★☆FINE DAY☆★

父親と暴力

物心ついたときから
「父親」っていうものがどういうものなのかわからなかった。

気に入らないことがあれば殴る蹴る。
酒をあびるほど飲む。
母親を殴る。
妹を、俺を。


友達の家に行くたびに
「父親」って?
「家族」って何?
考えればキリがなかった。


どうしたら母親が、妹が、俺が、殴られずにすむんだろう?


誰が悪いの?
俺?


小さい頃は力もかなわなくて
ただ殴られて
押入れの奥に引き篭もって
体の痛さや
それよりももっと痛い
精神的な痛さに耐えながら
吐きそうになるまで泣いていた。


扉を開けられて
引きずり出されて


『何のために産まれたの?』


誰も答えてくれない。
心が完全に冷えていく。
いつか堕ちて
砕け散るんじゃないかって
思ってた。





だんだんと俺が抵抗する力と身体を手にいれ始める。
それは成長という名の救いだった。

俺達が一方的に殴られるのではなくて
俺と父親との殴り合いになる。


必死だった。


誰かに言えばよかったじゃない?っていう人もいるだろう。
でもできなかった。


「恥ずかしいことなんだ」っていう気持ちがあった。


首筋に残る火傷の跡が恥ずかしくて
髪の毛はいつも長めだった。





でもある日こんな日々が終わった。




俺が突き飛ばされて
窓に激突して
ガラスが割れた。
その拍子に太ももの太い血管を切ってしまった。



半端ない痛さだった。



初めて「死」を思った。
意識が遠くなるのってこういうことなんだって。



母親の悲鳴を聞いた気がする。
俺のそばに駆けつけた妹の姿が霞んだ。







気がついたら病院のベットで。

周囲には警察や
祖父母の姿があった。

ほどなくして離婚。
今では父親がドコで何をしているのかもわからない。


「どうしたらよかった」なんてわからないままだけど
少なくてもこれだけはわかる。


暴力はダメだ。


愛し方がわからないなら
子どもなんて作らないでくれ。


親が親になりきれていないうちに
この世に子どもを産み落とさないでくれ。


傷つけないで。
抱きしめて、愛してやれ。


父親の育ちにも要因はあったけど
子どもは親を選ぶことは出来ない。


暴力による身体の傷は癒えても
精神的な傷は
完全に消えることはないだろう。


幸せなことは
当たり前なことが
当たり前に与えられることだ。


子どもを、愛してください。


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