裏読書日記

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2008年06月03日
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このコーナーを読んでくれている方からは「次に何の本を読むか大抵想像がつくようになった。」とよく言われます。ミステリというよりは、物語が好きで、日常の謎派と言われるような人の本が好きです。こうなると「これ君むきじゃないかなぁ。」とそういう傾向の本を薦めてくれる人が増えてくるのが有り難いところ。本多孝好さんの本との出会いもそんな中からの収穫でした。もともと『MISSING』で2000年のこのミステリーがすごい!にランクインした事で有名になった本多さんですが、なかなか本を出してくれずファンとしては歯がゆい思いをしていました。集英社のAさんの「本多さんの本が出るんだよ!」という話に仕事を忘れて飛びついたのは言うまでもありません。

この『MOMENT』を読んで思いを新たにしたことですが、彼の作品は日常の謎系作家の作品よりも透明度が高くてずっとクールです。日常にさりげなく溢れている悪意というものをとても上手くそして綺麗に書いていて、読んでいると小さな棘が刺さったままのような気分にさせられます。でもえげつない書き方をしていないので、いつしかその傷も癒されていく…とそんな雰囲気です。きっと主人公の神田くんがいい解決をしてくれるに違いないと信じて読み続けた私も裏切られることはありませんでした。

「最期に1つだけ患者の願いを聞いてくれる必殺仕事人がいる。」というのが主人公の僕が清掃のバイトをする病院に伝わる噂話でした。仕事人はいつも清掃係の格好をしてあらわれると患者たちには伝わっています。そして願いが叶えられたとおぼしき人たちは安らかな眠りについていくのでありました…
なんて童話のような話だけだったらミステリにはなりません。ヒトの心の裏には闇もあるし、欲望もある。そしてたまにはちょっとまがった正義感もある。と、多くの登場人物たちの心のあやがこの小説をもり立てています。いやいやそうかそうか、心の奥底にある闇そのものがミステリ(謎)なのか。いまやっと気付きました。(余談ですが、本を読んで感想を書いてみると、また読み方と読後感が深くなっていいもんです)

甘くない優しさっていったらいいのか、この空気をぜひともいろいろな方に体感してもらいたいなぁと思いつつこの文章を書いています。全然作品の傾向が違うので我ながら理屈がつかないんですけれど、ホラー作家の乙一さんの作品とどうしてかイメージがかぶるのです。(私だけかなぁ)キザないい方を許してもらえるならば、セピア色になっていない郷愁を感じます。もし、本多さんの著作をお読みでない方は文庫になっている『MISSING』から読んでみて下さい。今は本多さんの大ブレイクと、単行本が年に2回は出るようになることをひたすら祈っています。(2002/8/26掲載)





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Last updated  2008年06月03日 08時10分23秒
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