嘔吐112.

August 17, 2007
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カテゴリ: Lily

この、長年わたしの奥底に広がり渦巻き、粗末な反芻をさえ纏い尽くした孤独というものは、今では海の漣に交じっていくかのように感じる。それはまるで静かなトンネルの中に、乱雑に水を撒いては染みをつくっていくかのようだった。わたしの呼吸だけがその場所では響き、色を変え、充満していく。僕は一呼吸分の安心をつくると、その様に満足して眼を閉じてみせる。静かな、静か過ぎるその空間の中で、わたしは懐かしい太陽の匂いを感じる。音もなく風が吹き、海の塩気が温もりに混じる。

ああ、この場所では音楽が、聴こえる。

わたしは眼を開き、汗の滲んだこの手の感覚を強く身体に信じ込ませる。そうしてまた眼を閉じ、その場に崩れるように座り込む。ただ静かで、ただ穏やかで、惜しくもなく穏やかさを香らせるこの場所が、ただくるおしく愛おしい。僕は涙の温もりに身を震わせ、もう一度夢を観る。

碧。

憎まないで。きらって、ただきらって。
そうしてだいて、ただ抱いて。





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Last updated  August 18, 2007 10:54:59 PM
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こちらでは初めまして♪  
テン助 さん
 最近のうだるような暑さに脳みそ溶け気味なテン助です。笑”

 特に。
>それはまるで静かなトンネルの中に、乱雑に水を撒いては染みをつくっていくかのようだった。
 この文章の言い回しが印象的でした。
 ただ、途中で。
>僕は涙の温もりに身を震わせ
 と言うように、「わたし」から「僕」になっているのがなぜだろう? とハテナマークなテン助でした。
 それでは、また、お邪魔させて頂くかもしれません。
 失礼します。 (August 18, 2007 04:18:06 PM)

To テン助様  
- 碧 -  さん
こんばんは、はじめまして。御褒め頂きありがとうございます。本当、僕なんかの文章にそのような言葉を掛けてくださり、恐縮の限りです。

そうですね。僕の文章は思想的な記述が殆どですので、その点判らない人が数多くいるかと思います。判り難い記述ばかりで申し訳ありません。

ただ、僕の中には長年「わたし」という存在が在るのです。いや、言い方を変えれば「わたし」というものが僕の本来の形なのです。つまり「僕」というものは理想の肖像であって、「わたし」という存在はその真逆ということです。

(弱く、何事も成せない)わたしという存在は、一時の穏やかな時間に身を任せ、まるで身体の芯まで愛しさを満たすかのように沈み込むと、また(理想を模り、愛や孤独に身を揺らがない)僕へと還る。

そのようなことを表現してみました。

また好かったらいらっしゃってください。このような簡素な場所ではありますが、存在の在らん限り歓迎させて頂きます。

碧。 (August 18, 2007 10:42:34 PM)

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