犬の交配と出産・新生仔の育て方



雌犬の準備
雌犬を交配する前に必要なことは?

この質問には、2つの内容が含まれています。雌犬の交配を決める前にするべきことと、決めた後にするべきことです。

では、交配を決める前にするべきことは?

その犬が交配・繁殖に適切であるかどうかを判断する必要があります。まず第一に、雌犬が2歳になるまでは、絶対に交配してはいけません。未だ、体が充分成長していないからです。交配・妊娠・出産の肉体的なストレスに耐えられるように発育・成長するまで待って下さい。実際、2歳になるまでにしなければならないことがたくさんあって忙しいので、待つことはそれほど苦にならないでしょう。2歳までは出産の準備期間です。雌犬のために行うすべてのこと、例えば品質の良い食事、健康チェック、オベーディエンストレーニング、ドッグショウへの参加、ワーキング競技、そして、愛情を注ぐことによって、健康な子犬を産み、より良い母犬となることができます。

栄養と健康維持が大変重要であることは分かりますが、どうしてこのようなこと全部が良い母犬を育てるのでしょうか?

それぞれの重要な役割が全てにあるのです。最も重要なのはおそらく最後に挙げた愛情でしょう。犬にとっても妊娠、出産、及び、子育ては、大変なストレスになります。飼い主から本当に愛されていると感じると、母犬はずいぶん楽になります。たぶん、子犬をあなたから守る必要が無く、むしろ面倒を一緒に見てくれると思えるからでしょう。犬との信頼関係を築く最も良い方法の一つにオベディエンス・トレーニングがあります。子犬が泣き始め母犬が慣れていないためにうろたえているとき、「伏せ」をさせると容易に子犬にミルクを与えさせることができ、安心させられるでしょう。これはオベディエンス・トレーニングが役立つ良い例です。

では、ドッグショウやワーキング競技は、どんな影響を母犬に与えるのでしょうか?

交配予定の雌犬を外の世界に触れさせなければならない理由が二つあります。一つは、生活の中に色々な活動の場があって飼い主と一緒に楽しむことが出来るなら、雌犬も大変幸福になれるからです。より幸せになれば、より良い母犬になります。単純な理屈です。もう一つは、それらの活動から雌犬に交配する価値があるのかどうかを客観的に知ることができるからです。つまり、その犬種をよりよく改良するためだけに交配できることになります。非常に批判的に聞こえるかもしれませんが、今、考えているのは責任あるブリーダーのことです。最も良く犬種の改良に貢献できる方法は、質の良い犬同士を交配して、欠点を最小に、長所を強化することです。後で、雄犬の選び方についても詳しく述べますが、雌犬もまた選ばれるのです。もし初めて飼った犬を交配しようとしているなら、厳正かつ注意深く観察し交配に値するかどうか判断する必要があります。このことは飼い主の愛情とは関係なく、その犬種の改良につながるときにだけ交配できるということです。飼い主の思い入れが大きい分、往々にして欠点を小さく、良いところを大きく見てしまうので、判断は難しくなるでしょう。そのため、ドッグショウに出陳し自分の犬を正しく評価してもらうのです。その結果は、自分の犬が交配に値するのかどうかの良い判断材料になります。しかし、理想のスタンダードは人はそれぞれ違っており、それらは完全に一致しないことも心に留めおいて下さい。雌犬がショーでチャンピオンをとるまで交配しないという人も、猟犬のタイトルか使役犬のタイトルを取るまで交配には値しないという人もいるくらいです。その犬種を改良するという意志を持ち、自分自身の判断基準を持たなければなりません。少なくとも、飼い主よりも知識のある人から評価されることが必要です。雌犬のブリーダーに見てもらうことも良い選択の一つですが、いつも正しく評価されるとは限りません。その犬種に詳しいブリーダーは、飼い主が自分の雌犬を正直に評価できるように、そして、情に流されて判断を狂わせられないように適格にアドバイスしなければなりません。

私の雌犬は交配に値する優秀な犬です。次は何をしたらいいですか?

そんなに急いではいけません!ちょっと早すぎます!子犬の繁殖は非常に長いプロセスであることを覚えていますか?雌犬が2才以上になるまで待つことには大きな理由があります。それは健康のためです!犬を交配するかどうかを判断するには、健康診断を行っておく必要があります。必要な診断項目は犬種によって異なるので、どんな診断が必要なのかを本で調べるかその犬種に詳しいブリーダーに問い合わせるなどして調べて下さい。

次のような一般的な診断項目があります:
股関節X線: 犬の股関節X線写真を近所の動物病院で撮ってもらい、そのX線写真をOFA (Orthopedic Foundation for Animals 動物整形外科財団) に送付し評価してもらいます。股関節の評価が、「普通」、「良好」、もしくは「優良」などの正常な場合は交配することができます。もし「異常」と評価されたら、獣医師に相談し出来るだけ早く避妊手術を行って下さい。股関節形成異常は非常に大きな苦痛を伴ないます。関節異常の治療方法はいろいろありますが、遺伝性疾患なので、この異常を持つ犬を交配してはなりません。

肘関節X線:最近では、犬の肘関節にもまた関節形成異常があることが知られるようになってきました。責任あるブリーダーは肘関節X線写真もOFAに評価してもらっています。

目:多くの犬種で、PRA(進行性の網膜萎縮)は、重大な疾患です。委員会に認定された眼科専門の獣医師が検査して初めて正常であると確定できます。この診断は、毎年受けなければなりません。PRAは進行性疾患なので、ある年には正常であっても翌年には徴候が現われることがあります。目の検査結果をCERF(犬の目登録財団)に送れば証明書が交付されます。この証明書は毎年更新する必要があります。他にも白内障のように多くの犬に共通する目の疾患もあります;どの検査が必要なのか調べておく必要があります。

ブルセラ症:これは犬の性病の一種で、他の感染経路もあるので雌犬は処女であっても交配に先立ちテストする必要があります。ほとんどの雄犬の飼い主は交配前にブルセラ症の検査結果を求めます。一般に6ヶ月以内の検査結果が必要です。6ヵ月以内に検査していなければ、交配前に検査してもらって下さい!

上記のようなすべての検査結果を雄犬の飼い主にも要求できるように、雌犬の検査結果を用意しておく必要があります。雄犬の選び方については次に詳しく述べます。





交配相手(雄犬)の選択
良い雄犬を選ぶことは雌犬を選ぶことと同じように重要です。時間と労力を惜しまずに選択する必要があります。このような機会は、専門家の意見を聞く良いチャンスです。雌犬のブリーダーと相談しいろいろな雄犬を一緒に見てもらえるように頼んでみるのもいいでしょう。そうすれば、どの雄犬があなたの雌犬の交配相手としてふさわしいのか、また、その理由も理解できるでしょう。一緒に雄犬を探してもらえるブリーダーも専門家も居ないなら、自分で調べなければなりません。そうしなければ、賢い選択はできないでしょう。

まず最初に行うことは、2年近く世話をしてきた雌犬の長所と短所を分析することです。例えば、トップラインは弱いが素晴らしい前額面を持っているとか、後肢の角度(アンジュレーション)は?コートの質は?気質は?等々。ドッグショウやワーキングドッグに出陳した結果が非常に参考になることがわかるでしょう。雌犬の短所を知らなければ、交配時にどのように修正すれば良いのかも分かりません。実際、これからやろうとしている交配は、あなたの雌犬の短所をカバーすることによって、その犬種を改良していくことです。そのためには自分に馬鹿正直になって下さい。自分の犬が可愛くて仕方が無いことは良く分かりますが、それは交配とは関係ないのです。もし、自分の雌犬の弱点を素直に認めることができないなら、弱点を修正していくことは到底できないでしょう。おそらく一つか二つの欠点に注目し、それらの欠点をカバーできて他にそれほど欠点の無い雄犬を探して、どのように欠点が改善されるかを見てみたいと考えていると思います。もちろん、犬質の遺伝は非常に微妙なバランスの上に立っているので成功するとは限りませんが。

交配には大きく2つの方法があります。一つは似た者同士を交配する方法で、おそらく最も単純な方法でしょう。この方法では、雌犬の全体的な容姿を保存し、身体的に弱いところを補足する雄犬と交配します。似た者同士を交配すると、親と良く似た子犬が生まれるいう理屈です。

もう一つの方法はかなり複雑な方法で、系統交配と呼ばれます。候補となる雄犬の血統を分析し良い交配相手を選びます。系統交配は更にいくつかの方法に分けることが出来ますが、その前に専門用語を理解する必要があります。

系統交配は、身体的に類似した犬を交配させる「似た犬同士」の交配と類似しています。系統交配では、身体的な特徴の代わりに遺伝子の良く似た犬を交配します。 近親交配は系統交配の極端な例です。非常に危険が大きいので初心者が近親交配を行ってはいけません。交配する犬の血統を完全に理解しておく必要があります。他に、異系交配も系統交配の一種です。異系交配は、血統間にまったく共通性がないか、または、あったとしても非常に少ない血統間での交配を言います。「似た犬同士」の交配でよく認められ、血統の中の優秀な雄犬に集中して系統交配を行っているブリーダーが多いようです。

もちろん、その雄犬が素晴らしい資質を持っていることが必須です。平凡な犬と交配すれば平凡な子犬が、健康障害を持っている犬と交配したら健康障害を持つ子犬が生まれるでしょう。この種の交配は特にトリッキーで、雌犬の血統と雄犬の関係を充分に調べ、どのような系統交配を行うことになるのか注意する必要があります。

おそらく実際には、系統交配と異系交配の両方を用いることになるでしょう。自分の雌犬に相応しい血統で、そこそこ容姿も良い雄犬を見つけたいと望むでしょう。繰り返しますが、これは知識や経験のあるブリーダーからアドバイスを得る本当に良い機会です。また、雌犬が若い間に雄犬を見て回ることで、その犬種の愛好家との交友が広がって交配に適した時期になるまでに、雄犬を良く知ることができるでしょう。

2,3匹の候補まで絞り込めたら、飼い主に連絡を取ってその犬について話を聞きましょう。ほとんどの飼い主は、その雄犬の子犬について、長所と短所について、また、どんな子犬が期待できるかについて率直に話してくれるでしょう。もし、長所を話してくれても短所は話してくれないようであれば、あきらめた方が賢明でしょう。

調べた犬の中で、一番良い子犬が生まれる組み合わせを決断しないといけません。あなた以外に決められる人はいませんが、もし十分に調査し雌犬の実力を正直に評価できているなら、おそらく誰が選んでも同じような選択になると思います。これでやっと、何が起きても不思議ではない繁殖に入る準備ができました。後は運を天に任すだけです。交配の背後にある複雑な遺伝学についてほとんど理解できていないので、暗闇を手探りで進むようなものです。経験の豊富なブリーダーもほとんどが間違いを犯しています。ですから、非常に注意深く調査し、よく考えなければならないのです。

交配相手を決めたら、相手の飼い主に雌犬の交配可能な時期を知らせて下さい。そうすれば、相手も予定を立てることができます。ヒートの第一週に相手のところに送れば、雌犬も交配までに新しい環境に慣れるでしょう。


交配のスケジュール
シーズン前
できるだけ早い時期に交配相手を選び、相手に雌犬のヒートの時期を知らせます。相手からも要望があれば連絡が来るでしょう。
第一候補の都合が悪いこともあります。予備の候補も決めておきましょう。
雌犬の健康診断をあらかじめ行いましょう。その際、ブルセラ症テストを忘れずに。
雌犬にヒートの徴候が現れたらすぐに、交配相手に連絡します。交配相手が遠くにいるなら、雌犬の輸送の方法や段取りを話し合い充分に準備しておきましょう。
初めての交配で交配可能な時期を知りたいのなら、獣医にスメアー・テストやプロゲステロン・テストを頼んでみて下さい。雌犬の正しい交配時期を正確に調べることが出来ます。一般に、ヒートに入って10から15日の間ですが、早くなったり遅くなったりすることもあります。
ブルセラ症検査を受けて、最新の結果を相手に示します。
交配の時
相手と連絡を密にとり、雌犬をいつ、どのように輸送するか打ち合わせましょう。
雌犬を送り出すと、相手は空港に引き取りに行かなければならず、情報が必要です。雌犬に関する必要書類も送らなければなりません。書類はケージにテープで貼り付けておいても構わないでしょう。
自分自身で雌犬を連れて行くなら、迷わないように場所を良く確認しておきましょう。また、書類を持ち忘れないように気をつけて下さい。
雌犬が帰る時
雌犬は交配相手のところに1から2週間滞在します。
雄犬の飼い主から契約書、雄犬の健康診断書の写し、雄犬の血統証、交配のときの記述、等の必要な書類が雌犬と一緒に送られて来るはずです。


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