July 22, 2006
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カテゴリ: 現代社会の問題
●友人の奥さんから精神障害者達と格闘している向谷地生良(むかいやちいくよし)さんの『「べてるの家」から吹く風』という本を紹介された。べてるの家は、北海道浦河町にある精神障害者達の家である。
●今回は、この本の内容と絡ませて、精神病や精神障害者の問題について触れてみた。

べてるの家

●精神障害には先天的なものと後天的なものがある。おそらく後者の方が圧倒的に多いのではないかと思う。
●これは次のような家族関係や教育の場、職場などで組織内でのストレスや人間関係が原因ではなかろうか。

・競争社会であり、優劣や成績による評価がついて回る。
・豊かな人間性の涵養ではなく、カネの稼ぎ手としての知育教育になっている。
・権威と能力がものをいう社会である。
・組織は封建制度になっている。
・お金がなければ生活できない。

・親が子供を保護・支配する。
・上記に伴う様々な社会的差別がある。

●私は、精神病対策の基本は、これらの人間の様々な組織のあり方を含む人間関係の改善にあるのではないかと考えてきた。これらの関係が人間的なものになれば、精神障害の発生そのものが少なくなると思っているのだが…。
●確かに、精神病は社会の仕組みをいくら人間的なものにしても、全ての病気が無くならないのと同じ理由で、無くならないかもしれない。未来社会でも精神病や精神障害に対する治癒のあるべき姿を模索する必要性がある。

●ところが、現代社会(資本主義社会)の精神病や精神障害者の医療は、薬物による脳の「治療」がますます盛んになっているようだ。
●現代医学は、精神病を「心の病」ではなく、「脳病」とするようになってきた。神経伝達物質の分泌量の制御は、薬物による感情のコントールである。
●向谷地さんは、「医学="囲"学」「看護="管"護」「福祉="服"祉」になっているのではないかと言う。
●専門家は次のような病名にかかりやすいと言っている。
・過剰保護代理行為型不安心配症
・過剰心配型多剤投薬症

●抗精神科薬に頼るのではなく、「安心して爆発し、文句のひとつも言いやすくし、しっかり悩むことをじゃましない」ことが肝心であると言い、様々なキーワードをあげて解説している。

・だめなままの自分を受け入れよう
・降りていく生き方

●そして、世界にも例の無い精神所障害者自身が自らの病を研究する 「当事者研究」 という治療方法を実践している。

従来、研究とは科学的な視点から専門家が問題解決の方法を探り、様々な事象の真理に迫ろうとする方法である。常識的に考えて、統合失調症の当事者が、研究対象になることはあっても研究の主体になることは想像もつかいないことであった。この出来事を通じて、「当事者研究」というおそらく世界ではじめての試みがはじまったのである。

●具体的に、次のような当事者研究や救援隊を紹介している。

・幻聴の研究班、当事者達による幻聴さんレスキュー隊の設置
・脅迫的な確認行為のメカニズムの解明とつきあい方の研究
・暴走する体験感覚の研究-もうだれにもとめられない
・人間アレルギーの研究班

●サポート側での姿勢として、次のような点をあげている。
・「苦労の先取り」で大切なのが、「それで順調!」という「楽観」
・当事者主体の援助
・誉めること
・公私混同のすすめ

●精神障害者達の起業もユニークであり、次のようなキーワードによって様々な事業を展開している。
・心と身体に優しい会社づくり
・いつでも廃業
・出勤したくなる会社
・むなしさを絆に
・安心を届ける

"べてるウィルス"に感染すると、「反転症状」というものが起きてくる。代表的な反転症状は、"病気"なのに心は健康になる、"貧乏"なのに商売が繁盛する、"病気"のおかげで昆布が売れる、"病気"のおかげで友達ができる、"絶望"するほど「いい落方してきたね」と誉められる、"病気"になってきてホットするなどである。"べてるウィルス"に感染すると、こういった症状がジワジワと起こりはじめる。
…ということのようである。

専門家が「答え」と「真理」の鍵を、常に握っているとする専門家神話は、既に崩壊しつつある。ちまたでは「専門家の当事者化」と、「当事者の専門化」が始まっている。だれもが、「自分の人生の当事者」にならなければいけない時代のなかで、人から不当に支配され、管理される精神医療の現場は、健全とはいえない。
…と言っている。

●「べてるの家」の実践は、専門家による「抽象的思考」や「科学的思考」が如何に当事者をなおざりにした「治療」を行っているかということの証明ではなかろうか。

●「当事者研究」や「当事者同士の救援隊」は、年金生活者や介護の対象としか見られていない高齢者に関しても応用できるのではないかと思う次第である。

●「未来社会の構造」での関連説明
■職業
■高齢者





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最終更新日  July 22, 2006 05:58:01 PM
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