常緑樹21 ○と○の間には…


(平成14年8月号 2003/7/20)

いやぁー札幌市の再選挙は驚き。
大変な費用がかかったらしい。
とにかく北海道もだが、生みの苦しみを味わったのだから、こんな時代に舵取り役を担うこととなった新しい首長に期待しましょう。

残念なのは低投票率。
有権者に諦めがあったのかも知れないが、諦めたらそこで終り。権利を使わずしてあとで不平不満だけはいわないように。
各議員も党利党略などといわず、本当に市民のためになる議論をお願いしますよ。

ほとんどの候補が景気回復、雇用促進や役所の改革に加え、福祉の充実を訴えていたが、流行のようだし、本当に必要だからだろう。
でもこの福祉という言葉が出なくなったときに初めて当り前の福祉社会になる気がする。
ところで選挙公報の文字って小さくなかった?折角の公約も読みにくいぞ。

福祉という言葉は本来「福」も「祉」もどちらも幸せという意味で非常に良い言葉。
でもその幸せには天、あるいは神からの賜りもの、という意味があり、なにやら幸せはお上からの授かりもの、貧しさから救ってやろう、という感じがして気になる。
年配の方が、福祉の世話だけにはなりたくない、ということがあるが、ここに「上から下へ」という臭いがするからか。  

ある方が「福祉のふは風呂、くはくいもの、しはシッコ」とおっしゃった。
この現実にどう対処するか、上から下への流れが変わらない限り、まだまだ大変だ。

もう20年もすると団塊の世代が年をとり、人口も減り、その半分以上が50歳以上、3人に1人が高齢者となるという予測もある。
その時代こそ少子高齢化の大変さの本番。
福祉と声を出さずとも当り前になるよう、首長はじめ公務員や私たち自身、皆でよってたかって今こそ知恵を絞る必要がある。

昔流行った「黒の舟唄」という歌だったかに「♪男と女の間には暗くて深い河がある」という歌詞があった。
男と女の間の深い河、なんとも意味深で悩ましい歌詞だが、深い河は男と女の専売特許ではない。
周りを見渡すといろいろなところに深くて暗い河がある。

「親と子」、「嫁と姑」、「行政と一般市民」、「医者と患者」の間にもある。
「介護する側とされる側」、「サービスを提供する側とされる側」、「介護機器を作る側と使う側」、「情報を出す側と受ける側」、すべての「こちら側とあちら側」に深くて暗い河がある。
この深い河こそがしっくりとしない現実を生んでいる根源のようだ。  

この河を何とかして埋めて、「意識のズレ」や「考え方の溝」をなくしたい。
これは誰かがしてくれるんじゃない。
こちら側も自分から埋めていき、あちら側からも埋めてきてほしい。
その河が浅くなった分、少しだけいい時代が近づいてくるのだと思う。

♪誰も渡れぬ 河なれど エンヤコラ 今夜も舟を出す ローエンドロー ローエンドロー

© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: