森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.08.08
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カテゴリ: 行動のポイント
「かくあるべし」と「夢や目標」には共通点がある。
それは両方とも、意識や注意が今現在ではなく、遥か彼方にあるということだ。
そのためか、この2つを混同して考えることがある。
共通点はあるが、この2つは似ても似つかない違いがある。今日はこれについて考えてみたい。

「かくあるべし」は自分の頭の中で考えた理想を意識している。
こうでなくてはならない、こうであってはならないなどは、すべて現実の事実を無視して、現実を自分の頭で考える理想に近づけようとする態度である。
「かくあるべし」は、自分の立っている位置が、現実とはほど遠く、雲の上のようなところに立っているのである。
その地点から、事実、現実、現状を見降ろしていると、理想とはほど遠く、我慢がならなくなる。
自分の容姿や性格、能力や境遇、欠点や弱点、ミスや失敗などを素直に認めて受け入れることができないのだ。そこで事実を修正、改造しようとする。また、その事実をねじまげたり隠そうとする。

しだいに観念と実生活の悪循環が始まるようになるのだ。
そういう人は、他人を見る場合も、自分以上に「かくあるべし」という物差しで善悪の判定をするのである。自分の頭で考えた理想に他人を合わせようとするのである。
自分のやることなすことを否定してくるので他人にとっては面白くない話である。
自分の存在や問題点などの事実を否定された人は当然反発してくる。
そのうち「かくあるべし」を正面に押し出して、人と付き合っている人は敬遠されるようになる。
その結果、ますます対立を深め、さらに「かくあるべし」を強引に押しつけてしまうということになりがちである。森田理論学習では、 「かくあるべし」を少なくしていくことが実践目標となる。
そのためには、どんなに気に食わない事実、現実、現状であっても、まずはそれらを素直に認めていきましょうということになる。その方法はこのブログで述べてきているとおりである。

次に「夢や目標」も遥か彼方に視線を向けている。
視線は今現在自分の立っているところから、遥か上にある「夢や目標」を見上げているといえる。
「かくあるべし」と違うのは、 「夢や目標」の達成に向かって、努力精進してゆきたいという気持ちを持っていることである。
つまり現在の自分の立ち位置が、事実、現実、現状にあるといえる。

そして今の自分には、 「夢や目標」との間に大きな乖離があるというこを素直に認めている。
次に「夢や目標」の達成に向かって問題点や壁を乗り越えて、階段を一歩一歩登ってみたいという気持ちを持っている。次第にやる気や意欲が高まり、生きがいを持てるということにもなる。
これは森田理論で言えば、生の欲望の発揮に邁進している状態である。

「かくあるべし」と「夢や目標」というのは、同じように事実、現実、現状とはかけ離れたところに注意や意識があるのだが、その中身を見るとまるっきり違う。
その大きな違いは、自分の立ち位置である。現実に身を置いて、下から上目線で見上げているのか。

森田理論を学習していると、上から下目線が少なくなり、下から上目線でものを見るように自分自身が変化してきたと感じられるようになる。
「かくあるべし」が少なくなると、葛藤や苦悩で苦しむことが少なくなるので、とても生きやすくなるのである。





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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

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