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2016.01.19
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アメリカにはキング牧師デーという祝日がある。1月15日の同牧師の誕生日にちなみ、その前後の月曜日が祝日となり3連休になる。今年は1月18日。普段は特に何もしないのだが、今年は関連行事に参加してみることにした。

ボストンの観光地の一つともなっているFaneuil Hallの講堂(があることも知らなかったのだが)で、市長をはじめ、主にアフリカ系アメリカ人の有力者らがゲストスピーカーとして招かれ、キング牧師の業績を時系列に一人ずつ紹介し、その合間に地元の青少年交響楽団の演奏が行われると言う形式のイベントで、無料で誰でも参加可能。

キング牧師が黒人公民権運動の指導者であることから、ゲストスピーカーのほとんどがアフリカ系アメリカ人であり、また、一般の参加者にも黒い肌の人達が目立ったが、もちろん、白人もアジア系もいたし、肌の色が違う親子もいたり、色々。

私が今年、なぜこの行事に参加してみようかと思ったかというと、それは、ここで演奏をした青少年弦楽合奏団の育成プログラムに息子がこの度合格し、昨日から練習を始めたからである。息子はコントラバスを担当することになった。

この育成プログラムについて簡単に説明すると、これは、「子供は誰でも適切なトレーニングを受ければ楽器が演奏できるようになる」という理念の下、実際は経済的事情などで満足な訓練を受けられない地域の5歳から7歳の子供達を隔年のオーディションで集め、週2回の定期的な練習を経て2,3年後に直属の青少年交響楽団のオーディションが受けられるようになるまで育成するという内容である。楽器は貸し出し、授業料も申請が通れば補助が受けられる。

小学1年生から高校3年生から成る楽団員たちは、いわば息子の先輩達である。ボストンでは「貧困の多くは黒人」といった事実はまだまだあり、そのためか、このプログラムで育成される子供たちの多くは黒人だ。でも、開始されてから約20年になるこのプログラムの結果、それまでは青少年交響楽団の1パーセントにしか満たなかった非白人率が現在では14%に増えたとのことである。

私はクラシック音楽は全く分からないので、生の弦楽器の演奏が歴史ある建物の中で聴けるだけで感激してしまった。また、今まではコントラバスなど全く注目したことなどなかったのだが、今日はそちらばかりに目が行ってしまった(笑)。

各ゲストスピーカーの話は、私の語彙力が足りなかったのか音が聞き取りにくかったのか(多分両方)、あまり良く分からなかったのだが、最後に30分ほどの長きに渡りスピーチをした人権活動家が結論として言ったのは、多様性を受け入れながら一つにまとまろう、というようなことだった(と思う)。そして、それがただの絵空事に聞こえないのは、ここに集った人達をはじめ、アメリカ(特にボストン)で、このことについて生活のさまざまな場面で常に考えさせられるからだと思う。そのスピーチを受け、恐らく牧師だと思われる男性に代わり、楽団の演奏により、アメージング・グレースなど、教会をはじめこうした機会には良く歌われる歌を参加者全員で歌った。最後はWE SHALL OVERCOMEという歌で、そのタイトル通り、まだまだ人種差別の残るアメリカだけれど、いつかこれを乗り越えようと、さまざまな背景をもった参加者達が声を合わせ、何人かは一緒に手をつなぎながら歌う姿からは、ポジティブで温かいエネルギーを感じ、受け取ることができた。

死を以ってその人の時間は終わってしまうけれど、その心は後世に受け継がれていくという趣旨の投稿を最近目にしたのだが、まさにその通りだと思った。息子が受かったプログラムも、まさにキング牧師の「夢」を実現させた一つの形である。







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最終更新日  2016.01.19 10:58:48
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