出産・分娩



交配後第58日目以降、雌犬の体温を毎日3回測定して下さい。出産の2,3時間前に雌犬の体温は約101.4Fから99F以下(38.6℃から37.2℃以下)に急に下がります。正常でも体温はわずかに上下するので、99 F(37.2℃)以下への急激な低下が目安です。体温の低下は、出産の最もよい指標です。出産が差し迫ると、落ち着きが無くなり、不安げで、陰門を見て舐めるようになります。出産直前には食餌も摂らなかったり、ひどくあえぐこともあります。

これらは、出産が差し迫っている兆しです。獣医に出産が近いことを連絡しましょう。獣医師も何かあったとき質問に答え適切なアドバイスの準備ができます。雌犬は押したり引いたり、床を掘ったりするもしれません。攣縮の間かなりあえぎます。背中の筋肉が攣縮し、筋肉が首の方から下方へ動いてくるのが認められます。

もし陣痛が1時間くらい続いても仔犬が生まれなければ、外に連れ出して少し歩かせてましょう。歩くことによって分娩を促すことができます。また、雌犬の押し出そうとする行動は、自分で分娩しなければならないという風にも見えます。よく訓練された雌犬は家を汚したくないので陣痛に抗って分娩が遅れることがあります。雌犬が屋外へ行きたがったら目を離さないように注意して下さい。初めての出産だと生まれた仔犬をどうしたらいいのか分からなくて、仔犬をどこかに置いて来てしまうかもしれません。

陣痛が3時間以上続いても仔犬が生まれないときは、獣医師に連絡して下さい!おそらく病院へ連れていかなければならないでしょう。

陣痛が正常だと、攣縮の間隔が短くなり強く力み始めます。水嚢が出て破水し間もなく仔犬が生まれます。胎盤は一緒に出るときも出ないときもあります。優しく臍の緒を引っ張り胎盤が出てくるかどうか調べることができますが、決して仔犬を引っ張らないで下さい。仔犬から切り離した臍の緒を引っ張って下さい。そうしないと臍ヘルニアを起こすかもしれません。

雌犬が胎盤を食べようとするかもしれませんが、いいか悪いかは意見の分かれるところです。出産後の良い栄養補給になるという人も、胎盤を食べると雌犬が下痢をおこしてしまうという人もいます。胎盤の一つだけを食べさせ残りは捨てるという妥協をしているブリーダーもいます。何れにしても、各仔犬が生まれたときにそれぞれの胎盤を確認して下さい。もし胎盤が出て来なければ、重篤な子宮感染を引き起こす危険があります。

自分で仔犬をきれいにする場合は、まず、仔犬の口と鼻を覆っている水嚢を取り除いて下さい。仔犬をさかさまにして、羊水や粘液を鼻とのどから吐かせます。乾いたきれいなタオルでチューチュー泣くまで仔犬を少し乱暴なくらいこすります。拭くことで仔犬はきれいになり、また、呼吸し始めるのを助けます。

多くの人は、雌犬が仔犬の臍の緒を噛み切りきれいにするのに任せています。雌犬が仔犬の体の近くで臍の緒を切りすぎて臍ヘルニアになるのを心配して、念のため自分で臍の緒を切る人もいます。自分で切るなら、仔犬の体から1インチ(2.54cm)離れたところで切ってデンタルフロスで縛り、臍の緒とデンタルフロス綿をBetadine溶液(または他の消毒薬、例えばヨウ素)に浸します。そうすると1日くらいで乾いて脱落してしまいます。

臍の緒を自分で処置するとしても母犬がするとしても、仔犬が呼吸を始めきれいになったら、仔犬の体重と身長を計り、注意深く仔犬を観察し何か異常、例えば口蓋裂、がないか調べ、カラー・リボン等を使って仔犬を区別できるようにして下さい。リボンは余裕を持って結べるように長い目に切っておきましょう。特に仔犬同士が非常に似ているとき、リボンは必須です。他に、毛の一部を刈り取ったり、マニキュア液で印をつけたりしても構いません。

分娩と分娩の間隔が長いときには、仔犬に授乳させる必要があります。初乳(出産から24時間以内に分泌されたミルク)は大変重要です。というのも、初乳は感染から守る免疫を仔犬に与えるからです。また、仔犬に授乳することによって次の分娩も促されます。休めるときに休んでリラックスして下さい。仔犬をすぐに母犬に預けることが出来なくても心配することはありません。仔犬は数時間ミルク無しで問題なく過ごすことができます。分娩が再開したら、安全のために仔犬を保温箱に入れて下さい。

頻繁に長時間の休みが入ります。雌犬が仔犬の側を離れたがらなくても、外に連れ出して構いません(雌犬を励まして下さい!)。出産していないこと及び雌犬の居た場所に仔犬が置き去りにされていないことを確認して下さい。

分娩は短くて15分間隔、長くて1時間間隔です。1時間以上間隔が開いて、まだ、仔犬が生まれずに残って居るようでしたら獣医に電話をして下さい!仔犬が途中で詰まってしまったかもしれず、できるだけ早く取り出さないといけません。

出産を終えると、雌犬も落ち着くでしょう。呼吸はゆっくりになり、攣縮も止まります。できるなら、雌犬と仔犬たちを出産後4から5時間以内に獣医に診せて下さい。24時間以上経過しないように注意して下さい。雌犬の体内にまだ仔犬や胎盤が残っていると、重篤な感染を引き起こす危険があります。仔犬に口蓋裂や他の奇形が無いことをできるだけ早く確認して下さい。もし、奇形があって生存が難しいようなら、普通、人道的に安楽死させられます。

他にも直面するかもしれない様々な問題があります。予想外のことが起きたときのために、もう一度、かかりつけの獣医や救急獣医の電話番号を確認しておきましょう。もし、何が起きて何をどうしたらいいのか分からなくなったら、すぐに獣医に尋ねて下さい。躊躇してはいけません。出産は生と死が隣り合わせですから、後悔するよりできるだけ安全に進める方がいいのです。

陣痛を助ける医薬品を用意しておくように薦めるブリーダーもいますが、私は薦めません。このことについては獣医師とよく相談して下さい。この種の薬は非常に強力で、仔犬が大きすぎて産道に詰まっているような場合には、重篤な状態に陥ることがあります。獣医に連絡し必要ならば連れて行くことが最も安全な方法です。

現在、同じように陣痛を助け、多くのブリーダーが使って薦めている薬物があります。その薬は同様の効果があってしかも傷害の危険性が低いのです。陣痛が弱くなっている雌犬に対して、Caulophyllum(Blue Cohosh)と呼ばれる薬用植物を用いた同種療法があります(訳注:同種療法とはSammuel Hahnemann(1755~1843)により始められた方法で、健常人に同様の疾患を引き起こす薬物をごく少量用いて行う治療法です)。これは雌犬が分娩中でないときに処方しなければなりません。明らかに雌犬の陣痛が無い場合以外は、使ってはいけません。弱った仔犬にはバックの救出療法薬(レスキュー レミディー)と呼ばれる花のエッセンスを試して下さい。エッセンス2滴を仔犬の舌の上に落とすだけです。何らかの障害がある仔犬を優しく蘇生する良い方法です。この治療方法の良いところは、やりすぎることが無いということです。この方法はとても優しいのです。同種療法又はそれに代わる治療は良くも悪くも何も効果はないと中傷する人もいます。この治療に関する詳細な情報は参考資料を参照して下さい。そこに自然健康法に関する2冊の本を挙げました。

最初に出会う可能性があるのは、陣痛は始まったが分娩しないという状況でしょう。まず、外に連れ出し散歩させて、十分リラックスさせましょう。もし15分くらい散歩しても効果が無ければ「フェザリング(羽毛)」と呼ばれるテクニックを使います。外科用手袋をつけて、KYゼリーのような潤滑油を少量つけます。優しく優しく優しく一本の指を雌犬の陰門に挿入し、そして、優しく(羽のように)くすぐり、膣のトップに沿って指を触れます。そうすることによって、より強い収縮を引き起こすことができます。まったく効果が無いか、雌犬がかなり疲れているようなら、獣医に連絡して下さい。もっと専門的な治療が必要です。

獣医師はX線写真を撮り、胎仔が何匹残っているか、胎位異常(産道への入り方が異常な胎仔)がないかを調べます。異常が無ければ、カルシウムや脳下垂体ホルモン(オキシトシン)を注射します。これらの注射は強い収縮を誘導し出産を促します。注射の効果が無かったり、胎仔が大きくなりすぎてたり、胎位異常の場合には、帝王切開を薦められるでしょう。帝王切開は不可避の場合以外は軽々しく行ってはいけません。手術には多額の費用がかかり母犬と胎仔の生命の危険があります。帝王切開手術と同時に避妊手術を行うかどうかも決めなければなりません。選択の余地の無い場合もあります。例えば、子宮がひどく傷ついていたり感染したりしているなら避妊手術は避けられないでしょう。帝王切開を決断してしまえば問題の多くはあなたの手から離れ獣医に委ねられるでしょう。

早い時期に獣医と帝王切開の可能性について相談しておくと良いでしょう。そうすれば、帝王切開の手順が分かり、出てきた仔犬を蘇生させる手助けすることもできます。多くの獣医はあなたが手術室に入ることを許さないでしょうが、仔犬の蘇生に必要な人手を喜んで受け入れる獣医もいます。帝王切開に伴なう最も大きな障害の一つは、麻酔です。胎仔はまだ母犬の体の一部なので、必然的に胎仔も麻酔されてしまいます。獣医が麻酔をかけるとき、このことを考慮していることが本当に重要なのです。通常の麻酔では、多くの獣医が犬にマスクをかぶせます。これは、麻酔を始める前にバリウム-ケタミン等で眠らせること無く、isofloureneガスを使うことを意味します。母犬が緊張し攻撃的なら、おそらくその獣医はバリウム-ケタミンを使うと言って譲らないでしょう、しかし、母犬が穏やかで従順であるなら、直接マスクをかぶせるように頼んで下さい。麻酔ガスだけの方が胎仔に優しく蘇生させやすいからです。帝王切開は大きな外科手術で非常に大きな負荷が体にかかり、母犬の回復には時間がかかります。全てが上手く行けば、母犬が自分で仔犬の世話をし授乳することもできます。母犬の世話については、獣医師から細かく指示されると思います。感染を避けるために抗生物質がよく処方されます。普通、抗生物質によって母犬と仔犬の両方が下痢を起こすので、どんな抗生物質でも注意して与えなければいけません。

病院に連れて行く時間が無い場合、例えば新生仔が呼吸しないとき、があります。仔犬がチューチュー鳴いて動き回り始めるまで充分マッサージしてやる必要があります。生まれるとすぐチューチュー泣いて手助けの必要が無い仔犬もいますが、手助けが必要な場合がかなり多いのです。もしマッサージに効果が無いなら、すばやく行動する必要があります。仔犬ののどや鼻から水分を除く最も手っ取り早い方法は、仔犬をしっかりと保持し、あなたの頭の上から股の間まで振り降ろす方法です。遠心力で鼻とのどから水を除くことができます。仔犬の頭と首をしっかり支えていることを確認してから行って下さい。そうすれば、繊細な首を傷つけ無くて済みます。それでも駄目なら、注射筒を使って水を吸い出します。このようなことを施している間も活発にマッサージを続け、仔犬が冷えないようにします。うまくいけば生命を取りとめ健康に育つでしょう。

ある程度続けも効果が無かったら、諦めなければならないかもしれません。とても苦しい決断ですが、15分経っても反応しなければ蘇生は望めそうにもありません。死んだ仔犬をどうするか獣医と相談して下さい。悲しいことですが、出産にはよくあることです。

もう一度繰り返しますが、獣医に助けを求めることは恥ずかしいことではありません。どうしていいのか分からないときや、何が起きたのか分からないとき、すぐにプロの助けを借りましょう!

出産が終わったら、生まれた仔犬たちを落ち着かせ充分休ませて下さい。あなた自身にも休憩が必要です。母犬が安心し水分を摂ったことを確かめて下さい。母犬をスポンジで拭いてやるときれいになって元気も出ます。チキンスープで作った米粥は胃にやさしく、出産後最初の食餌に最適です。たくさんあげて下さい。

初産後、特に出産が非常に苦痛であった場合には、母犬は仔犬に対して憎しみを抱くかもしれません。オベディエンストレーニングが再び役に立つときです。授乳させることは母犬と仔犬双方にとって非常に大事です。まず、あなたも母犬と一緒に出産箱に入り母犬を安心させます。母犬を伏せたままにさせ、その上に仔犬を載せます。もし母犬が唸ったら、少し母犬の頭を抑えて仔犬から遠ざけて下さい。母犬は疲れていてそれほど抗わないでしょう。母犬はあなたの命令に素直に従っていたのですからね、そうでしょ?仔犬は初乳だけからしか母犬の免疫を得ることが出来ません。また、授乳によって血液中へのホルモン分泌が促され、それらの作用によって母犬の母性本能が促進されます。もっと仔犬に授乳し、もっと仔犬を愛しく思うようになります。(人間でも全く同じですね。)うまくいけば母犬は落ち着いて授乳するにつれて満足と感じるようになります。母犬が仔犬を完全に受け入れ母犬の役割を果たすまで見届ける必要があります。


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