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2024.09.16
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『身近な漢語をめぐる』という本を、手にしたのです。
どこを開いても・・・漢字の蘊蓄、漢詩が述べられていて興味深いのである♪




木村秀次著、大修館書店、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
生活にいきづく漢語の知られざる魅力を探る。
【目次】
1 読みのすがた(字、茶ー字音のみの漢字/菊、蝶ー古訓と漢字音 ほか)/2 意味のうごき(青春(一)-漢詩における「青春」/青春(二)-明治文学の「青春」 ほか)/3 表現のはたらき(粛粛、蕭蕭ー畳語型の漢語オノマトペ/「深深」と「しんしん」-漢字表記と仮名表記 ほか)/4 文明とのかかわり(沸騰ー古代漢語の再生と比喩/蒸発ー蘭学者の造語 ほか)

<読む前の大使寸評>
どこを開いても・・・漢字の蘊蓄、漢詩が述べられていて興味深いのである♪

rakuten 身近な漢語をめぐる


冒頭の「Ⅰ 読みのすがた」で茶の歴史が述べられているので、見てみましょう。
p7~10
<茶の歴史>
「茶」(チャ)も中国語の発音に基づく「字音」であり、また、一字の漢語である。辞典による異なりがあるが、『新字源 改訂新版』(角川書店)では、呉音ダ、漢音タ、唐音サで、チャは慣用音としている。

 白川静『字通』(平凡社)は「茶は古い字書に見えず、その初文はおそらく「茶」であろう」という。「茶」は音「ト」で、「にがな」というキク科の多年草と、いわゆる「チャ」の二つをさす。解字辞典や漢和辞典によると、「にがな」と「チャ」の二つの植物を区別するために「チャ」の場合は一画減らしたものとし、一説にその時代を唐代とする。

 日本の「茶」の歴史について、『日本大百科全書』(小学館)から関連部分を引用する。
 喫茶の歴史のもっとも古いのは中国で、地理的に近いわが国には天平時代(729~749)にその風習が入ってきたようである。(中略) 805年(延暦24)伝教大師最澄が茶の種子を持ち帰り比叡山麓に植えたと伝えられ、806年(大同1)には弘法大師空海も茶の種子や茶を搗く石臼を持ち帰ったといわれている

 日本に存在しないもので、名称もなく中国語音に基づいて「チャ」と読みならわすことになる。
 帰国僧たちの持ち帰った茶は団茶(蒸した葉を石臼でついて固めたもの)であった。薬用の役割をもつ貴重品で、朝廷や寺院などでわずかに飲まれるにすぎなかったようである。日本の歴史書では『日本後期』弘仁6年の条に初めて現れる。
 大僧都永忠、手自煎茶奉御。<大僧都永忠、手自ら茶を煎じ奉御す。>

 永忠は唐に留学した僧。嵯峨天皇が唐崎に行幸した際、茶を煎じて奉った。西暦815年のことである。

 同じ9世紀、嵯峨天皇は『凌雲集』に収める五言律詩の中で、詩を吟じつつ芳香の茶を搗き琴の調べに耳を傾ける、とうたい、菅原道真は『菅家文草』で、五言古詩「東方未眠 悶飲一杯茶」<東方明くるに未だ眠らず、悶えて飲む一杯の茶>(仮中書懐詩)と詠む。茶の効用と道真の心境の一端をかいま見る思いがする。

 日本で本格的な茶の栽培が始まるのは大分後れた12世紀後半であった。宋から帰国した臨済宗の開祖栄西は抹茶法を伝えるとともに種子を持ち帰った。譲り受けた、高山寺の明恵上人は栽培に取り組み、収穫した種子を全国各地に配って普及に努めた。これが後年の宇治、伊勢、狭山茶などの銘柄茶のもとをなしたという。

 14世紀に入ると、茶は日本人の生活の中にとけ込み、中国の「家常便飯」に基づいて「日常茶飯(事)」という四字熟語まで生まれるに至った。


『身近な漢語をめぐる』1 :漢字の成り立ち





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Last updated  2024.09.16 01:01:42
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