DarkLily ~魂のページ~

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ひとりでできるもん!



「おじさん、いらっしゃい。」

「おみやげ、ひとりで持てる?」

「だいじょうぶ。」

「落としちゃダメだからね。」

後ろ姿に声をかける。

「おう、来たか。」

「やあ兄さん、久しぶり。」

「まあ、あがれ。」

促されてリビングに腰を落ち着けると、隣接するキッチンから元気な声がする。

「お母さん、くだものナイフどこー?」

「えっ?」

思わず聞きとがめ、キッチンの会話聞き耳を立てる。

「果物ナイフをどうするの?」

「おじさんのおみやげの皮をむくの。」

「なんだって!」

思わず声をあげてしまう。

「大丈夫さ、家内も一緒なんだ。あの子最近練習してるんだよ。」

「いや、いくらなんでも・・・。」

言いかけたものの、背にしたキッチンから伝わる楽し気な雰囲気に言いよどんでしまい、やがてひときわ弾む声が聞こえてきた。

「お母さん、みてみてー。」

「うん、上手にむけたわね。」

「うそ!」

「な、ほらな。」

兄は誇らしげだが・・・

「おみやげ、スイカだよ?」

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