今年度私立楠ノ宮の編入試験で全科目満点を取り、楽々クリアしてきた噂の転入生である。
誰もが見とれてしまう容貌の持ち主た。もちろん頭もキレる。
彼女は少し長い髪を一つにまとめ、制服に腕を通す。
制服はなぜか男物。背筋を伸ばし、鏡に映る自分をみる。
「ん。ちゃんと男に見えるね。」
その声はとても高く、透き通るように涼やかだった。
だが、その声が一変して低い声に変る。
声優顔負けの変わりようである。
そして彼は歩きだした。
向う先は楠ノ宮高等学校。

嵐は突然の如くやってきた。噂は噂でしかないと思っていたが、自分のクラスに噂の転入生が立っていた。
その転校生の容貌は誰もが振り返るような青好年だった。
男の自分でさえも振り返って見てしまいそうなほど。
綺麗に整っている。
(こりゃ、男にしとくのもったいないぜ・・・。)
そう男はぼやいていた。この男の名前は橘川充(きっかわ みちる)。
学校一秀才な男だ。いや、秀才だった男だ。
この男は他の生徒とは違い、順位が落ちるにもかかわらず、
「ま。一位から二位に下がるだけだし。別にどぉだっていいよ。」と、
あっけらかんと答えた男である。
この学校では珍しい順位を気にしない、ちょっと変った男だった。

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