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2017.10.27

『小川洋子対話集』3

カテゴリ：アート

図書館で『小川洋子対話集』という本を、手にしたのです。
小川洋子対話集ってか…目次を見ると対話者が異色で、期待できそうである♪

小川洋子著、幻冬舎、2007年刊

＜「BOOK」データベース＞より
日ごろ孤独に仕事をしている著者が、詩人、翻訳家、ミュージシャン、スポーツ選手と語り合った。キョロキョロして落ち着きがなかった子供時代のこと、想像力をかきたてられる言葉や文体について、愛する阪神タイガースへの熱い想い、名作『博士の愛した数式』秘話など心に残るエピソードが満載。世界の深みと、新たな発見に心震える珠玉の対話集。

＜読む前の大使寸評＞
小川洋子対話集ってか…目次を見ると対話者が異色で、期待できそうである♪

amazon 小川洋子対話集

田辺聖子さんとの対談を、見てみましょう。

p11～14
＜「夢見小説」とごった煮文化＞
小川：全集の刊行、おめでとうございます。

田辺：ありがとうございます。

小川：私、毎月毎月、素晴らしくずっしりとしたご本が届けられると、休みなく書き続けてこられた田辺さんのエネルギーがすべてあそこに詰まっているような気がして、本当に尊敬の気持ちを抱くんです。もう40年でいらっしゃいますか。

田辺： 40年になりますね。

小川：ご自分でも、一冊一冊、お手に取られると、やはり、感慨がおありになるんじゃないですか。

田辺：どうしてこんなに書いたのかな。目の前に次から次へと締め切りが迫ってきて、それで40年来たという感じです。よく夢を見続けてきたなと自分では思います。やはり、夢を見ないと、ああいう夢の小説は書けない。

　私、「こういう夢があるんだけれども、みんな、どう思います？」「こんな夢好き？」と、みんなに言いたくて書いてきたと思うの。日常のなかで、ちょっとずつ色変わりしていく気持ち。ほんのちょっとしたことが重なって、ヒロインがいろいろな物の見方を覚えてしまって、「ああ、そうか、こんな見方もある」「そういう見方からうると、この男は、きっと賢くない」というふうに気持ちが変化していくことがあるじゃないですか。本当に好きだった人が嫌いになるというんじゃなく、ね。そういうふうなものが書きたいというのがいつもありました。

小川：「夢見小説」と、ご自身おっしゃってますね。

田辺：だから、ドラマティックでもなく、ものすごい波乱万丈でもありません。何か事件があるわけではなく、ひたすら女の子のきもちだけで書いていくの。これは、主人公が女の人じゃないといけないところがあるんですね。そして、いつも、年を30過ぎてというところに設定しているのは、まだ女の子の夢も見られるし、中年の域へも入りかけという微妙な年頃だから。

小川：ちょうどいい頃ですね。
（中略）
小川：先生の『しんこ細工の猿や雉』のなかに、女学生の頃に、本ごっこ、著者ごっこをして、お話を書いてはクラスメートの人たちに「読んで、読んで」と回し読みをしてもらったというエピソードが出てきますね。それが原点で、ずっと今に引き継がれてきているという感じがします。

田辺：まことにそうだわ。「ちゃんと、順番を間違わんと読んでね」とか言ったの（笑）。

小川：そこがまたかわいいところです。十巻ぐらいまであるすごい長いお話を書かれて、読んでろお友達に「今、何巻を読んでる？」とお訊きになる（笑）。そういうふうに、「私、こんなことを考えている。こんな夢みたいな楽しいことがあるの」ということを人に言葉で伝えたいという少女の気持ちを、結局、40年ずっと変わらずに持ち続けていらっしゃったということなんでしょうね。

　私も実は同じことをしていたんですよ。先生に遅れること何十年、子どもの頃に、やっぱり、大学ノートにお話を書いて回覧していました。

田辺：よかった、私だけじゃなかったんだ。

『小川洋子対話集』1 ：翻訳家の柴田元幸さん、作家のレベッカ・ブラウンさんとの対談
『小川洋子対話集』2 ：翻訳家の柴田元幸さん、作家のレベッカ・ブラウンさんとの対談の続き

この本も小川洋子ミニブームに収めるものとします。

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