ル三パン世のつぶやき

ル三パン世のつぶやき

取調べ



午前3:20
~取調室

「あなたには黙秘権があります。
ただし、故意に発言をしなかったことが裁判で不利の証拠となる場合もあります。

よろしいですか?
では、こちらにサインを」

弁護士のほうへチラリと目をやる。
うなずく弁護士を確認して書類に同意のサインをする。

「それでは今から取調べを始めます。
この取調べはテープに録音され、裁判所へ証拠品として提出されます。
ふたつのテープで同時録音して、ひとつは裁判所へ、もうひとつは我々が書類に起こします。
弁護士の方も必要ならお渡ししますが、どうなさいますか?」

当然だ、と要望する弁護士。

「ではこちらにサインを」

とにかく、やたらめったらサインをさせられる。
そして取調べが始まった。


まずは、《証拠品A-17》と書かれたビニール袋に入っている押収されたバタフライナイフの所持容疑の確認。

確認もなにも現行犯なのだから認めるしかない。

取調べ官 -「なぜこのような凶器を所持していたのですか?」

私 -「道具として便利だからです。
人を傷つけたり、身を守るための武器として所持していたわけではありません」

取調べ官 -「このバタフライナイフは凶器としてデザインされたナイフです。
人を傷つけるため意外に用途はありません」

私 -「私にとってはバタフライナイフもトラベラーナイフも同じ、切るための『道具』です。
服を買ったりしたときにタグを切ったり、普段なにかと便利なのです。
だから普段から持ち運べるように小型じゃないですか」

取調べ官 -「小型だからこそ鋭いのです。
あなたはこのナイフがこの国で違法であるということはご存知ですよね」

私 -「全く知りませんでした」

取調べ官 -「それは嘘です。
毎日のようにバタフライナイフ所持での逮捕者が新聞に載っています。
一年以上この国で生活していて知らないわけがないでしょう」

私 -「違法だと知っていれば、隠して飛行機に持ち込みます。
堂々と手荷物として財布や鍵と一緒に出したじゃないですか。
知らなかったという、なによりの証拠です。
しかもナイフはこの国で購入したものではありません。
日本で買って、この国に入国したときも同じように手荷物として搭乗しました。
持ち込ませたこの国の空港の責任ではないのですか!」


必死の弁明。
英語が喋れてよかった、と心底思う。


午前4:00
~取調室

取調べが終わる。

録音されたテープが私の目の前で密封され、裁判所へ提出用に証拠品のナイフとともに大きな封筒へ入れられる。
確認し、また封筒の綴じ代へサインする。


午前4:00
~独房

弁護士と今後の打ち合わせ。

逮捕が運悪く週末だったため、裁判が開かれるのは週明けになってしまうという。
しかし、二日間もこんなところにいたら気が狂ってしまう。

なんとかならないかと相談すると、仮釈放を要求してみようということになった。

しかし、すぐにはなんともならず、独房で待機することに。


独房の小窓から見える空はほんのりと明るい。
もうすぐ夜明けだ。

疲れきった体を硬いマットに横たえる。
精神的な疲労からあっというまに睡魔が襲ってくる。


午前4:10
~独房

夢心地の中、目覚めたときには全てが夢であってほしい、と切に願いながら眠りにつく・・・・。

裁判まであと二日。

・・・・to be continued.


★第五章『仮釈放』★



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