DarkLily ~魂のページ~

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ドラゴン、街へ行く・第八話



 そろっての緊張は、けれど本質的には全く別種のものだった。

 より深刻なのは言うまでもなく門番の方、決死の覚悟で情報収集に臨んでいる。しかも、それを悟らせないよう、表面上は温和な態度を保ちながらであり、ゴリゴリ精神をすり減らすようだった。

 対面するドラゴンの少女は、対面していることで舞い上がっているように、少なくともはた目には見える。

 ドラゴンの少女の緊張を解(ほぐ)しながら信用を得るように話をするべきだろうが、テンパっている状態を利用することも視野に入れつつ、最初は普段の手順通りの当たり障りのない質問を導入に選ぶ。

「まず、お名前は?」

 いきなりドラゴンの少女が目に見えて狼狽し始めた。

 ええっ、この段階でもうすでにダメなのか!

 そう言えば、”鑑定球”で見た時の名前は、門番には読む事の出来ない文字で表示されていたのを思い出して、冷や汗をかく。

 なあああ、初手から失敗したのか、頑張れっ、頑張ってごまかしてくれ!

 一所懸命に何やら思案している様子のドラゴンの少女に、声にできないエールを送る。

「名前・・・名前・・・」

 何やらつぶやいてもいるが、聞こえない、何も聞こえない。

 時間がどれほど経っただろう、とにかく応援のかいがあってか、ドラゴンの少女の表情から曇りが消えた。

 今、思いついた!、とあからさまに顔に書いてあるが、構いはしない、この場では光明だ。

 ドラゴンの少女が胸を張って答える。

「名前は、パフッフールです」

「それは――」

 はたして人間の名前なのか!、偽名にしてももっとそれらしい名前はなかったものか。

「いい名前ですね」

「えへへ」

 門番の気持ちをつゆ知らず、パフッフールは嬉しそうに続けた。

「海辺に住む子供好きなドラゴンと、幸運の白いドラゴンからとった名前なんですよ」

「ほ、ほう、なるほど」

 門番は、前途多難さを悟った。

 本当に正体を隠す気あるのか!、この子は・・・

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