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2024.11.16
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『華僑二世徐翆珍的在日』という本を、手にしたのです。
神戸には南京町という観光名所ができているが、華僑にはわりと寛容な気風があるわけでチョイスした次第です。




徐翠珍著、東方出版、2020年刊

<出版社>より
日本に生きた「在日華僑」の闘いの記録。
日本の植民地政策の残存の象徴でもある「国籍条項」「外国人登録法」「入管法」をめぐる闘いの一つの結果として、外国籍公務員第一号となる。その他、指紋押捺拒否や「思いやり予算」返還訴訟、靖国訴訟などを提訴、「非暴力・反戦反差別平和」を理念に活動を続けている。

<読む前の大使寸評>
神戸には南京町という観光名所ができているが、華僑にはわりと寛容な気風があるわけでチョイスした次第です。

rakuten 華僑二世徐翆珍的在日


「第1章 私の原点―闘いの軌跡」の冒頭から見てみましょう。
p5~9
<華僑には家があっても帰る場所がない>
 戦争が引き起こされ、その同じ地で「敵国人」になってしまうとはどのようなことなのか。
 日常の生活は環視の中、いつなんどきスパイにされて迫害され、命そのものが危険に晒されてもおかしくない。事実、過去幾度もの戦争勃発時には、その危険を少しでも回避するため、国に残した家族との離散を避けるためにも、多くの在日華僑たちは日本から故郷中国へと帰国して行きました。

・1894年~1895年 庚午戦争(日清戦争)、清国民は日本の敵国人となる。
・1893年 5343人を数えた華僑たちは敵国人としての弾圧、迫害を恐れて多くが帰国。1894年にはその数1576人にまで激減。1899年、やっと6359人に回復した。
・1899年 ここからはかつての貿易商などの華僑ではなく、「内地雑居令」等によって厳しい法規制下で日本の労働力の調整弁となる「華工」の時代、日本における「外国人労働者」の時代に入る。
・1931年 柳条湖事変(満州事変)では、横浜・神戸の華僑の多くが迫害を恐れて集団帰国。 
・1937年 対中国全面戦争で、1936年の華僑人数は4万5000人であったが、戦争勃発の1937年には華僑の集団帰国が始まり、2万7090人と減少している。これ以後は厳しい戦争状態で帰国不能となった。
・1945年 日本の敗戦から1972年日中国交回復まで、政治に翻弄され、故郷中国の地を踏むことが出来ず、家族は引き離されたまま、もちろん親の死に目にも会えませんでした。
(中略)
 当時の華僑一世たちはまがりなりにも「帰る」故郷があり、様々な形で「国」との具体的な繋がりもまだあったであろう。しかし、戦後を生きて来た私たちはすでに5世、6世を数えます。戦争準備をする日本は私たちに大きなとまどいと脅威をもたらしています。

 私にはもう帰る「故郷」、つなgる「国」はありません。戦禍が広がろうが、敵国人としての迫害を受けようが、ここが日本の私の「故郷」です。
 私は「中国国籍」であり、私の子や孫は「日本国籍」です。(国籍法により、父母両系血統主義・帰化手続き簡素化などや、日本人との婚姻が圧倒的に多い中、「中国籍をルーツにもつ」日本人が年々増えている)
 国家間の憎悪を生む「戦争」は私たちに何をもたらすのか! かつて私たち華僑は国家による「内政不干渉」という方針の下、日本の政治には極力直接関りを持たないように生きてきました。しかし、ここ日本はすでに帰る場のない私たちの「故郷」であり、国籍が何処であれ、この社会の主体者なのです。

 まがりなりにも生きていた「憲法九条」の下で、私は70数年生きてきました。ほんの一時期を除いて、日本はアメリカの要請に動かされながら、常に戦争への危惧がつきまとっていました。特に「嫌中」ヘイトが民衆の中にも根を張りそうな気配に、戦争は遠い「歴史」ではなくなりつつあります。

 市民社会の一員としてこの社会を監視する義務と責任があるとはいえ、私には「選挙権」すらないのです。憲法制定に責任あるみなさん、どうか「憲法九条」を捨てないで頂きたい。日本の憲法にはアジアの人々にも「もの言う権利」があるものと確信しています。「憲法九条捨てさせない!」私の切なる叫びなのです。





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Last updated  2024.11.16 00:05:42
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