ふらっと日記

ふらっと日記

風と

のびるの花



風と



        かよいなれた坂の町を
        はてのない道のようにあるく
        駅や郵便局や公園をすぎてあるく
        視界からはぐれていった
        二人称や三人称のかげぼうしは
        わずかずつ屈折率をかえたわたしの
        投影図かもしれない
        いちねん草の実がはぜた
        にねん草の花がにおっている
        羊歯はふくろをひらいて胞子をとばす
        てをかざしてみあげる
        もうひとつの空にとんだ胞子は
        文字の余白に
        多年生の羊歯のひと株を
        はぐくむだろう
        なだらかなくだり坂をあるく
        まえかがみの姿勢をのばしてあるく
        丘陵を切り開いたこの町に
        みずの流れはとぼしいが
        あふれてやまない心音の律動に
        水脈をたしかめつついく
        耳もとをそよぎる
        吐息のけはいは
        もの言わぬ
        二人称の風のようにも
        おもえるのだ







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