西新オレンジ通り日記

西新オレンジ通り日記

飛び込み営業


もちろん飛び込み営業のことで、那珂川に飛び込んだわけではない。
今は損害保険の代理店をしている人なのだが
以前勤めていた会社で、一日最高何件訪問できるか?試してみたのだそうだ。
朝9時から夜7時まで、10時間ぶっ通しで飛び込みをしたのだと言う。
福岡市天神周辺で企業の密集地域であったとはいえ、尋常な数字ではない。

「時にはゲーム感覚で仕事するのも大事」と言うのは、時々耳にする言葉。
うちの社長は、果たしてそんな件数を飛込みしたことがあるのか?
知りたくなって、聞いてみた。
「社長、最高一日何件飛込みしました?」と聞くと
「え~っとな~、はっきり覚えとらんけど112件か121件かどっちか。」
社長の場合も、個人宅ではなくすべて企業なので
112社か121社と言うことになる。

「おお!どっちにしてもすごいね~!」とちょっと驚くと
「保険会社の新人やった頃、3ヶ月ぐらい<月1000件訪問>しとったな~」
と懐かしそうにいう。
「でも、その頃って取れました?」
「いや、とれん!」
「240件飛込みしたって人も、そのときは全然ダメだったって。」というと
「うん、だけど、それをやらんといかん!やると変わるんだ、何かが。」
なにか得体の知れないエネルギーのようなものを授かるのだそうだ。
う~ん、なんなんだろう?

息子の通っている学習塾では、集中力をつけるために
授業開始前に、5分間の簡単な足し算や割り算をするらしいのだが
何となく、それに近いものがあるような気がした。

パリッとスーツを着て、鞄をさげて
営業はいっけん派手に見えることもあるが
実は、地味な訪問の繰り返しで
特に、お得意先と呼べる会社も持たない新人の頃は
ただひたすら軒数を回る、無味乾燥な作業の繰り返しになる。

「エスキモーの村に冷蔵庫を売る」と言うような営業トークも、
断られるところから始って、ひっくり返す話法も
まず、担当者なり社長のような決定権のある人物に会ってからの話で
そこに行き着くまでに、膨大な時間と労力が費やされる。
かっこよく車を乗り付けて、パソコンを開いて
・・なんてのはベテランになってから。
白地開拓で軒並み訪問するのに、自転車で回っている人も多い。

わが社も代理店を始めたころ1・2ヶ月は
社長が「福岡市内は自転車の方が便利だ!」と言って、
自転車で一日50件の飛び込みをしていた。
結局、その時の飛び込み営業ではたいした成果はなかったものの
一日50件飛込みを止めたころから、
ぼちぼち契約が取れだしたのを思い出した。

「営業の神様がいるんですよ!」と
以前、やっぱり飛び込み営業をしていた友人がいう。
「営業の神様がちゃんと見ていて、がんばっているな~と思う人には
ご褒美に、契約できそうな人と引き合わせてくれるんですよ。」
なあるほど~!

飛込みをすると、ほんとにぐったりとする。
帰って来ると、口も利きたくないくらい疲れる。
こんなこと、いつまでもやってられない!と思う。
訪問されるのも迷惑だろうけど
実は、訪問する方もつらくて嫌なものなのだ。
しかも、成果はあまりないという。
因果な話だな~と思わずにいられない。

しかし、友人が言うように
もしかしたら、営業の神様がほんとにいて
こんなにつらい飛び込みをしたら、ご褒美として
ラッキーな出会いを演出してくれるのかもしれない。
いろんな営業スタイルがあるけれど
やっぱり、始めの一歩は「飛び込みか?」と思うと
その昔ながらの泥臭い響きに、つい苦笑いがこみ上げた。




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