犬伝染性肝炎



~子犬が混合感染すると危険~

犬伝染性肝炎は、イヌ科の動物だけに感染するウイルス性肝炎で、とくに離乳直後から1歳未満の幼犬では感染率、死亡率の高い病気です。伝染性が非常に強く、回復した犬でも数ヶ月にわたってウイルスは尿中に排泄されます。しかし、ワクチンを接種していれば発生を予防することが出来ます。

症状
症状は一定していません。数時間前までは元気に過ごしていた子犬が急に腹痛をおこし、高熱を出して、虚脱状態におちいり、時には血を吐いたり血便などの症状を示して、12時間~24時間以内に死亡するもの(突然致死型)もあります。しかし、何の症状もあらわさないもの(不顕性型)や症状はほとんど見られないが食欲が低下して鼻水を出して熱が上昇する(軽症型)など幅があります。重症型では一般的に2~8日間の潜伏期に続いて、犬は元気がなくなり鼻水や涙を流すようになり、40度以上の高熱が4~6日間続きます。その後、食欲がなくなり、下痢や嘔吐がみられたり、のどの渇き、扁桃の腫れ、口腔粘膜の充血と点状出血、まぶたや頭や首や体のむくみなどがみられます。特に急性の肝炎をおこすので、犬の胸と腹の中間辺りの肝臓のある部位を手で押さえると痛がり、触られるのを嫌がります。このような状態が4~6日間続いた後、急速に治癒に向かいます。単独感染では死亡率は10%ぐらいと低いですが、他の病原菌との混合感染があると死亡率はきわめて高くなります。回復期にはしばしば、片目または両目に一時的な角膜混濁(青白色のくもり)がみられます。

原因
犬アデノウイルスには1型と2型の2種類ありますが、犬伝染性肝炎は犬アデノウイルス1型(犬伝染性肝炎ウイルス)に感染しておこります。2型は犬伝染性喉頭気管支炎ウイルスと呼ばれています。感染は発病した犬あるいは回復はしたが体内にウイルスが残っている犬の唾液や尿やウイルスに汚染された食器や衣類などを犬が舐めることによっておこります。口から入ったウイルスは口腔咽頭部の粘膜からリンパ節に入り、血液によって全身の臓器に運ばれます。特に肝臓の細胞に大きな障害が起こり、急性の肝炎になります。また、ウイルスは犬が病気から回復したあとも半年間は肝臓に集中して存在し、尿中に排泄されます。このような犬の尿は見過ごすことの出来ない感染源です。犬伝染肝炎は年齢を問わず感染しますが、子犬に発生することが多く、子犬が感染すると病状も重いです。

診断
突然の40度以上の高熱が出たり、扁桃が腫れる、おなかを押さえると痛がる、履くといった症状が出た場合に血液検査で白血球の減少がみられ、肝臓の働きのバロメーターとして肝臓の血清酵素の活性値が上昇している場合は犬伝染性肝炎と診断できます。検査室ではウイルスの分離、同定、抗体の上昇などが証明されればさらに確実になります。なお、犬伝染性肝炎はジステンバー、レプトスピラ症、ワルファリン中毒と似た症状が多いので、これらと識別する必要があります。

治療方法
このウイルスに有効な薬はありません。したがって治療には肝臓の再生と機能の回復をうながすための対症治療と食事や安静などに気を配る飼養管理が重要となります。肝臓には十分な栄養を供給するため、ブドウ糖、リンゲル液、総合アミノ酸などの輸液をおこなったり、肝臓の働きを回復するために各種のビタミン剤や強肝剤を投与します。出血や貧血のある場合には輸血が必要です。同時に細菌の二次感染を防ぐために抗生物質を与えます。あわせて安静を保ち、食欲が出てきたら栄養補給に努めます。なお、回復期に見られる角膜の混濁(にごり)は多くの場合は自然に治ります。

予防方法
犬伝染性肝炎はワクチン接種で予防できます。細菌では犬アデノウイルス1型と2型を同時に予防できるワクチンが開発されています。犬伝染性肝炎ウイルスは犬が感染したあと、約6ヶ月にわたって尿中に排出され、体外でも10~13週間生きています。したがって、汚物の処理などを確実におこなうことが大切です。クレゾールや有機性ヨウ化物などの消毒液や「バイオチャレンジ」で消毒して清潔に保ちましょう。

最後に
とにかく、飼育環境を清潔に保つことが先決です。しっかりと消毒などをして予防しましょう。


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