クックの部屋

クックの部屋

働いてみて思ったこと




最終的に卒業するまでそこで働いた。
しかし、就職活動終了後ある資格を受けるために半年間ほど休んだ。
その間、知り合いに頼まれた中学3年生の家庭教師のアルバイトをしたが、これは大変だった。
私が中学の問題があまりわからないのと、その女の子は小学生の問題がわからなかったのだ。
途中でその子の親に何度も辞めさせてくれと言ったが、なんとかお願いしますと言われてしまった。
その子はソロバンが物凄くできるのだが、分数が何度教えてもわからなかった。
どうなるか心配だったが、商業高校に推薦で合格して一流企業に就職し、この前結婚退職して、もう子供がいる。
いまだにその子と親からはたまに連絡があり、あの時教えてもらったから良かったと言われるが私は何もしていない。
その子は本当は出来るのだが、恐らくやり方がまずかっただけだろう。

半年後に店長から電話があり、戻ってきてくれとの事だった。
これは嬉しかったが、私はあまり調理をさせてもらえなくなってしまった。
新人もだいぶ慣れてきたみたいで、忙しい時は手伝ったが、あまり歓迎されなかった。
ある時その人が私に「料理長から手伝ってもらうな、自分でやれ」と言われたことを話してくれた。
私が仕事をすればその新人より出来るが、私は所詮アルバイトであり、新人が仕事を覚える機会が減るという考えらしい。
残念だがしょうがない。また洗い場に戻ってしまった。

恐らく料理長は私の扱いに困ったのだろう。私は別の店に移された。
その店は小さい店舗で調理場は調理師二人で、交代に出勤し夜は1人しかいなかった。
後はアルバイトの私だけだったが、何でも積極的にやったしある程度できるので重宝された。
ここで、てんぷらを揚げてお客さんに出したところ、お客さんに絶賛されたらしい。
常連さんだったらしいが、今までより美味しくなったので、板前が変っただろうと言われたそうだ。
その店の店長が私に知らせてくれた。
私に教えてくれた前料理長に感謝した。
残念ながら店は出されたが、技術は残っていたのだ。

卒業して福岡に帰る前、前の店に挨拶に行ったら、料理長がめずらしくお茶を飲みに行こうと誘ってくれた。
そこで思いがけない言葉をもらった。

今まで数多くの新人やアルバイトをみて来たが、その中でもセンスがある。
昔は「石の上にも3年」と言われていたが、今は「石の上にも3ヶ月の時代だ」
もし就職してダメだと思ったら、3ヶ月で判断して帰ってこい。
俺が掛け合って必ず雇ってやるからと言ってくれたが、これは本当に嬉しかった。
別の店に移動させられたが、ある程度は認めてくれていたのだ。

結局調理師にはならなかったが、この時の経験は非常に私にとって大きなものであり、今でも自分で料理するのが好きだ。

最後まで辞めなかったのは、料理の楽しさを知った事と、まかないでゴハンが食べられたことが大きかったと思う。
調理師が帰った後に一人で勝手に冷蔵庫を漁ってよく食べていた。
実際はバレていたらしいが、何も言われなかった。
いまだに、飲食店に行くと調理場の職人さんの手付きが気になる。
たまに夢にも出てくる事があるぐらいだ。
もし今の仕事がダメになったら、この道も良いのではと思っている。


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