クラシック音楽リスナーの局(tsubone)

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August 9, 2006
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当ブログの2月5日の日記 HMVで見つけました! ここで検索をかけると,ノリントンはロンドン・クラシカル・プレイヤーズとの共演で,ブラームスの交響曲を全曲 CDに録音しているのがわかり ,ついでにこれもエイやと買ってしまいました.

というわけで,↓左がそのDVD,右がそのCD.
IMG_3316.JPGIMG_3318.JPG

それで早速2番の交響曲を聴き比べました.ロンドン・クラシカル・プレイヤーズのCDは,古楽器の演奏でピッチが若干低く(A=435Hzとライナーノートに書いてある),ニ長調ながら,ちょっと渋い感じ.面白いのはDVDのシュトゥットガルト放送交響楽団の演奏も,このCDの演奏も,全曲を通してアーティキュレーションにノリントンの考えが同じように通されていることですね.古典的なアーティキュレーションのとりかたといいますか...これは文章で書いても伝わらないので,えぃ,スコアの1ページ目を↓
BrahmsNo2.jpg
たとえばホルンの2小節目から5小節目まで,あるいはフルートの6小節目から9小節目までのフレーズは普通この4小節を1フレーズにしてつなげて演奏するのがよくあるパターンですが,ノリントンの演奏ではこれを,2,3,5,小節目のホルンの3拍目や7,8小節目のフルートの3拍目の四分音符を短く切っています.そしてその四分音符の前の二分音符を少し膨らましてフレーズを作る,そんな演奏です.こんな感じの解釈をはじめ,曲全体を通して,細部にわたり工夫をしています.まず聴き始めてこの違いを聴いて,あれっ,と思って引き込まれてしまうわけですね.このほか,テンポのとり方も,随所に工夫があります.2番の交響曲に関しては私はジュリーニ指揮のウィーンフィルの演奏がお気に入りと以前から書いていますが,このノリントンの演奏も,これはこれで納得!ですね.こんなブラームスの演奏もあるんだ~という意味で,もう降参です.確かに古楽器のオーケストラでは,このような譜読みはありがちなように思いますが,シュトゥットガルト放送交響楽団は,れっきとした現代オーケストラなので,さぞかし,ノリントンの気が済むまで合わせるのに楽員は結構大変だったのではと想像します.

よく考えてみると,楽譜のスラーは,上のスコアの該当箇所でいえば1小節ずつにかけられていて,小節にまたがっているわけではないのだから,ノリントンの演奏のほうが楽譜に忠実,といえばそうなのかもしれない,ともおもいつつ,なるほどねぇ,と感じた次第.とすると,ジュリーニの演奏をはじめとして,ここを4小節1フレーズで大きく捉える考え方はどこから来るんでしょうねぇ.奥が深いですね.

さて,このDVDで映像を見ると,ノリントンの演奏が単に譜読み上の解釈だけでなく楽器群の配置にもこだわりがあったことがわかります.コントラバスが舞台中央の最後列,第1バイオリンと第2バイオリンが指揮者をはさんで対向する並び方,ティンパニは右側,ホルンは左,トランペットとトロンボーンも右,木管が弦より奥中央に,という配置で,これも古典的な配置というべきでしょうか.フルート奏者も全員木管のフルートを吹いており,金属管ではありません.これもノリントンのこだわりだとしたら恐るべし...





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Last updated  August 10, 2006 02:04:52 AM
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