常緑樹２５ ズーッと向こうで、誰かに…
（平成１６年４月号 2004/3/20）
縁は異なもの味なもの、人との出会いは実に面白くてありがたい。
五十四年の人生、もの心ついて以降、何人の方とお会いしたか正確に数えることはできないが、日本中を旅し、いろいろな町に住み、小から大までいろいろな規模の会社も経験したので、相当の数になると思う。
奇縁もあれば、腐れ縁も。気心の知れた人もいたし、嫌なのもいた。
こちらが好ましく思っても相手はそう思っていないこともあっただろうが…。
よく歴史上の人物や、事件の中心となった政治家などの相関図を見ることがあるが、自分を中心とした相関図も作ってみたい。
ズーッと向こう側に思いがけない名前を発見できるかと、期待にワクワクする。
地縁、血縁、妙縁、奇縁、いろいろな縁で結ばれて、浅からぬ因縁ができる。この仕事を選んで最も嬉しく、醍醐味があるのもそこである。
取材相手、情報提供者、連載執筆や表紙など制作協力者、広告主、株主、それに印刷に関係したいろいろな方、配送を担当してくれる方もいる。
そしてもちろん読んでくださる読者の方も。
「人」が「人」と結んでくれて、新しい世界が広がる。
今回の対談でニセコ町の逢坂誠二町長に出ていただいたのも、そんな縁の一つだ。
昨年８月から本年３月まで、ＦＭアップルに出ていたが、これは創業時、知人の紹介で福津京子さんの番組に出してもらったのがきっかけ。
彼女は昨年、市の情報センターの仕事で俳人榛谷美枝子さんを取材した。
榛谷さんは、橋本登代子さんの紹介で以前本誌対談に登場いただき、さらに昨年一年間はご夫君一木万寿三さんの油彩とともに表紙を飾っていただくなど大変親しくしてもらっている。
その取材の折、本誌の表紙の話題となり、福津さんの記憶が甦ったそうで、久しぶりの連絡があり、結果アップル出演の運びなった。
私は毎週火曜日の出演だが、水曜日の同じ時間に逢坂町長が出ておられた。
新聞やテレビで拝見し、ぜひ一度お話を伺いたいと考えていたので、図々しかったが、打診してもらったところ快諾をいただき、この対談が実現した。
私が福津さんや橋本さんを、橋本さんが榛谷さんを、福津さんが逢坂さんを知らなかったら、どれか一つでも欠けたらこの対談は実現しなかった。
ありがたいことだ。
ところで逢坂さんは誠実で緻密、何とも素敵な方である。想像を絶する分刻みの日程を精力的にこなす。
首長たるもの、気力と体力の充実に加え、想像力と柔軟な発想が必須なのだろう。
今号と次号、百期百会をぜひお読みいただきたい。
いろいろな考えや立場がおありだろうが、時機がきても故郷を忘れず、例えば全国の中小自治体の「顧問」か「相談役」はいかがだろうか。
地方の力になり、地方から日本や世界に力強い提言を発信してくださることを願ってやまない。
※この欄はこのたび誌面刷新の一環として、創刊以来の巻頭から移転しました
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