Glasklar Planet

Glasklar Planet

遺物(EB2)




そこにあったのはあたしが存在するための戦いと駆け引きだった。
いくつかの国があったが、あたしはこの『大陸』に来たばかりで
右も左も何もかもわからない。
手元には身を守るための機体と、大雑把な勢力分布図があるのみだった。
「さて…どうしたものかなぁ…」
話を聞いただけでよくよく調べもせずにこの『大陸』に来たことを
あたしは少々後悔していた。
右も左もわからない、戦いの場の真っ只中の大陸に
いきなり来てしまっていたのだ。

思い返せば単純なこと。
自分の居た大陸から他の大陸へ渡ろうとし、
運良く腕を買われて商船の護衛に就いたものの…
砂嵐によって商船とはぐれ、通信によれば無事に目的地に着いた後。
船長には『礼金は近隣の銀行から振り込んでおく』とは言われたものの…
砂嵐に巻き込まれたのが運のつきと言うかなんと言うか…
「参ったなぁ…」
とりあえず周囲の状況を確認しようと機体の外に出てみる。

「これは…見事に一面同じ様な景色!」
見渡す限りの荒野に呆けた様にたたずんでいると、
何者かの接近を知らせる警報が機体から発せられた。
「もうッ!こんな時にっ!」
あたしは機体に飛び乗ると迎撃体制をとる。
が、大陸に来てそう時間も経っていないあたしには戦いは不利。
(何とかかわせないものか…)
焦燥感に駆られながら機体を操る。
「新顔だな…お前」
声は真上からした。
「っ!…あいにく、コッチに着いたばかりなのよ…」
汗で手のひらがじめじめしている…
頭上の相手を見上げると、相手も1体のみ。
「あなた…どこのどなた?」
どこかの国のものなら目印がついているはずだが
その機体には何も付いていなかった。
「…俺はどこにも属していない。」
そう言うと、男はいきなり撃ってきた。

「くッ!」
間一髪で回避するが慣れない土地と焦りのせいで
機体のバランスが取れず、あたしは地面に叩きつけられた。
「…っ…!」
衝撃のせいで身動きが取れないあたしの上に
無機質な輝きを放つ銃口が向けられた。
背筋を嫌な感覚が走り抜ける。
「…来て早々やられるっての…アリかしら?って…嫌過ぎなのよっ!!」
気合と共に手にしたビームサーベルを相手にたたきつけるように斬り上げる。

と同時に、どこからかまぶしい光が敵を貫いた。
「ッ?! あ…新手?!」
焦って体勢を立て直そうとするが上手くいかない。
もがいているあたしの目の前には、
いつのまにか淡い紫色の燐光を放つ機体が佇んでいた。





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