クックの部屋

クックの部屋

からっぽの家




俺の住んでいる家の同じ界隈には
冷たく放置されたままの1軒の空家がある
住人たちがそこを出て行ったのは
もうずいぶん昔のことさ
引越しの時に何もかも持ち出し
彼らはもうそこに帰ってくることはなかった
窓ガラスはすべてこなごなに割れて
まるで幽霊みたいなその家を
近所の連中は住み人なき家
からっぽの家と呼んでいる

かっては笑い声が響き渡り
かってはたくさんの夢をはぐくんだ家
彼らはそんな家をあっさり捨ててしまったのか?
それがどんなことかわかっているのだろうか?
誰かの胸が痛んだのか、それとも
誰かが誰かに間違ったことをしたのだろうか?

ペンキは渇きひびわれて
壁からこぼれ落ち
俺が立っていたポーチには古新聞の山
生い茂る雑草はドアの高さまで伸び
煙突やたんすは鳥達の巣や遊び場になっていた
どうやらもうこのからっぽの家に
帰ってくる人間は誰一人いないようなのだ

だからもし君が誰かいい人を見つけ
家族を持ったなら
どんなに銀や金を積まれても
簡単にそれを手放さないでくれ
そうさ俺は人生の宝のすべてを持っているんだ
彼らは良いもの、素晴らしいものさ
そして彼らはどんな家もしょせん
それが木でできていることを教えてくれる
家の素晴らしさを決めるのは
屋根の作りでも扉の豪華さでもない
家の中に愛があればその家は大御殿
でも愛がなければ・・・

それはただの家、からっぽの家
愛がなければそれはただの家
住む人がいない、からっぽの家なんだ

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