雫の水音

雫の水音

17章~仕組まれた真実~


静寂は直ぐに治まったが
人々の動揺は直ぐには治まらなかった

「みんな、怯えてるわ…
音が怖いの?」
フローリアは、怯える動物と話していた

「先程の、異変が関係するやもしれん。」
扉から顔を出したお爺さんが言った

「そうですね。
けど、もっと何か起きそうな気がする…」
フローリアは胸の前に手を組んで俯いた


「音が消えたが、ブローズ何かしたか?」
暗闇の奥、男が低い声を響き渡らせた

「いいえ。ただ、セラノスの気配が完全に消滅しました。」
ブローズは淡々と答えた

「まぁ、作戦は遂行したようだ。」
男とブローズを挟んだ間に横たわっている
翔を見つめて言った

ブローズはしゃがみ
翔の頭を触った
すると、翔の体にあった傷口や
汚れが消え始めた
そして、自然と目を開けた

「おはよう。翔くん」

「こ、ここは?俺は灯台の中に居たはずなのに…」
そして、自分の手を見たとき
怪我一つ無い自分を見て驚いた

「それか…セラノスの任務は君をここに連れてくる事だ
そして、横に居るブローズの能力は
『無』全てを無くす力を持っている」

視線を横に移した翔は、見覚えのある女性を見つけた
突如、大会の途中に乱入してきた女性…

「貴方の怪我を無かった事にしました。」

「じゃぁ、何でここに連れて来たんだ?」

「私の夢のためだよ。」

「さて、私ほどになると夢があっさり叶うと
詰まらないんだよ…
困難を乗り越えて叶ったほうが喜びが増すものでね…」
そう言って、男は指をパチンッと鳴らした

暗闇の中に光が浮かび上がり
その中には、ルーマーとサーテンが
赤ちゃんが母のお腹の中に居るように
蹲っていた

「全異次元に向けて、ルーマーとサーテンを放ったのはこの私だ。
そして、元の世界に戻れないようにブローズに
他次元へ渡れないように裂け目を無くした・・・」

「俺を呼んだ理由は?」

「私に対して敵を作りたかったと言っておこう。
君たちには色々と邪魔されているのでね。
楽しくさせて貰っているよ。
ただ、今のままでは君はポーンだね。
どうプロモーションするか見ておくとするか…」
そして、翔の足元が光り始めた

「ちょっ、まだ話がっ!!!」

ふぉんと光が強まり翔は転送された


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