04/11/07 試乗最大の冒険



今日もH木さんのヒトコトで幕が開けた

「あこちゃん、試乗機あるから乗ってみれば?」

と、指さす先には「今日の試乗機」のリストが書かれた小さいホワイトボード。
そう言えばこの間、グライダーでかくて前でなかったってのもあって、
一度、適正体重のグライダーに乗ってみたいと思ってたんだよね。
なにより買い替えも・・・ささやかれてることだし?

全くもってギアに詳しくないあたしの代わりに、H木さんがチョイスしたのは
「OZONE」 「MOJO」 「VIBE」

どちらもSサイズであたしのスターティングウェイトはちょうど真ん中らへん。
うんうん。ここんとこネタ切れ感あったし、ちょうどいいかも。
しかも、万が一ソアリングできなくても試乗機でネタが出来るぞ。にひひ。

などとよからぬ事を考えつつ白糸へ。
それにしてもめっちゃくちゃ空が綺麗です。テイクオフから見る天子岳には
早くもぽっこりとサーマル雲が出来ている。
風は朝一は3~4mくらい。ま、これからどんどん強くなるだろうから早めに一本行っときますかぁ。

まずは・・・えーっとなんだっけ、JOMO?あ、それはガソリンスタンドだ。
そうそう、「MOJO」ね、もじょ。これから借りてみる事に。
どうでもいいけど・・・もじょ・・・変な名前~~~

一応最初なんでフロントで・・・。
いや、ほら、あの、その。借り物になんかあっちゃいけないから・・・さぁぁぁ
(;´∀`)

そう言えば何にも注意点聞いてこなかったケド・・・ま、初級機だし。なんとかなるだろ。
テイクオフして、朝一なので東尾根でサーマルを探す。
すぐさましっかりしたリフトがあり、早速まわしてみると・・・はいぃ!トップアウトです!!

結構しっかりしたサーマルだと思うのだけれど、TONICだと、「ここでがつっと来てキャノピーがかぶってきて」・・・ってところが
安定性が高いのか、全然ゆれない。ほとんどピッチング修正もローリング修正もしないままめきめき上昇する。

すっかりイケイケ気分になったあたしは次第に混み始める尾根の上で
他の人がまわしてるところに行ってみたり、まちゃみと一緒に回したり。
いつもは廻さないところへ行っては、積極的に攻める攻める!!

段々調子に乗って、あ、てっちゃん廻してるー♪しかも上がってる~♪
と、あたしも突っ込んでみるが、 みるみる沈下。
いやまてよ。あそこまで行けば上がるのかな?とも思ったが、
テイクオフの裏側だったので慌ててUターン。ぎりぎりでテイクオフの上に戻る。

危うく尾根越えられなくなるところですた。。。アワワ ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿 アワワ

しかし全体的に思ったのが、なかなか回りはじめなくてコアの小さいサーマルだとはずしてしまうのだ。
やたらと斜面に突き刺さりそうでしたが・・・(゚Д゚;∬アワワ・・・

どーしても旋回が大きくなってしまう。なぜだぁ。

たっぷり50分ほどソアリングのち、LDしてからH木さんに聞くと

「OZONEのグライダーはピッチ・ロール安定が良い分、
ブレイクコードでの操作がメインだから、体重ばっかりいくら入れても回らないんだ。
旋回に入ったらもっと内側ひいて、外翼バンザイ気味で良いよ」

なんだ、そうか・・・TONIC並みに外翼当ててたからなかなか切り込まないのかぁ。
聞いてから出れば良かったかしらん。

まだ11時過ぎたばっかりだったので、もう一回MOJOを使って2本目に向かう。

さすがにテイクオフの風は強くなってきていた。4~5m。
さっきから飛びっぱなしのフライヤー達は右のリッジ帯に場所を変え、ソアリングしている。
あたしもそこへ行こうっと。

mojo
コレがMOJO。
写真提供=シンクさん

さすがに今度ばかりはクロスで出ます。
適正サイズだけあって。立ち上げた時のプレッシャーが全然違うぅ~

出て、すぐ右尾根へ。上昇帯めがけてソアリング開始、しかし混んでいる。
一コブと呼ばれる稜線で一番高い部分もすでにみっちりグライダーが蚊柱のように飛んでいる・・・
えーん、稜線の上とか行きたいけど、人いっぱい居て近寄れない。
こそこそと人の居ないところを探してちまちま行ったり来たり。
うーん、まったりフライトすぎてあまり印象が無い・・・40分弱くらい飛んでたのかな?

そのあとはお昼を食べ、まだまだがんがん行けそうだったので今日はすぐさまテイクオフへ!
だってここで差がね!差がね!!(根に持ってる)

3本目には「VIBE」を使いまする。
H木さん、コレの注意点は~~~!?

「操作がTONICと違って引き始めから回るというよりは、ワンクッションあってじわっと回りだすけど、
そこからは急に切り込んでくるから、そこだけ注意して。」

はーい。
でもさぁ~コレって、 DHV1-2 なんだよね。ちょっとドキドキ・・・

ん?DHVとは何ぞやと?
それはね、まぐろの目玉とかに多くに含まれて・・・って、そりゃDHAだ ナンデヤネン┌(`Д´)ノ)゚∀゚ )。
ドコサヘキサエン酸なんて、誰もわかんないっつうの。

んーとね。  DHV はドイツハンググライディング連盟のことで、
その組織が築いた工業規格・安全規格としてはパラの世界標準とも言えるので、各グライダーはこの規格テストを通して販売している。
最も安全な物をレベル1とし、数値が小さい方がつぶれや失速などからの回復が容易で、
1-2、2、2-3、3・・・と数値が上がるごとに操縦が難しくなり安全性は低くなる
のです。
で、このVIBEは1-2で、あたしの持ってるTONICはDHV1だから、
ちょこっと操作に気をつけないといけないよ~ってな物なのだ。多分。
間違ってたら誰か指摘してください。。。

あい、これがVIBEです。
立ち上がりきってないのに振り返ろうとしてるのががっつり写ってます・・・

VIBE
写真提供=シンクさん

空いているのを良い事になんちゃん巻き込んでクロスの練習。
現場から失敗テイクオフ写真が届きましたので
ちっちゃくさらします・・・


皆さんの愛あるアドバイスお待ちしています。。。

よっしゃ、今度こそ!と意気込んで立ち上げたら、振り返る前にうきあがってしまい、バックしたままテイクオフしてしまった。
当てるのが弱かったんだよね。でも、判った時にはもう遅い。

あーん!!前もやったっけねぇ~~~

じわりとライザーのねじれが戻るとともに、ぶうんと、振り回されながらも体が正面に戻る。
が、今度は思った以上にコントロールできなくて、機体が大きくローリングに入ってしまった。
テイクオフにいた弥生ちゃんの悲鳴が白糸にこだましていた。
しかし、なんとか押さえ込み、何事も無かったかのように右尾根の稜線へ向かう。

ドキドキドキ・・・こえーこの機体・・・絶対かわねー

と、とにもかくにもリッジ帯へ。
混んでる中を他機に注意しながら粘る。粘る。粘る。

途中、大分渋くなってきたけども、なんとか生き残る。30分くらい経つと4機だけになってしまった。
調子よく高度を維持し、1コブのあたりで粘れるようになると
バリオを見てふと気づいた。

高度が1000mを行ったり来たりしている。

確か、それだけあれば・・・行けるって。誰かが言っていたはず。

南尾根

どうしよう。気づいてしまった。
充分いける高さなんだ。今のあたし・・・
急に心臓がドキドキしはじめた。

行くべきか。でも、無線ないし・・・(飛んでる最中にまたバッテリー切れてしまった)
多分、今頃LDでH木さんが南尾根に向かうように指示してるんだろうな。
でも・・・話には聞いたことあるけど、一人では。自信がない。どうしよう。
高度は少しづつ上がったりさがったりを繰り返しながらほぼ同じ高度を行ったり来たりしていた。
バリオを見つめながら焦燥感に駆られる。
飛んでいた3機を交互に見つめる。

誰か、誰か。誰か渡らないのかな。

誰か行けば同じ高度で突っ込めばいいはずなんだ。

すると、しばらくして少し下を飛んでいた白いグライダーが南尾根へと機首を向けた。

ゆっくりと、南尾根へ向かう白いグライダーを固唾を呑んで見つめていた。
行った。行った。
どうなる、どうする?神様・・・

長い沈黙が訪れる。

恐ろしく長い時間のあと、白いグライダーが南尾根に着いた。
グライダーは機体を揺らしながら、しっかりとリフトを掴んで尾根の上へ上っていく。

バリオを見た。1000mある・・・!

次の瞬間、自分の中から無線が無いとか、怖いとか、そういうものが全て消えてあたしは猛然と決意した。

「行くんだ、あたしも行くんだ。南尾根」

1コブを少し越えたところから機体の向きを変え、ただまっすぐ目的の場所をめがけ、
ゆっくりと、確実に機体は南尾根へ向けて走り出した。

コース取りはあっているかどうかも良く判らない。でも、もう行くしかない。

ちょうど谷の真ん中辺りでバリオが下降音を鳴らす。
その沈下に思わずぎくりとする。
いや、待て落ち着け。谷の真ん中は下がるけど、そこをじっと堪えればまた向こうに着いた時リフトがあるから大丈夫だって。皆言ってたじゃない。

だいじょうぶ。いける、いける、あたしは行ける。
行くんだ。あたしも行くんだ。

そんな事をぶつぶつとつぶやいていたと思う。
何かが腹の中から湧き上がるんだ。
心臓が、割れ鐘をたたくように打っている。ちゃんと呼吸をしているのかも判らない。早く。早く。
焦る心を抑え、恐ろしく長い時間をかけて、それと思しき尾根が近づいて来る・・・と、すぐさまリフトがあり、斜面を上昇し始める。
ゆらりゆらりと斜面を登りながら。

本当にココが南尾根?

思ったよりも難なく着いてしまったのでイマイチ実感がなく、
思わず辺りをきょろきょろと見渡した。
すると、テイクオフの方向をみると見たことが無いくらいテイクオフが小さく見える。

来た、来ちゃった。ホントに来ちゃったんだ!
すごい、すごいよぉ!!

白いグライダーがすぐそばでリッジを取っている。
あまり強くは無い上昇を使いながら稜線の上へ出ると、見たことの無い景色が広がっている。

嬉しさのあまり、叫びだしそうだった。

しかし、少し冷静になると。

(;゚д゚)ァ.... それにしても稜線のどっち側にいればいいんだろう?
LDに帰るときはどこ通ればいいんだろう???などと気づく。

しかし、すぐあとからN川さんがやってきて、すぐまた引き返した。
ああ!きっとついて来いって事なんだわ!と、勝手に解釈し
N川さんが引き返すのをしばらく見ながら同じルートを通ってもといた尾根へと戻る。

さっきまで、あそこにいたんだぁ。。。
あんなに遠いと思ってたのに、行ってみたらなんだか近く感じた。

ねえねえ、皆見てるかな!?
あたし、行っちゃったよぉ!一人で渡っちゃったよぉ!
早く降りて皆に興奮を伝えたくて、LDに向かうが、なかなか沈下しない。
あーん!早く降りたいのにぃ~~~!!
サイドアプローチでおろそうと思ったのはいいが、興奮のあまり完全に頭から高度処理の感覚がすっぽ抜けていたらしい。
小山の上で高度を落とすために旋回したはいいが、曲がりだしの遅い機体だというのをすっかり忘れていて
明らかにワンテンポ旋回が遅れた。回り終わった時には木と同じ高さ。

うわ、うわ!だ、ダメだぁーーーーーーーーーーーーーーー!!

体の左側を木や枝をしならせて突っ込んだ。
LDから悲鳴が聞こえた。

ああ。ツリーランだ。オチがコレか。
所詮はあたしのやることだもんさ。そんな上手く行く訳ないんだわー!!

完全に覚悟を決めたが、身体は木に当たりながらもグライダーは生きている。
その次の瞬間LDにいたH間さんが拡声器で叫ぶ。
「バンザイしろぉ~~~!!」という声が聞こえ、はっとして慌てて手を放す。
すると、スピードのついた機体は、何とか枝にぶつかりながらもラインに絡まる事無く木々を突き抜けた。
大きくローリングしながらまたLDに出たので。またブレイクを掴み修正しながらなんとかかんとか着地する。

「こ。怖かったよぉおおおおお・・・・」

そのまま腰を抜かしてへたり込んだ・・・
が。すぐさま南尾根の興奮が戻ってきて砕けた下半身をよろよろさせながら
H木さんに駆け寄った。

ひ。ひ。ひ、H木さん、行っちゃった。行っちゃったよぉ~~~!!

「それはいいけど、無線聞こえてなかったのか?」

うっ。。。
すいません、バッテリー切れてた・・・みたい・・・。あ、あはは

「無線切れてるのに、行くやつがあるか!ばかもん!!」

って。あーーーーーーーーーん!!ごもっともですぅぅぅ

で、よくよく聞くとあたしが着いて行った白いグライダーはスカ朝の人ではなくて、余所のエリアから来ていたビジターさんだったようで。
南尾根に行くの2回目だったんだって・・・さ。
だから付いてっちゃだめだよー!って届かない無線に向かって叫んでいたらしい。ご。ごめんなさい。

「せっかくフル誘導してやろうと思ったのに・・・」

ゴメンナサイってばぁぁ
でもさ、えらいでしょ?すごいでしょ?

誉めて誉めて誉めてーーーーーーーーー♪
っとすっかり腹丸出し状態なのでした。。。

そんなわけで、試乗機で3本。
TONICで出来なかったことをあっけなくやってしまいました・・・
やばいっす。もう乗れないかも・・・TONICちゃん・・・

嗚呼・・・どこにあるんだよ、そんなお金・・・

テイクオフした時は絶対買わないって・・・言ってたはずなのに。うぐぐ。

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