Canon EOS Kiss7




Canon EOS Kiss7


    (EOS Kiss7+EF28mmF1.8USM)


勝手にインプレッション

なんと、一眼レフ普及機の代名詞EOS Kissシリーズも、これで七代目を数えることになった。「嘘をつけ、Kissには欠番がいっぱいあるじゃん」と思われるかもしれないが、確かにモデル名に数字が入ったのは3と5と7だけだが、その間にちゃんと中継ぎが現れているので、結局は本当に7代目なのである(海外モデルは数に入っていない)。

最初のうちこそ、Kissはデザインや機能の面で頭一つ抜け出た存在だったが、その後の各社の追い上げはなかなか凄まじく、ニコンやミノルタから優れた普及機が矢継ぎ早に発売されたため、いつの間にかスペックでは他社に劣伍するようになった。
さらに、Kiss3Lがデビューしたころからキヤノンは明らかにデジタルカメラに軸足を移し始めたので、正直、エンゾーは「Kiss5(正確には、5のコストダウンモデルであるKiss Lite)がキヤノン普及機の最後を飾るモデルになるだろう」と思っていた。
ところが、前作Kiss5からまる2年経った2004年9月になって、突然…しかもデジカメラッシュの陰に隠れてひっそりと…Kiss7は現れたのだった。密かに、エンゾーは歓喜した。

ちなみに、Kissシリーズの開発サイクルは次の通り。

 初代Kiss→(36ヶ月)→New Kiss→(31ヶ月)→Kiss3→(31ヶ月)→Kiss3L→(10ヶ月)→
 Kiss5→(12ヶ月)→Kiss Lite→(12ヶ月)→Kiss7

こうやって俯瞰すると、初期の頃のKissは開発サイクルが長く、ライバルも不在だったために長期安定政権だったことが分かる。最近のキヤノンというと、デジカメに力を入れて銀塩はおろそかにしているイメージがあるが、むしろ開発のペースそのものは上がっているのだから、これはちょっと意外な結果だ。実際に使えるかどうかは二の次で機能さえ詰め込めば良かった時代と違い、Kiss5以降の新世代Kissは、細かいところを真面目にブラッシュアップしてきた感があり、好感が持てる。
とはいえ、Kiss3のあとの3L(ダイヤル類を金属化し、バックライトを追加しただけ)や、Kiss5のあとのLite(廉価版)など、苦し紛れに中継ぎを投入したのがバレバレな時期も多く、 銀塩の進化の行き詰まりは早くから顕在化していた ことも窺い知れる。

さて、このような過程を経て現れたKiss7は、すでに普及機という枠組みからはみ出した、非常に完成度の高いカメラになっていた。1/4000まで切れるようになったシャッター、秒間3コマまで高速化された巻上げ、高速なだけでなく信頼性もUPしたAF、ホールディングしやすさがさらに向上したグリップ。煮詰められた各機能は、中級機であるEOS7の存在価値をも脅かすほどである(AFの精度とフラッシュの制御に関しては、EOS7を追い越してしまっている)。

もし今、デジカメでなく銀塩一眼レフを始めたいという奇特な人がいたら、間違いなくイチオシのカメラである。凄すぎます。


    (視認性の高い大型の背面液晶表示。照明ボタンを押すと、オレンジ色に光る)


しかし…。
出来が良すぎるKiss兄弟の末っ子を見て、エンゾーは一抹の寂寥感を覚えた。
「ああ、つまりキヤノンは、これをもって銀塩の最後を飾ったのだな…」
そんな思いがこみ上げてきたからである。事実、2004年10月にKiss7が発売になったのを最後に、キヤノンからは銀塩一眼レフの新製品の噂がぱったりと途絶えた。おそらくは、そういうことなのだろう。

機を見るに敏なキヤノンは、すでに銀塩機の積極的な開発から手を引くことを公式に表明している。確かに有終の美を飾るに相応しい名機だと思うが、それでも、次の開発サイクルに何かが出るのではないかと、つい期待せずにはいられないエンゾーなのだった…(T-T)。



長所

○ラバーコートが施されたことによって、Kiss5よりもさらにグリップしやすくなった。
○AFロック後に構図を変えると、動体予測AFに勝手に切り替わるという悪癖が、ようやく解消された。
○デジカメライクな大型液晶は、バックライトも点いて表示が大変見やすい。
○シャッタースピードや巻上げ速度が格段に上がり、レスポンスが良くなった。気持ちいい!
○なんと銀塩EOSで唯一(!)、内蔵ストロボと外付けストロボの両方でE-TTL2に対応している。

短所

●Kiss5から継承されたテカテカ銀ボディ。目立ち過ぎだし玩具っぽい。なんで黒じゃないの!(TmT)
●右手親指の付け根が触れる部分はラバーコーティングされていないので、滑りやすい。惜しい。
●十字キーが付いたのはいいが、あまり実用的だとは思えない( ̄▽ ̄;)。
●これでスクリーンが交換できたら…(贅沢?)。

超個人的オススメ度 (10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆  

偏愛度 (10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆

Yahooオークション出現率 (10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆
これだけ高性能なボディが、いまや新品価格でも3万円台半ばで手に入る。凄い時代になった。






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