《櫻井ジャーナル》

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2011.12.06
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カテゴリ: カテゴリ未分類
ロシアで下院選

 プーチンがロシア国民から支持された最大の理由は、ボリス・エリツィン時代の新自由主義的な政治経済政策に対する憎悪にある。エリツィン政権時代、クレムリンと結びついた一部の勢力は「規制緩和」や「私有化」によって巨万の富を手にしたが、その一方で大多数の庶民は極度の貧困化に苦しんだことを国民はまだ忘れていないようだ。

 オリガーク(寡占支配者)とも呼ばれているエリツィン時代に誕生した大富豪は単なるカネ儲け集団でなく、特殊部隊や情報機関の現/元メンバーを雇い、犯罪組織の様相を呈していた。中でも、チェチェン・マフィアとの関係が指摘されているボリス・ベレゾフスキー(後にプラトン・エレーニンと改名)は有名だ。

 こうしたオリガークの背後には西側の巨大資本が存在、ロシア乗っ取りに成功したように見えたのだが、それをひっくり返したのがKGB(国家保安委員会)の幹部だったプーチンだ。抗争に敗れたオリガークたちはロンドンやイスラエルへ逃げ、その莫大な財産を元に様々な活動を開始する。

 自らの権力を過信したオリガークのひとりで巨大石油企業のユーコスを支配していたミハイル・ホドルコフスキーは逮捕され、有罪の判決を受けている。西側の銀行や投資会社の「カーライル・グループ」から巨額の資金を得ていたユーコスの総帥が摘発されたことに西側の支配層は反発するが、そうした圧力を跳ね返す力がプーチンにはあった。ロシア国民がプーチンに期待した理由はそこにある。

 ちなみに、カーライル・グループとは悪名高きファンドで、ジェームズ・ベイカー元米国務長官をはじめ、フランク・カールッチ元米国防長官、ジョン・メジャー元英首相、ジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領などが幹部として名を連ねていた。

 ホドルコフスキーの原動力は権力やカネに対する欲望。ソ連が消滅する前、彼はコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者だったのだが、その時代にKGBの人脈を使い、ロシアの若い女性を西側の金持ちに売り飛ばしていた疑いがあるという。その時に西側の金持ちとコネクションができたということだ。

 ソ連消滅後にメナテプ銀行を設立するが、その腐敗ぶりは有名で、CIAから「世界で最も腐敗した銀行のひとつ」と表現されていた。その頃、ホドルコフスキーはユーコスを買収、中小の石油会社を呑み込んでいる。



 ホドルコフスキーとは違ってベレゾフスキーはロンドンに逃亡、そこから反プーチン・キャンペーンを展開した。亡命後、ベレゾフスキーはロスチャイルド卿、息子のナット・ロスチャイルド、多くのメディアを支配しているルパート・マードック、ジョージ・W・ブッシュ前米大統領の弟でS&Lスキャンダルでも名前が出たニール・ブッシュ、「ジャンク・ボンド」で有名なマイケル・ミルケンらと親しくなっている。

 エリツィン時代からベレゾフスキーのボディー・ガードをしていた人物の中にアレクサンドル・リトビネンコなる人物がいた。ロシアの情報機関FSB(連邦保安局)に勤務しながら、ベレゾフスキーのボディー・ガードをしていたという。このリトビネンコが2006年にポロニウム210で毒殺されている。

 通常、毒殺には検出が難しい物質が使われるのだが、この場合は痕跡が残る方法が採用された。要するに不自然な暗殺劇だった。リトビネンコのケースでは、痕跡を残すことに意味があったと考えるべきだろう。

 リトビネンコは殺される数週間前、ユーコスの元幹部レオニド・ネフツーリンらとイスラエルで会っている。イスラエルには少なからぬオリガーク人脈が逃げ込んでいて、ベレゾフスキーもイスラエルの市民権を持っていた時期がある。

 やはりイスラエルの市民権を持つオリガーク、アルカディ・ガイダマクはイスラエルで政治の世界にも進出した。2007年には「社会正義党」を結成し、リクードのベンジャミン・ネタニヤフと同盟関係にあり、ガザでの破壊と殺戮に加担していることになるだろう。

 実は、ロシアで権力基盤を築いたプーチンはオリガークとも手を組むようになった。権力の論理からすると合理的なのかもしれないが、庶民にしてみると不愉快だろう。今回の下院選でプーチンの率いる政党が議席を減らしたのは当然ということである。





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最終更新日  2011.12.06 12:25:47


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