共産主義青年同盟)のリーダーだったのだが、この地位を利用し、ソ連の若い女性を西側の富豪に提供していたという疑惑が語られている。そうした過去が功を奏したのかどうかは知らないが、1989年にホドルコフスキーはソ連の「モデル」をニューヨークへ送り出すビジネスを始めている。当局の「妨害」を排除するため、ホドルコフスキーとKGB(国家保安委員会)との親密な関係が役に立ったとビジネス・パートナーが後に語っている。 エリツィン時代にロシアを支配していた「寡頭制支配者」の中で最も力があったと考えられているのはチェチェン・マフィアと結びついていたボリス・ベレゾフスキー(後にプラトン・エレーニンに改名)だが、この人物はウラジミール・プーチンが大統領になると「風の変化」を感じ取り、ロンドンへ逃亡している。ホドルコフスキーは自分たちの力を過信し、亡命が遅れたために逮捕されたわけである。 ベレゾフスキーがロシア時代から雇っていたアレクサンドル・リトビネンコが放射性物質ポロニウム210で殺されたのは2006年のこと。リトビネンコはロシアの情報機関FSB(連邦保安局)の出身だ。延々と痕跡を残してしまう物質での暗殺ということに疑問を持つ人は少なくないのだが、「西側メディア」は例外だった。 この事件では、リトビネンコが直前に訪問した先が興味深い。殺される数週間前、リトビネンコはイスラエルを訪れ、ユーコスの元幹部レオニド・ネフツーリンと会っているのだ。ベレゾフスキー自身、イスラエルのパスポートを持っていた時期がある。ベレゾフスキーにしろホドルコフスキーにしろ、「ユダヤ系」というのではなく、イスラエルとの具体的なつながりが注目されているのであり、彼らの資金がイスラエルの政治にも少なからぬ影響を及ぼしている可能性が高い。 ちなみに、ホドルコフスキーの同志的な存在だったベレゾフスキーは、ルパート・マードック、マイケル・ミルケン、ニール・ブッシュ、ジェイコブ・ロスチャイルド卿と息子のナット・ロスチャイルドなど「西側」の大物たちと緊密な関係にある。
2010.12.28
案の定と言うべきなのか、マスコミや出版の世界で中国を敵視する報道や著作が目につくようになった。経済成長を続け、教育面でも技術面でも賃金面でも中国に追い抜かれつつあるのが現在の日本。フラストレーションを感じている日本人は増えているだろう。そうした人々に「敵意」と「差別意識」を提供しているのかもしれないが、その背景にはアメリカの好戦派が計画してきた戦略が存在する。ソ連の消滅を受け、そのターゲットを中国に切り替え、東アジアの軍事的な緊張を高めようとしているのである。 「PNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)」というネオコン(親イスラエル派)の組織は、2000年に「アメリカ国防の再構築」というレポートを発表した。21世紀はアメリカが「唯一の超大国」として君臨するという前提で、潜在的なライバルの出現を阻止するという方針を示している。カギを握る地域としてヨーロッパ、中東、そして東アジアを挙げているが、中でも東アジアを重視、「中国の脅威」を強調している。中国を潜在的なライバルと考えているわけだ。 「唯一の超大国」としての地位を永続させるため、アメリカは十分な軍事力を保持する必要があると主張する。軍事力で世界を制圧しつづけるという考えのようで、そうした方針の下で1992年に「DPG(国防計画指針)」が作成された。ディック・チェイニーが国防長官の時代だ。作成に携わったのはI・ルイス・リビー、ポール・ウォルフォウィッツ、ザルマイ・カリルザードというネオコンのグループである。 DPGの内容を1992年3月8日付けのニューヨーク・タイムズ紙が報道すると、大きな問題になった。(日本は別だが)このDPGでもライバルの出現を阻止することが目的になっていて、西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、西南アジア(中東)が重要地域として挙げられている。このDPGは内容が外部に漏れて問題になったため、ソフトなものに書き改めたのものの、考え方が消えたわけではなかった。その延長線上にPNACのレポートもある。 一連の好戦的戦略で中心的な役割を果たしたのがアンドリュー・マーシャル。1949年にシカゴ大学を卒業して国防総省系のシンクタンクRandへ入った。この時から研究テーマは「核戦争」だったという。 1973年にRandの先輩だったジェームズ・シュレジンジャーが国防長官に就任、同省の内部にONA(純評価局)が創設される。マーシャルはシュレジンジャーに引き抜かれる形でONAの初代室長になった。ソ連が消滅して以来、マーシャルは中国を敵視する主張を続けている。 勿論、アメリカ軍の中にはマーシャルと違う見方をする人も少なくなかった。その一例が1997年にレイモンド・フィンチ少佐が「ミリタリー・レビュー」に発表した「将来の戦争の様相」に示されている。正規軍と正規軍が限られた戦場で戦う時代は過ぎ去り、ソマリアやチェチェンでの戦いのように、民間人と区別のつかないゲリラと地球規模で戦う時代に入ったという考えである。つまり、正規軍を想定したミサイル防衛などはナンセンスということだ。実際、イラクやアフガニスタンでもそうしたゲリラ戦が展開され、マーシャルが考えた「高額兵器」での戦争は民間人の犠牲者を増やし、反米感情を高めるだけになっている。 庶民は中国を「取るに足らない」と笑うことで劣等感を解消し、一部の好戦派は「満州国再興」を夢見、大企業は戦争ビジネスで儲けようと算盤をはじいているのかもしれないが、アメリカの好戦派は東アジアの台頭を抑えようとしている。つまり、東アジアが戦乱で廃墟と化すことも、アメリカが衰退することも気にしていない。また、占領地で略奪して儲けようとしている可能性もあるが、次も同じように儲かるとは言えない。
2010.12.27
領海問題で対立している海域や国境近辺で韓国軍は大規模な軍事演習を繰り返し、朝鮮を挑発しているが、23日に朝鮮側は「もし攻撃されたなら、韓国に対して重大な戦いを始める」と警告した。核兵器の使用にも言及している。 これほど露骨な韓国側の挑発行為を黙認している日本の政府やマスコミは、東アジアの軍事的な緊張が高まることを歓迎していると思わざるをえない。その背後には、ジョセフ・ナイを操っているアメリカの好戦派が存在しているのだろう。 アメリカが朝鮮に対する先制攻撃、体制転覆、傀儡政権の樹立という作戦「OPLAN 5027-98」を作成したのは1998年のことである。この年の11月に内容が外部へ漏れているが、当然、朝鮮側は反発した。その翌1999年には、朝鮮の現体制が崩壊した場合を想定したCONPLAN 5029も作成されている。この年、黄海で朝鮮と韓国の艦船が交戦している。 2002年にも黄海で朝鮮と韓国は交戦、その翌年にジョージ・W・ブッシュ政権は空母カール・ビンソンを中心とする艦隊を朝鮮半島に派遣、6機のF-117を韓国に移動させ、グアムにはB-1爆撃機とB-52爆撃機が配備させている。こうした動きに当時の韓国政府やアメリカの旧保守派がブレーキをかけなければ、核戦争に発展しても不思議ではなかった。 5029をアメリカは2005年にOPLANに格上げしようとした、つまり概念計画を作戦計画にして実戦に近づけようとした。当時の韓国政府はこの方針に反対したというが、今ではすでにOPLAN 5029になっているようだ。このほか、朝鮮への核攻撃を想定したCONPLAN 8022も存在している。 この間、戦争の火種を消してきたのはアメリカと韓国のデタント派だった。逆に好戦派としては、金大中政権や盧武鉉政権は邪魔な存在。盧武鉉大統領がスキャンダル攻撃を受けた背景にはこうした事情があった。軍需産業と結びついている李明博が大統領に就任した2008年は、アメリカの好戦派にとって「好機到来」ということになるだろう。 アメリカの好戦派は朝鮮で金正日から金正恩へスムーズにバトンタッチできない可能性を考えている。体制が移行する際、混乱が起こったなら、それを口実の攻撃し、制圧してしまおうというのだろう。韓国軍の軍事演習は朝鮮の体制に対する揺さぶりと考えるべきかもしれない。アメリカが朝鮮に対する挑発的な計画を本格化させるのは1998年頃からだということも忘れてはならない。 アメリカのネオコンはイラク攻撃の前、すぐに方がつくと言っていたが、実際は泥沼。おそらく、ネオコンも泥沼化は予想していたはず。戦乱でイスラム世界が疲弊することはネオコンと緊密な関係にあるイスラエルにとって悪くはない。戦費負担でアメリカが衰退することも気にしていない。1990年代にネオコンは東アジアを「潜在的ライバル」と位置づけて警戒、ライバルへ成長する前に潰すべきだとしていた。「第2次朝鮮戦争」で朝鮮半島だけでなく、中国や日本が戦争に巻き込まれることも織り込み済みだろう。
2010.12.23
韓国軍は木曜日に冬季としては最大規模の軍事演習を朝鮮との国境から20キロメートルの地域で実施するという。領海問題で対立している海域での演習は、ロシア、中国、そしてアメリカの一部勢力による働きかけで軍事的緊張がエスカレートすることなく終わったが、こうした展開を快く思わない勢力、つまり軍事的な緊張を高めたい勢力が再度、挑発するつもりのようだ。相手が話し合いに応じる姿勢を見せると強引に潰してしまう・・・イラク攻撃前と似ている。
2010.12.22
20日に韓国軍は午後2時30分(現地時間)から90分間にわたって軍事演習を実施したという。昨年から軍事的な緊張が急速に高まっている中で行われた今回の演習は、特別な意味を持つ演習だった。しかも、その背景にアメリカの朝鮮に対する攻撃と体制転覆を目指す計画が存在する。領海問題で揉めている場所での演習というだけで十分に挑発的なのだが、今回は特に挑発度が高い。 日本のマスコミはアメリカのイラク攻撃前と同じで、一方の言い分を丸呑みしている。イラクの時はアメリカ、今回は韓国だが、事実をチェックするならば、韓国側の主張に怪しいところが少なくないことがわかる。(本コラムでは何度も指摘したので、ここでは割愛する。) にもかかわらず、朝鮮軍は報復攻撃しなかった。しかもAFPによると、ビル・リチャードソン・ニューメキシコ州知事に対してIAEA(国際原子力機関)の査察官を受け入れると朝鮮側は表明、その数時間後、朝鮮軍の幹部は「卑劣な軍事的挑発全てに報復する必要を感じない」と語ったようだ。抑制された演習だったという印象を受けることも含め、朝鮮側の姿勢軟化には何らかの交渉を感じさせる。 核問題で何らかの進展があった可能性が高いほか、軍事委員会を創設し、朝鮮と韓国やアメリカとの間にホットラインを設置することにもなったようだ。 ところで、李明博大統領は領海問題で揉めている場所でも軍事演習する権利があると主張しているようだ。ということは、竹島(独島)で自衛隊が軍事演習することを韓国は容認している?
2010.12.20
朝鮮半島の軍事的な緊張を緩和させることを目的として、国連の安全保障理事会は日曜日に緊急の討議を行った。緊急討議を要請したロシアは韓国と朝鮮、両国に自重を求めているのだが、アメリカ、イギリス、フランス、そして日本が反対して合意には至らず、韓国軍は演習を開始したようだ。 日本の政府やマスコミは「朝鮮側の挑発」を軍事的な緊張の原因だと宣伝しているが、少なくとも1998年以降、特に昨年来の出来事をチェックするならば、韓国や日本の挑発と言わざるをえない。 本コラムでは何度も書いているので食傷気味かもしれないが、1998年頃からアメリカの好戦派はOPLAN 5027-98、OPLAN 5029、CONPLAN 8022を作成して朝鮮への攻撃と体制転覆を目指してきた。こうした動きにブレーキをかけてきたのがアメリカの言わば「デタント派」や朝鮮との友好的な関係を築こうとした韓国の金大中政権や盧武鉉政権だったが、盧武鉉政権はスキャンダル攻勢で崩壊、その後継大統領には軍需産業と密接な関係が指摘されている李明博大統領が就任し、それから急に朝鮮半島は焦臭くなり始めた。 一方、アメリカでは今年5月28日にデニス・ブレアがDNI(国家情報長官)を辞任、8月9日にはジェームズ・クラッパーが就任した。ブレアは太平洋軍の司令官だった時代にジョージ・W・ブッシュ大統領の「中国脅威論」を公然と否定した人物なのに対し、クラッパーはネオコンに近いと言われ、「朝鮮が韓国を攻撃する」と上院の公聴会で発言していた人物。クラッパーはイラクへの先制攻撃を実現するため、イラクに「大量破壊兵器」があると宣伝していたひとりとしても知られている。勿論、全く根拠のない話だった。 今年3月に韓国軍の哨戒艦が軍事演習「フォール・イーグル」の最中に沈没している。その原因は朝鮮軍の魚雷だと韓国政府が主張し始めたのは今年5月中旬のこと。韓国では選挙が控えていたので、この日程と「朝鮮犯行説」を結びつけて考える人は少なくないのだが、アメリカ側の事情も考慮する必要があるだろう。DNIの交代劇はホワイトハウスで好戦派が主導権を握ったことを示唆しているからである。 アメリカには、アメリカの衰退など意に介さず、戦争をしたがっている勢力が存在している。「軍産複合体」では表現しきれないほど、そのネットワークは広がっている。そうした流れの中、韓国では軍需産業と結びついている大統領が登場し、日本では政変が繰り広げられている。現段階では、ビル・リチャードソン・ニューメキシコ州知事の交渉に期待するしかなさそうだ。
2010.12.20
コソボにおいて武器、麻薬、そして臓器の密売で稼いでいる犯罪組織のトップはハシム・サチ首相だとする報告書を欧州会議が発表したが、臓器の取り引きの黒幕はトルコ系イスラエル人のモシェ・ハレルだとする話をガーディアン紙は伝えた。イスラエル人は密売臓器の重要な顧客だと言われている。 昨年12月、スウェーデンの新聞がイスラエルの臓器移植に関する衝撃的な話を掲載している。テル・アビブ近くにあるアブ・カビル法医学研究所の元所長、エフダ・ヒスの証言として、イスラエルが臓器を調達するためにパレスチナ人を殺したと報じたのだ。 コソボ独立にはアメリカやイギリスの親イスラエル派、つまりネオコンやトニー・ブレアなどが深く関与しているわけで、コソボとイスラエルとの間に臓器密売のネットワークが存在しても不思議ではない。
2010.12.19
軍事的な緊張の高まっている朝鮮半島の問題を討議するため、国連安全保障理事会の緊急の会合を開くようにロシアのビタリー・チュルキン国連大使は求め、19日に非公開で開催されることになった。(世界時で16時から予定) そのほか、中国政府も緊張緩和のために韓国と朝鮮に働きかけ、16日にはアメリカから非公式の使節としてビル・リチャードソン・ニューメキシコ州知事が朝鮮に入り、やはり軍事的な緊張を緩和するために動いている。17日にロシアは韓国とアメリカに対して軍事演習の中止を呼びかけ、リチャードソン知事は朝鮮に対して報復行動にでないよう説得してもいる。 ところが、「平和憲法」を持つ日本は積極的に動いていない。いや、動いていないどころか好戦的な勢力に同調し、緊張緩和に興味はなさそうだ。 こうした動きに対し、韓国軍は領海問題で対立している場所での軍事演習を強行すると主張、朝鮮側は報復すると宣言している。ただ、こうした発言はあるものの、韓国は現段階では演習を自重している。 アメリカには軍事的な緊張を高めたいと考えている勢力だけでなく、緊張を緩和させたいと思っている勢力も存在している。戦争を臨まない勢力の意向を受けて韓国も様子を見ているのかもしれない。 万一、開戦になった場合、OPLAN 5027-98、OPLAN 5029、CONPLAN 8022、そして菅直人首相の発言などの存在を考えると、日米韓の合同軍は朝鮮を攻撃し、場合によっては核兵器を使用して「金王国」を崩壊させ、アメリカの傀儡国家を作ろうとする可能性がある。日本国内には「満州国」の再建を考えているグループもいそうだ。 勿論、戦争が泥沼化してアメリカの崩壊が早まる可能性もある。「イスラエル第一」のネオコンにとって、そうした展開は願ってもないことかもしれない。
2010.12.19
16日に非公式の使節として朝鮮入りしたビル・リチャードソン・ニューメキシコ州知事は朝鮮半島の情勢をきわめて危険と表現した。リチャードソンの訪問目的は朝鮮半島の軍事的な緊張を緩和することにあり、韓国の軍事演習に反応しないようにと朝鮮側を説得しようと試みたものの、反応は芳しくなかったようだ。つまり、朝鮮側は演習が実施されれば報復するという姿勢を崩していない。 アフガニスタンやイラクへの先制攻撃にしろ、小沢一郎の一件にしろ、日本のマスコミが支配層のプロパガンダ機関にすぎず、「報道」の内容が信用できないということを忘れてはならない。
2010.12.18
12月18日から21日にかけて、韓国軍は延坪島の南西海域で軍事演習を予定している。朝鮮と領海をめぐって対立している場所で軍事演習を繰り返すということは、挑発行為以外の何ものでもない。今回も朝鮮側は報復すると警告、韓国側は報復攻撃には空爆で応じると発言している。しかも、この演習には「国連軍」、要するにアメリカ軍が立ち会うという。 1990年代の後半からアメリカでは「第2次朝鮮戦争」を引き起こそうとしている勢力、つまりネオコン(親イスラエル派)が活発に動いている。もし、第2次朝鮮戦争が勃発すれば、米中戦争に発展する可能性を指摘する人もいる。日米合同軍事演習がこうした動きと無関係だとは思えない。 ともかく、韓国軍が新たな軍事演習を計画したことにより、東アジアの軍事的な緊張はさらに高まった。こうした状況を中国は嫌っているが、17日にはロシアがアメリカと韓国に対し、演習をやめるように申し入れている。 日本のマスコミは「北朝鮮の挑発行為」を宣伝するが、事実関係をたどれば、最初は日米、韓国で李明博が大統領になってからは日米韓の3国が挑発を繰り返していることがわかる。 東アジア情勢を考える上で、大きな節目になったのは1998年。この年、アメリカでは金正日体制を倒し、韓国が主導する形で新しい国を作るという「OPLAN 5027-98」が作成されている。 その翌年には、朝鮮の国内が混乱して金体制が崩壊した場合を想定して「CONPLAN 5029」(後にOPLANになったという)も作成、さらに2003年には核攻撃も含む攻撃計画「CONPLAN 8022」も仕上げられている。勿論、自衛隊もこうした計画に組み込まれている。 2008年に韓国で李政権が誕生すると、一気に東アジアの軍事的な緊張が高まる。まず2009年11月の韓国海軍の艦艇と朝鮮の警備艇が交戦しているのだが、その前月に朝鮮側は韓国の「領海侵犯」を非難していた。WikiLeaksが公表した外交文書によると、韓国政府は10月に朝鮮が話し合いに戻ってくると判断していた。つまり、朝鮮側から軍事衝突を仕掛ける状況ではなかった可能性が高いのである。 実は、1999年6月、そして2006年6月にも韓国と朝鮮の艦艇が交戦している。金正日体制を倒し、韓国が主導する形で新しい国を作るという計画を作成した翌年、金体制が崩壊した場合を想定した攻撃計画を考えた年に交戦があったことを「偶然」で片づけることはできない。 そして今年3月、領海をめぐって対立している海域で軍事演習中だった韓国の哨戒艦が爆発、沈没している。当初、国防大臣も国家情報院長も朝鮮が関与した証拠はないと発表していたのだが、5月になると、韓国政府は沈没の原因を朝鮮軍の魚雷攻撃にあると主張し始める。 この主張には疑問が多く、例えば、アメリカのロサンゼルス・タイムズ紙も韓国政府の説明に疑問を投げかける記事を掲載した。さらに、韓国駐在大使を務めた元CIA高官のドナルド・グレッグも疑問の声を上げている。ハンギョレ新聞のインタビューでグレッグは、韓国政府がロシアの調査を妨害し、ロシア側は不満を抱いているとする話を紹介、さらに中国政府が調査チームを派遣しなかった事情を中国政府高官の話として語っている。 こうしたとき、韓国の李政権への援護射撃になるような事件が起こった。9月に石垣海上保安部が漁業協定を無視する形で中国の漁船を尖閣諸島の付近で取り締まり、漁船の船長を「公務執行妨害」で逮捕しているのだ。 そして11月に韓国軍は大規模な軍事演習を領海問題の海域で強行、韓国での報道によると、この演習には沖縄に司令部のある第31MEU(海兵隊遠征隊)が韓国駐留の第7空軍と参加したという。そして延坪島への砲撃があったわけである。 日米韓の支配層には東アジアでの軍事的な緊張を高めるだけでなく、朝鮮半島での戦争、さらに中国との戦争も視野に入れて動いたいる勢力が存在していることは間違いないだろう。そうした勢力に菅直人政権は取り込まれている。
2010.12.17
60億ドルというLNG(液化天然ガス)プラントの建設にからんだ汚職事件でディック・チェイニー前副大統領はナイジェリアで告発されていたのだが、ハリーバートンが2億5000万ドルを支払うことを条件に、告発は取り下げられた。この交渉ではジョージ・H・W・ブッシュ(シニア)とジェームズ・ベーカーという「旧保守」の大物が石油利権を守る目的で動いたと報じられている。この件ではハリーバートンの子会社だったKBRは昨年に有罪を認めている。 言うまでもなく、政治とビジネスは深く結びついている。チェイニー、ブッシュ・シニア、ベーカーたちに限った話ではない。今年7月にOMB(行政管理予算局)の局長を辞任したピーター・オルツァグが近く、シティー・グループの幹部に就任するのだという。現在、アメリカや日本では富裕層の税負担を軽減し、庶民から税金を搾り取ろうとしているわけだが、そうした政策を促進させるためにオルツァグの「転職」は有効なのだろう。 カネ儲けのためなら政策を動かすことも珍しくはない。アメリカや日本の産業界は儲けの邪魔になる環境規制に反対で、「地球温暖化」など絶対に認めない。事実かどうかなどということは関係ない。カネ儲けの邪魔だから環境保護に反対するわけである。 本コラムではすでに書いたことだが、石油産業で巨万の富を築いたチャールズ・コッチとデイビッド・コッチの兄弟は、2005年に発効してしまった「京都議定書」を潰すために多額の資金を投じている。つまり、「温暖化否定説」はこの時からメディアにとって、カネになるネタになった。コッチ兄弟は2008年の大統領選挙でジョン・マケイン候補を支援している。 コッチ兄弟は環境問題だけに興味を持っているわけではない。税金を徹底的に引き下げて富裕層の負担を軽くし、社会福祉を最低限のレベルに引き下げて貧困層を苦しめ、企業への規制、特に環境規制をなくしていくべきだと考え、健康保険制度の改革に反対している。大気汚染に対して口うるさい気象学を否定している。当然、気候変動に関する規制にも反対している。 テレビ、新聞、雑誌などは、金づるのスポンサーの意向に添った「報道」をする。日本では銀行や自動車会社に対して特に臆病だ。融資を止められれば倒産してしまうし、巨額の広告料を支払っている企業の機嫌を損ねるわけにはいかない。アメリカではFoxニューズのビル・サモン副社長がスタッフに対し、気候変動に対する疑問を広めるように放送しろと指示するe-mailを出している。COP16(気候変動枠組み条約第16回締約国会議)で日本が京都議定書の延長に反対すると叫び続けたのも、アメリカや日本の産業界の意向を受けてのことだろう。
2010.12.16
内部告発支援サイトWikiLeaksに対する攻撃が息切れしている。秘密文書や映像などを公開されたアメリカ政府は「スパイ法」の適用を考え、エリート層では「処刑」の声も出ているのだが、そうした怒りに同調する声は北アメリカの外には出ていない。アメリカの「属国」と嘲笑されている日本ですら、マスコミによる「消極的攻撃」にとどまり、アメリカにとって都合の悪い情報を隠すのが精一杯だ。 本コラムではすでに書いたことだが、WikiLeaksの創設者ジュリアン・アッサンジに対する容疑は「コンドームをめぐるトラブル」で、スウェーデン当局も最初は「合意」だったとしている。 しかも、「被害者」のひとり、アンナ・アーディンは「不実な男」に対する「法的な復讐」を主張するフェミニストであり、彼女のいとこはアフガニスタン駐留スウェーデン軍の副官を務めた人物。CIAの影響下にある「反カストロ団体」ともむすびついていることも明らかにされている。 少なからぬフェミニストからも批判されているアーディンは現在、スウェーデンを離れてヨルダン川西岸にいると伝えられている。スウェーデン検察にとって重要な「被害者」が消えてしまったことになる。 イギリスのロンドンでアッサンジは逮捕されたが、イギリスの裁判所は保釈を認める判断を示した。スウェーデン検察は決定を不服だとして抗告したようだが、イギリス側に証拠を提示できない状態らしい。保釈が認められる可能性は高いだろう。 しかし、実際に保釈されるかどうかは微妙なところだともいう。24万ポンドだという保釈金の問題があるからだ。現在、WikiLeaksには世界各地から支援を受けているのだが、PayPal、Visa、マスターカードなどがWikiLeaksに関係した資金をブロックした形になっている。金融機関がアッサンジの保釈を阻止している形だ。 WikiLeaksは年明け後、金融関係の文書を公表するとも言われているので、カード会社はホワイトハウス以外のところからも圧力がかかっている可能性がある。
2010.12.15
コソボでは武器、麻薬、そして臓器の密売が横行している。こうした取り引きで稼いでいる犯罪グループのトップがハシム・サチ首相だとする報告書を欧州会議が発表した。こうした取り引きが行われていたことを「西側諸国」、とくにアメリカは熟知していたはずだが、そうしたことには目をつぶってきた。 言うまでもなく、コソボはユーゴスラビアの一部だったわけだが、1991年12月にソ連が消滅する約半年前から国は解体されていく。つまり、1991年6月にスロベニアとクロアチアが、9月にはマケドニアが、翌年の3月にはボスニア・ヘルツェゴビナが相次いで独立を宣言、4月にはセルビアとモンテネグロがユーゴスラビア連邦共和国を結成した。そのモンテネグロも2006年に独立を宣言、そしてコソボが2008年2月にセルビアからの独立を宣言した。 こうしたユーゴスラビアの解体で中心的役割を果たしたのがアメリカのジョセフ・ディオガーディ下院議員やミラ・ラディエボリッチ・バラッタ。バラッタはロバート・ドール元上院議員の側近だった人物で、ディオガーディとドールは緊密な関係にあった。 解体作業が進んでいた頃、ドール議員の周辺には非公式顧問としてリチャード・パール、ポール・ウォルフォウィッツ、ジーン・カークパトリックといった親イスラエル派のネオコン(新保守)の大物がいた。要するに、親イスラエル勢力はコソボ独立を後押ししていたわけだ。 コソボの独立を主張するアルバニア系住民は武装集団KLA(UCK、コソボ解放軍)を組織、サチもKLAの中核メンバーだった。西側メディアはKLAを「善玉」として描いてきが、その資金源が麻薬だということは早い段階から指摘されていた。アフガニスタンから流れてきたヘロインをヨーロッパに密輸、その当時、ヨーロッパに持ち込まれていたヘロインの約40%がコソボを通過していたとされている。 KLAは麻薬以外にも扱っていたものがある。旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷の元検察官が著書の中で明らかにしているが、コソボ紛争中にKLAの指導者らが約300名のセルビア人捕虜から「新鮮」な状態で、つまり生きた人間から臓器を摘出し、売っていたのだ。 サチの前に首相を務めていたアギム・チェクはKLAの最高指揮官だったが、クロアチアの出身。クロアチアでは1995年からは「民族浄化」を目的とする「嵐作戦」が展開され、10万人とも20万人とも言われるセルビア人が追い出された。その際に虐殺事件も起こしているのだが、この嵐作戦で中心的な役割を果たしたとされる人物のひとりがチェクだったとされている。 そうした中、1999年3月にNATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃、5月には中国大使館が爆撃されて3名が死亡している。勿論、これを「誤爆」だと考えることはできない。そこに中国の大使館があることは熟知していたはずで、4月の時点でNATOは同大使館を攻撃禁止目標から外していた。にもかかわらず、攻撃されたのである。
2010.12.15
WikiLeaksの創設者、ジュリアン・アッサンジを性的なトラブルで告訴したアンナ・アーディンは現在、スウェーデンを離れている。キリスト教系グループのボランティアとしてヨルダン川西岸へ移動したようなのだ。 アッサンジの弁護団に対して証拠の開示をしていない(できない)状態の中、肝心の人物がいなくなったスウェーデン当局は、アッサンジを起訴することが難しいという見方も出てきている。 ただ、それでもアメリカの司法当局は「スパイ法」でアッサンジを起訴する意向だと言われている。この法律はアメリカが第1次世界大戦に参戦した直後、1917年6月に制定されたもので、同大戦に反対する反戦活動家の逮捕に利用されたという。罰金1万ドルと懲役20年という重い罰則が決められている。アフガニスタンやイラクで戦争を推進、さらにイランや朝鮮なども次の攻撃目標にしているアメリカ政府としては、どうしても戦争の障害になる人物、団体を排除したいのかもしれない。 すでに「愛国者法」でファシズム化を推進しているアメリカとしては、「スパイ法」という亡霊のような法律が生き返っても不思議ではないが、アメリカの評判がさらに落ちることになるのは間違いない。(日本は別だろうが。) アメリカに朝鮮半島での戦争を想定した計画が存在することは本コラムでも指摘してきた。1990年代の後半から中身が攻撃的になり、今では核兵器の使用も排除されていない。こうした流れに日本を巻き込む上で重要な役割を果たしたのが「ナイ・レポート」であり、そのレポートに怒りを爆発させたのが沖縄の人々だった。 1990年頃からアメリカの軍事戦略にとって沖縄の基地はかつてほどの意味をなくし、すでに「要石」とは呼べない状況にある。基地を存続させているのは日本側の事情が大きいということだ。つまり、日本政府がその気になれば、基地返還は可能である。 沖縄の基地が「献上品」として魅力がなくなったため、アメリカの歓心を買うために日本の支配層は2000億円を超す「思いやり予算」を出すことにしたのだろう。が、それでもアメリカは満足せず、今では人を出せ、つまり血を流せという態度だ。その延長線上に今回の日米合同軍事演習はある。日本側から約3万4000名が動員され、艦艇40隻、航空機250機が参加したと報道されている。規模だけでなく、自衛隊の果たす役割も質的に変化してしまった。 韓国の李明博大統領は朝鮮半島の統一について繰り返し、言及しているのだが、彼の行動や背景を考えると、軍事制圧を想定しているとしか思えない。その基礎になる軍事計画が5027、5029、8022だ。この計画に日本も参加するというデモンストレーションが今回の日米合同軍事演習だったと言えるだろう。
2010.12.11
国の保有する情報は基本的に主権者、つまり国民のものであり、一部のエリートが独占することは許されない。ところが、権力者は情報を支配することで国民を操ってきた。日本は典型的だ。その仕組みを揺るがせているのが「告発支援サイト」のWikiLeaksである。このサイトを今回はこれまでと違う視点から眺めてみたい。 アメリカの軍や国務省の秘密文書にしても、WikiLeaks自身が告発しているわけではない。別に内部告発者が存在し、その告発者が持ち出した文書を公表しているだけであり、誰が情報を持ち込むかはWikiLeaksの関知できない範囲の話。サイト側ができることは、公開するかしないかを判断するだけである。したがって、「ジュリアン・アッサンジは何者か」を議論する意味は薄く、問題は「告発者」だとも言える。 純粋に権力犯罪、あるいは権力の暗部を告発したいという人もいるだろうが、ゲーム感覚で情報を流そうとする人がいても不思議ではない。それだけでなく、情報が漏れることを前提として、権力サイドが「偽情報」を潜り込ませておく可能性、あるいは権力抗争で攻撃の武器に使うというケースもありえる。 アメリカ政府の秘密文書が大量に漏れたという事件は、1980年代にもあった。海軍情報部で働いていたジョナサン・ポラードという人物が、アメリカの秘密情報をイスラエルへ流したのである。ポラードは1985年11月に逮捕されて終身刑が言い渡されている。 ポラードは「反テロリズム警報センター(ATAC)」にあった彼のコンピュータからコンピュータ・システムに侵入、合計すると約50万ページの文書を渡していたという。その中には、ソ連の戦略兵器システムに関する年次報告、アメリカの外交官が通信に使う暗号、アメリカのスパイ衛星が集めたデータ、米ソの極秘の航空機や部品のリストなどが含まれていた。この経験をアメリカ政府は生かしていなかったということだろう。 ポラード事件が発覚した原因はアメリカとイスラエル、両国内部の権力抗争にあった。この件に限らず、権力抗争は権力システムの暗部を明るみに出すことが少なくない。この時の抗争は「イラン・コントラ事件」も露見させている。 WikiLeaksに秘密文書を公開されたアメリカの国務省は現在、パレスチナ問題で苦境に立たされている。当事者であるイスラエルは先住のアラブ系住民を差別し、ヨルダン川西岸やガザ地区では軍隊を投入した弾圧、破壊、殺戮を繰り返し、巨大壁の建設や「入植」という形で「アパルトヘイト政策」を推進、EUからも批判されている。米国務省としても和平の「形」を作らざるをえないのだが、イスラエルの抵抗にあって身動きできない状態だ。この点に限るならば、WikiLeaksの外交文書公開はイスラエルにとって悪くはなかったと言えるかもしれない。 現在、イスラエル政府やアメリカの親イスラエル派は、ポラードの釈放をアメリカ政府へ強く求めている。
2010.12.09
ナイジェリアの反汚職局は12月7日、リチャード・チェイニー元米副大統領を告発したと伝えられている。犯罪容疑は本コラムですでに指摘しているので割愛するが、コンドームの使用を巡るトラブルで国際手配され、ロンドンで逮捕されたジュリアン・アッサンジよりメディアはチェイニーのケースを大きく扱わなければ不自然。ナイジェリアの事件も「政治的な動機」とする説があるものの、これはアッサンジでも同じこと。本コラムでも書いたように、アッサンジを告発した女性はCIAと関係している可能性が高く、世界的に見ると、この事実は広く知られるようになってきた。
2010.12.08
ACLU(アメリカ市民的自由連合)はバラク・オバマ大統領のアメリカ人暗殺命令を違法だと訴えていたが、連邦地裁のジョン・ベイツ判事は12月7日、この訴えを退けた。 かつてCIAの内部には、アメリカ支配層の利権にとって邪魔な各国要人を暗殺する計画、「ZRライフル」が存在したが、今回はアメリカ人をターゲットにすることを公然と認めている。 アメリカ大統領、あるいは大統領を操っている人たちが「国家にとって脅威だ」と考えれば、いつ、どこで、誰でも殺せる道が開かれたとも言える。当然、アメリカにとって都合の悪い日本人を殺すこともアメリカでは「合法」ということになる。中には、「そんなこと、やっているだろう」と言いたい人もいるだろうが、「合法」という「お墨付き」が出た意味は重い。
2010.12.08
戦争犯罪をはじめ、自分たちが続けてきた悪事が暴かれるのを防ごうと躍起になっているアメリカ政府。そんな政府が来年5月、UNESCO(国連教育科学文化機関)の「世界報道自由デー」でホストを務め、「21世紀のメディア」について議論するのだという。稀に見る醜悪な「ブラック・ジョーク」だ。 だいたい権力者は言論を弾圧するものだが、影響力の大きさにおいてアメリカは他国の比ではない。21世紀のメディアはアメリカの支配者にとって都合の良い情報だけを流すべきだとでも宣言するつもりだろうか? 現在、イギリスの裁判所はWikiLeaksの創設者とされているジュリアン・アッサンジの保釈を拒否している。異例のことらしいが、それだけアメリカの支配層は危機感を持っているのだろう。 しかし、アッサンジを逮捕してもWikiLeaksの活動は続いている。そこで矛先はメディアに向けられ、国土安全保障委員会の委員長を務めている親イスラエル派のジョー・リーバーマン上院議員はニューヨーク・タイムズ紙をスパイ防止法で調べるべきだと叫んでいる。同紙はアメリカ政府と協力関係にあり、秘密文書に関する報道内容が事実に反していると批判されているのだが、それでも満足できないのか、見せかけにすぎないのか・・・いずれにしろ、アメリカの支配層は常軌を逸している。
2010.12.08
スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)に逮捕されたジュリアン・アッサンジにかけられた容疑は、コンドームを巡る諍いのほか、一夜を一緒に過ごした後に女性へ電話せず、女性にバスのチケット代を支払わせ、同じ週にふたりの女性とセックスしたということだとされている。 こうした主張をアッサンジ側は正しくないとしているので、現段階では真偽不明なのだが、もし女性の訴えが正確だったとしても、国際手配するような話なのかと疑問に持つ人は少なくないだろう。(日本には「推定有罪」の迷惑防止条例があるので、スウェーデンを笑うことはできない。) 本コラムではすでに書いたことだが、「被害者」とされる女性はアンナ・アーディンとソフィア・ウィレンのふたり。すでに指摘したように、アーディンは「不実な男」に対する「法的な復讐」を主張するフェミニストであり、彼女のいとこ、マチアス・アーディンはスウェーデン軍の中佐で、アフガニスタン駐留軍の副官を務めた人物だということだ。もうひとりの女性、ウィレンに関する情報は少ないが、アーディンと親しくしていたことは知られている。 伝えられるところによると、アーディンが講義しているとき、自分を見ずにノートを読んでいた男子学生を「セクシャル・ハラスメント」だと申し立てたことがある。学生が謝罪に訪れるとこれも「セクシャル・ハラスメント」だと再度、申し立てたという。 実は、彼女には注目すべき別の側面がある。アメリカから資金援助を受けている反カストロ/反コミュニストの団体と結びつき、「Revista de Asignaturas Cubanas」という定期刊行物でカストロを罵倒してきたのだ。 この刊行物を出しているグループはCIA系の「自由キューバ同盟」と関係があり、彼女自身も国家転覆活動を理由にしてキューバを追放された過去がある。彼女がキューバで接触していた「フェミニスト団体」は、CIA系のテロリスト、ルイス・ポサダと友好的な関係にあるとも言われている。
2010.12.07
12月7日9時30分(GMT)、ロンドンでWikiLeaksの創設者、ジュリアン・アッサンジを逮捕したとスコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)は発表した。アッサンジは容疑を否定している。 Amazonが同サイトとのサーバー契約を予告なしに破棄、カンパを扱っていたPayPalも契約を解除し、サイトには大規模なサイバー攻撃が仕掛けられていたのだが、数百のミラー・サイトがつくられただけでなく、フランスではWikiLeaksのサイトを閉鎖するようにという政府の命令を裁判所が取り消していた。アメリカの支配層に時間的な余裕はなくなっている。この逮捕に対し、WikiLeaks側が「毒薬」という切り札を発動させるのかどうか・・・アメリカ政府はギャンブルに出たと言えるだろう。
2010.12.07
1980年12月8日10時50分頃、ジョン・レノンはニューヨークのダコタ・ハウス前で、当時25歳だったマーク・チャップマンに射殺された。搬送先のルーズベルト病院で死亡が宣告されたのは午後11時すぎのことである。 弁護士でジャーナリストでもあるフェントン・ブレスラーによると、当時、チャップマンはキリスト教原理主義から大きな影響を受け、トッド・ラングレンのファンだったという。 少年時代のチャップマンはビートルズのファンだったようだが、熱烈というにはほど遠く、「14歳から24歳にいたる10年間、ジョン・レノンに対して特別の関心を持っていなかった」と地方検事のアレン・サリバンは語っている。 メディアは今でもチャップマンの枕詞として「レノンのファン」と書いているが、その根拠は見あたらない。誰かの言い始めた「伝説」がメディアの世界で自己増殖しているということだろう。 レノンが暗殺される前年、1979年は激動の年だった。中米ニカラグアでアメリアやイスラエルと緊密な関係にあったソモサ家の独裁体制が崩壊、中東ではイランの親米親イスラエル王朝が倒されている。1983年からアメリカのパーシングIIと巡航ミサイルを加盟5カ国に順次配備するとNATO理事会が決定したのもこの年だ。 いわば、軍需ビジネスが新たなマーケットをつくりだしたわけだが、この決定は反核運動を活発化させる。1981年10月に西ドイツのボンで開かれた反核集会には、約30万人が集まっている。チャップマンに暗殺されなければ、レノンが反核運動に加わった可能性はきわめて高く、より大規模な運動に発展したことが予想できる。 1981年、アメリカでは好戦派のロナルド・レーガンが大統領に就任している。つまり、当選したのはレノンが殺される約1カ月前のことだ。レーガンはキリスト教原理主義の熱心な信者で、「ハルマゲドン」が近いと本気で信じていた。大韓航空007便が航路を大幅に逸脱し、ソ連の重要軍事施設の上空を飛行した末に撃墜されたのは1983年9月1日のこと。その翌月にはNATO軍が大規模な軍事演習を予定し、ソ連は「西側」が全面核戦争を仕掛けてくる可能性が高まったと考え、警報を発令している。
2010.12.07
WikiLeaksに対するアメリカ政府の締め付けが厳しくなり、Amazonはサーバー契約を一方的に破棄し、PayPalも同サイトとの契約を解除して支払いの仲介業務を放棄している。激しいサイバー攻撃を受けているが、その黒幕がアメリカ政府だと多くの人が思っているだろう。が、それで勝負がついたとは言えない状態だ。すでにAmazonボイコットが広がり、サイバー攻撃に反撃する形で数百のミラー・サイトが作られ、文書を見られる状態になっている。 倫理的な問題からなのか、法律的な問題からなのか、あるいは政治的な問題からなのかは不明だが、WikiLeaksはフィルターにかけてから文書を流している。万一、創設者のジュリアン・アッサンジが殺されたり、逮捕されたりした場合、「毒薬」、つまりこれまで公表していない衝撃的な情報を明らかにすると宣言している。 メディアが「レイプ容疑」と報じている事件の中身はコンドームの使用を巡るトラブルだったとイギリスのデイリー・ミラー紙は8月29日付けの紙面で書いている。その後の報道を見ても、この記事は正しいようだ。スウェーデンではこれも「レイプ」の範疇に入るのかもしれないが、アメリカや日本のメディアは違うイメージで報道している。 女性は性病への感染や妊娠を心配し、病気の検査をアッサンジにさせるためだとして、ひとりの女性が警察に相談したという。警察は「臨時検事」マリア・ケルストランドに逮捕令状を出させ、同時にタブロイド紙エクスプレッセンへリーク、20日の遅くに指名手配されるのだが、その翌日には主任検事のエバ・フィンが令状を証拠不十分ということで取り消してしまった。 主任検事の決定を9月1日に翻したのが検事局長のマリアンヌ・ナイだが、アッサンジの弁護士はナイの決定には政治家が介在していると示唆している。逮捕令状が出される経過を不自然と感じる人は多いようで、12月5日にナイはAFPに対し、「政治的ではない」と弁明している。それだけ風当たりがきついのだろう。 アメリカの警察や情報機関は「ハニー・トラップ」を使い、権力に刃向かう人間を攻撃することが少なくない。彼らの手口のひとつだ。アメリカのイラク戦争を批判していたスコット・リッターも警察の罠にはまり、逮捕されている。十分に注意する必要があるわけだ。場合によっては完全なでっち上げもあるが。
2010.12.06
アメリカは所詮、「テロ帝国」にすぎない。そんなことは、歴史を紐解けば自ずとわかることだ。拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』では、その一端をできるだけ具体的に明らかにしたつもりである。WikiLeaksが公表した秘密文書は、そうしたアメリカの実態を「再確認」させてくれたが、次に公表が予定されている金融関連の文書数万点は、巨大金融機関の腐敗を明らかにする内容だという。アメリカの支配層は、この公表をどうしても阻止して文書を回収する必要があるだろう。 WikiLeaksの活動はメディア、特にアメリカ系メディアの体たらく(日本のマスコミは、はなから期待されていない)も再確認させてくれた。言論の自由も「体制」という枠組みの中で許されているだけであり、体制の実態、支配者たちが知られたくない暗部に立ち入ることは絶対に許されない。そうした支配システムに挑戦するのが本来のジャーナリストなわけなのだが、1970年代から気骨あるジャーナリストは急ピッチで粛清され、メディアのプロパガンダ色が強まってきた。そうした中、出現したのがWikiLeaksであり、メディアを支配することで安心していた権力者は動揺し、自分たちの本性を露わにしている。 AmazonがWikiLeaksとのサーバー契約を何の予告もなく解消したのに続き、PayPalも同サイトとの契約を解除し、寄付がサイト側に渡らない状態になった。インターネットでの文書公開を困難にするため、大規模なサイバー攻撃も展開されている。アメリカの情報機関の影響下にあるGoogleなどとは違い、WikiLeaksはアメリカにとって都合の悪い情報を流す存在。攻撃の黒幕がアメリカ政府だと考えても不思議ではない。 考えてみれば、アメリカへヨーロッパから移住してきた人々は、先住民を虐殺して生活の場を奪い、隣国を侵略して富を奪い、その触手はフィリピンから中国、そして中東へと伸びた。そうした政策に批判的な大統領もいたが、ひとりは就任の直前に銃撃事件に巻き込まれ、軍事クーデターで倒されそうになった。もうひとりは実際に暗殺されている。 第2次世界大戦の前は海兵隊、戦後は破壊工作でターゲット国の体制を自分たちに都合良く作り替えてきた。ロナルド・レーガン時代にグレナダへ軍事侵攻しているが、その後は再び軍隊が表舞台に出てきた。ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク・・・アメリカ軍、あるいはアメリカが主導する軍隊は偽情報で人々を騙しながら、相次いで主権国家を先制攻撃している。その結果、言うまでもなく、多くの「非戦闘員」が殺害されているわけだが、その責任の一端がメディアにあることは明白である。
2010.12.05
今回、WikiLeaksが公開した秘密文書の中に、イスラエルの現状に関するものが含まれていた。昨年5月15日付けの文書がそれで、ロシア系の犯罪組織がイスラエルで影響力を強めているという内容だという。(ここにきてWikiLeaksへの攻撃が激しくなり、原文の確認が難しくなりつつある。) 本コラムでは繰り返し書いていることだが、イスラエルへ「ロシア系犯罪組織」が入り込む大きな切っ掛けは、ボリス・エリツィンからウラジミール・プーチンへ大統領が交代したことが大きい。 エリツィン本人の資質だけでなく、健康上の問題を抱えたこともあって、彼の時代には国の資産が一部の人間に二束三文で叩き売られ、富が集中するという現象が起こった。その時に掲げられた標語が「規制緩和」や「私有化」である。中曽根康弘や小泉純一郎が推進した政策と基本的に同じだが、より露骨なものだったようだ。 その時期に「大富豪」となったひとりがボリス・ベレゾフスキー。少なくとも一時期はイスラエルのパスポートを持っていた人物だ。 エリツィン時代に巨万の富を得た人物はベレゾフスキーのほかにもいるが、その多くがイスラエル系だった。彼らの「ビジネス」には情報機関や特殊部隊のメンバー(「元」だけでなく、「現」も含まれていた)が参加、犯罪組織ともつながる荒っぽいものだったという。ベレゾフスキーは「チェチェン・マフィア」との関係が指摘されている。 エリツィン時代、こうした大富豪がロシアを支配していたのだが、プーチンはロシア政府が「ビジネス」をコントロールしようとする。そうした政策を受け入れず、プーチンに戦いを挑んだ富豪たちは逮捕されるか、亡命を余儀なくされた。彼らが亡命先として選んだ場所がイギリスのロンドンとイスラエルだったのである。ベレゾフスキーはロンドンに逃亡し、プラトン・エレーニンへ改名してる。 亡命後もベレゾフスキーは大きな影響力を持ち、メディアの世界に君臨するルパート・マードック、かつて「ジャンク・ボンド」の販売に絡んで有罪判決を受けたマイケル・ミルケンと親しいことは有名。また、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の弟であるニール・ブッシュと共同でビジネスを展開している。それだけでなく、ジェイコブ・ロスチャイルド卿と息子のナット・ロスチャイルドとも緊密な関係にある。 ベレゾフスキーがロシア時代に雇っていたアレクサンドル・リトビネンコもFSB(連邦保安庁)で働いていた人物。2006年に放射性物質「ポロニウム210」が原因で急死、何者かに殺されたと考えられている。このリトビネンコは死の数週間前、ロシアの石油会社ユーコスの元幹部レオニド・ネフツーリンと会うためにイスラエルを訪問している。イスラエルに逃げていたユーコスの元幹部はほかにもいる。 ロシアの影響下にある南オセチアに奇襲攻撃をしかけたグルジアにイスラエルが大きな影響力を持っていることも本コラムでは指摘済み。グルジアのミヘイル・サーカシビリ大統領が対話を訴えてから約8時間後、深夜近くになって、グルジア軍はミサイルで南オセチアの首都ツヒンヴァリやロシア停戦監視部隊の基地を攻撃、多数の市民が犠牲になっている。 軍事攻撃に先立ち、イスラエルの軍事専門家がグルジアの特殊部隊を訓練し、重火器や電子機器、戦車などを提供したとロシア軍のアナトリー・ノゴビチン将軍は主張している。しかも、グルジア政府のダビト・ケゼラシビリ国防大臣は元イスラエル人で流暢なヘブライ語を話すことができる。また別の閣僚、テムル・ヤコバシビリも流暢なヘブライ語を話せるという。 この時点ではロシアとイスラエルは対立関係にあったように見えるが、今年になって両国が接近しているとする話も流れている。亡命者のネットワークが橋渡し役を演じている可能性もあるだろう。 ネオコン的な見方の文書が多いことから、WikiLeaksはイスラエル、あるいは親イスラエル派のネオコンと結びついていると推測する人もいるが、この説が正しいならば、親イスラエル派として有名なジョー・リーバーマン上院議員やサラ・ペイリン元アラスカ州知事らの「怒り」は演技だということになるだろう。現時点では、アメリカの外交官がイスラエルの情報に頼っているのか、親イスラエル派の外交官が多いと理解するべきかもしれない。
2010.12.03
WikiLeaksの活動を必死に妨害しているアメリカ政府の意向を受けたのかどうかは知らないが、同サイトのジュリアン・アッサンジを「レイプ容疑」でスウェーデン検察が指名手配したのは今年8月のことだった。まず警察が「臨時検事」マリア・ケルストランドに逮捕令状を出させ、同時にタブロイド紙エクスプレッセンへリーク、同紙はセンセーショナルに報道し、検察が20日の遅くに指名手配するのだが、その翌日には主任検事のエバ・フィンが令状を取り消してしまう。証拠不十分という理由だった。その決定を9月1日に翻したのが検事局長のマリアンヌ・ナイ。そして捜査が再開され、全ての捜査資料がメディアに流された。 この事件で「被害者」とされているのはアンナ・アーディンとソフィア・ウィレン。両者とも「レイプされた」と訴えているわけでなく、合意の上でセックスを始めたが最終的には合意でなくなったということのようだ。つまり、ひとりの女性はアッサンジがコンドームの破れた後もセックスを続けたと主張、もうひとりはコンドームが使用できる状態でなくなったので止めるように言ったが、止めなかったとしている。アッサンジはこうした訴えを正確でないと主張しているようだが、ふたりしかいない場所での出来事であり、真相は不明だ。 このケースでは、アーディンの背景も注目されている。アーディンはウプサラ大学の研究学生で、男に対する「法的な復讐」を主張するフェミニストだと言われている。今回の件でふたりの女性が関係していることから明らかなように、アッサンジは少なくともふたりの女性と性的な関係を結んでいる。アーディンは「二股」を許さない。 また、アンナのいとこ、マチアス・アーディンの存在も話題になっている。彼はスウェーデン軍の中佐で、アフガニスタンで活動しているスウェーデン軍の副官を務めているという。ふたりの女性が「仕掛け人」でなかったとしても、アンナの話をマチアスが聞いたなら、WikiLeaksを攻撃する格好の材料だと思っても不思議ではない。 報道が正しいならば、国際刑事警察機構はコンドームを巡るトラブルの当事者を虐殺、戦争犯罪、テロ行為なみの重大犯罪として扱っていることになる。スウェーデンを旅行したり、または同国で住むような場合、男は「品行方正」な禁欲生活を送る方が安全かもしれない。
2010.12.03
ジョージ・W・ブッシュ政権の副大統領、リチャード・チェイニーが汚職事件で起訴されるようだ。逮捕令状が出され、「国際手配」される見通しだという。事件は、60億ドルというLNG(液化天然ガス)プラントの建設にからみ、1億8000万ドルの賄賂がナイジェリアで支払われたというものだ。昨年、ハリーバートン(1995年から2000年にかけてチェイニーがCEOを務めている)の子会社だったKBRは有罪を認めている。また、ハリーバートンとKBRは昨年、この事件で5億7900万ドルの罰金を支払ったという。 この件は12月1日にビジネス・ウィークが報じ、いくつかのメディアが報道内容を確認する記事を流している。ハリーバートンやKBRのほか、ヨーロッパの巨大石油関連企業のテクニプ、イタリアのエニ、サイペム建設(エニの一部門)の重役も起訴されるという。その中にチェイニーも含まれているわけだ。チェイニーの部下だったアルバート・スタンレー(KBRの元CEO)は2008年に有罪を認めている。 WikiLeaksのジュリアン・アッサンジも「国際手配」され、イギリスの警察は逮捕すると言われているが、こちらの件では逮捕/起訴する側が多くの人々から非難されることになるだろう。
2010.12.03
現代社会において、権力の基盤が情報支配にあることをWikiLeaksの一件は再確認させてくれた。アメリカの政治家、例えば共和党のリック・サントラムなどはWikiLeaksの創設者ジュリアン・アッサンジを「テロリスト」と呼び、サラ・ペイリン元アラスカ州知事は彼を「反アメリカ」(アッサンジはオーストラリア人)と呼んでアル・カイダやタリバンのリーダーになぞらえている。マイク・ハッカビー元アーカンソー知事などは処刑すべきだと叫んでいる。カナダ首相の顧問を務めた経験のあるカルガリ大学のトム・フラナガン教授も無人機などを使ってアッサンジを「消せ」と言っている。勿論、その矛先は機密情報を外部に流したとされるブラドレー・マニング特技兵にも向けられている。 また、親イスラエル派のジョー・リーバーマン上院議員などはアマゾンに圧力を加えてWikiLeaksとのサーバー契約を打ち切らせたと報じられている。イギリスのガーディアン紙によると、リーバーマン議員のスタッフが同社を訪れて24時間後に、顧客であるWikiLeaksに対して何の予告もなく「プラグを抜いた」のである。現在、WikiLeaksはサーバーをスウェーデンのバンホフ・インターナショナルに移して活動を続けている。 企業の脅し方はたくさんある。インターネットやコンピュータの分野で巨大化した企業の多くはアメリカの情報機関と協力関係にあるわけで、そうした結びつきを利用することもできるだろう。 リーバーマン議員らが具体的にどのようなことを言ったのか、したのかは知らないが、アマゾンが震え上がったことは確かだ。ただ、WikiLeaksを追い出したことによって、別の問題に同社は直面している。アマゾンは書籍の販売を中心に据えて巨大化したインターネット・ビジネスであり、その顧客は「言論の自由」に対して敏感。早くも、アマゾン・ボイコットが始まっている。このボイコットで経営が傾かないとしても、大きな傷を残したことは間違いない。 アメリカの支配層がWikiLeaksの秘密文書公表に怒っている最大の理由は、おそらく自分たちが侵略、略奪、拉致、拷問、殺害などを繰り返してきた「犯罪者」だということを明らかにしたからだろう。前からわかっていることだが、改めて彼ら自身の文書という形で外に出ると、やはり衝撃は大きい。 WikiLeaksをアメリカの権力者がこれだけ激しく攻撃しているということは、メディアに全く脅威を感じてこなかったことの裏返しでもある。ノーム・チョムスキーが言ったように、メディアは所詮、プロパガンダ機関にすぎないということだろう。
2010.12.02
アメリカの軍需産業にとって「ミサイル防衛」の売り込みは死活問題になっている。すでに多額の投資をしている分野だけに、世界情勢が変化して「ゲリラ戦」の時代になろうと、技術的に未熟であろうと、とにかく世界中に売りさばいて資金を回収し、儲けなければならない。そのミサイル防衛で日本がアメリカの重要なパートナーだということを再認識させる文書をWikiLeaksが公表している。是非、自身の目で確認していただきたい。 東アジアの軍事的な緊張を高める上で重要な役割を果たしている韓国の李明博大統領も戦争ビジネスに深く関係していることは本コラムで書いた通りで、彼が1992年まで社長を務めていた現代建設が属していた現代グループ(現在は再編されたことになっている)は、アメリカのロッキード・マーチンが設計した弾道弾迎撃ミサイル(ABM)とレーダーシステムを搭載した駆逐艦を建造している。日米韓は戦争で儲ける「死のトライアングル」のようにも見える。
2010.12.02
ニューヨーク・タイムズ紙は11月28日、イランが朝鮮からミサイル19基を入手したと報じた。WikiLeaksが公表した外交文書に基づくとしている。そのミサイルとは、ロシアが設計した「R-27」をベースに開発した「BM-25」で、朝鮮とイランは一般に信じられている以上に緊密な関係にあることを示唆しているとその記事は主張する。 ミサイルの能力などはアメリカの「専門家」が解説しているのだが、この報道に疑惑の目が向けられている。この情報を「根拠がない」とロシアの専門家が明確に否定していることを、ピーター・ハートがFAIRで、また歴史家でジャーナリストでもあるガレス・ポーターが明らかにしている。 実は、ニューヨーク・タイムズ紙にWikiLeaksは外交文書を事前に渡していない。同紙はイギリスのガーディアン紙から提供を受けたのである。ニューヨーク・タイムズ紙は信用するに値しないとWikiLeaksは判断したわけだ。 そのニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、現在、イランが保有しているミサイルの最大射程距離は1200マイル(約1900キロメートル)だが、BM-25は2000マイル(約3200キロメートル)で、ベルリンも射程圏内に入るというのだ。つまり、西ヨーロッパにとってイランのミサイルは脅威になったわけで、「ミサイル防衛」は必要だと言いたいのだろう。 WikiLeaksが公表した今年2月24日付けの外交文書にこの情報は記載されているというのだが、オバマ政権の要請を受け、同紙は関連する文書の内容は明らかにしないという。勿論、同紙が隠しても、問題の文書を読むことができる。 ニューヨーク・タイムズ紙では触れていないが、ロシアの専門家はBM-25の存在に懐疑的である。存在を示す証拠、根拠がないということである。発射実験が行われた形跡もないとロシア側は主張、アメリカ側に対して証拠を示すように求めたのだが、写真もなければ確たる証拠も示されなかった。 朝鮮でのパレードに登場したとアメリカ側は言うのだが、ロシアの専門家は全く別のミサイルだと答えている。アメリカ側の主張に従うと、発射実験もしていないミサイルをイランは大金を払って買ったことになるだろう。イラクの「大量破壊兵器」を彷彿とさせる話だ。少なくとも、現在のところ、BM-25が実際に存在するとは言えない。 第2次世界大戦後、アメリカでは情報操作を目的とした仕組み(一般に「モッキンバード」と呼ばれている)がアレン・ダレスたちを中心にして作られた。中心グループの中にはワシントン・ポスト紙のオーナーだったフィリップ・グラハムも含まれ、ニューヨーク・タイムズ紙も協力関係にあった。1970年代にはCIAが多くの「ジャーナリスト」を雇っていたことも明らかにされている。ニューヨーク・タイムズ紙はベトナム戦争の実態をまとめた秘密報告「ペンタゴン・ペーパーズ」を明らかにしたことでも知られているが、その時も全文は掲載せず、権力者に最大限の配慮をしていた。
2010.12.01
イランでふたりの核物理学者が11月29日、シャヒド・ベヘシティ大学の近くで襲撃された。そのうちのひとりマジド・シャーリアリが死亡、別の場所で襲われたフェレイドーン・アッバシは負傷し、それぞれ一緒にいた妻も負傷している。両ケースとも、近づいてきたオートバイの一団がターゲットの自動車に爆発物を取り付け、数秒後に爆発したという。 アッバシは核計画に関わっている国防省の高官。シャーリアリも核関連の仕事をしていて、「SESAME(中東における実験科学及び応用のための放射光国際センター)」にも参加していた。今年1月にはSESAMEに参加していた別のイラン人科学者、マッスード・アリ・モハッマディもテヘランの自宅前で、同じように殺されている。 SESAMEはユネスコが賛助する機関として設立され、ヨルダンに国際共同研究施設がある。加盟国はイランのほか、ヨルダン、バーレーン、エジプト、キプロス、パキスタン、トルコ、そしてイスラエルとパレスチナ自治政府で、そのほかに日本を含む11カ国がオブザーバーとして加わっている。 襲撃したのはアメリカやイスラエルの情報機関だとイラン側は主張している。確かに両国はイランの核開発を激しく非難、先制攻撃も辞さないと主張してきたわけで、「ありそうな話」だが、決定的な証拠が示されたわけではない。 WikiLeaksが公開した文書によると、サウジ・アラビアもイランを攻撃するように求めてきたらしいが、やはり最も強くイラン攻撃を望んできたのはイスラエルだ。アメリカの親イスラエル派(ネオコン)がイラクからサダム・フセインを排除すべきだと叫んでいた1990年代、イスラエルは「イランの脅威」を盛んに宣伝していた。 言うまでもなく、「脅威」の根拠としていたのが核兵器開発だ。AIPACのようなイスラエル・ロビーはホワイトハウスにも圧力を加え、ビル・クリントン大統領はイランに対する「経済制裁」を実行した。そして、ジョージ・W・ブッシュ政権になるとイランの体制を転覆させる動きを強め、メディアのプロパガンダも激しくなった。その過程でイラン政府を攻撃するため、「誤訳」が利用されたことは本コラムでも指摘した通りだ。言うまでもなく、イランの選挙にも介入した。 アメリカにしろイスラエルにしろ、イラン攻撃の目的が「民主化」にあるわけでないことは、イラクやアフガニスタンの例を見ても明らかである。そもそも、イスラエルはアラブ系住民を人間扱いしない「人種差別国家」であり、白人政権下の南アフリカよりも徹底した「アパルトヘイト」を実行している国。またアメリカは憲法を機能停止にしてファシズム化を進めている。 アメリカを後ろ盾とするイラク政府が目障りな勢力を一掃するため、拉致、拷問、殺害を繰り返してきたことはすでに報告されているが、WikiLeaksの公表した文書でも確認された。 イラク占領に備えてアメリカの特殊部隊はイスラエルで訓練を受け、そうしたアメリカ軍の下にイラク政府の「特殊警察部隊」が編成され、暴虐の限りを尽くしてきたのである。部族間、宗派間の対立という構図は占領軍の宣伝にすぎず、実際は占領軍とレジスタンスの戦いが続いていると少なからぬジャーナリストによって明らかにされている。 こうした実態が明るみに出ることを恐れ、アメリカはメディア支配を強化してきた。日本のマスコミは、アメリカよりも明確にプロパガンダ機関化しているため、アメリカや日本の政府にとって都合の悪い話は伝わらない。その情報支配システムがWikiLeaksによって揺らいでいる。 前原誠司外相は情報の「所有権」が政府にあると考え、秘密文書の公開を「言語道断」だと記者会見で言い放ったらしいが、この発言だけでも彼が民主的な人物でないことが明確になった。国の情報は主権者である国民のものなのであり、政府や官僚の勝手にできるものではないのである。この鉄則は「民主主義国家」であるための絶対条件であり、この鉄則が守られていない国を「民主主義国家」と呼ぶことはできない。民主化の第一歩は、権力者による情報支配システムの破壊である。
2010.12.01
全33件 (33件中 1-33件目)
1

![]()