第三話
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【雪とともに３】
思えば 俺の 初恋だった
誰かにこの事を話したかった でもなぜか友達には言えない
どこに住んでる人か どんな人なのか 何が好きなのか
何座なのか 何型なのか…いや 名前すら知らないのだ
今こうやって思っていても 本人の前だとうまく聞けない
そんな事を言えば 友達は自分の事をばかにするだろう
そう考えると 友達には言えなくなる
家に帰っても誰もいない ならば 自分で会いにいくのだ
そして 家族の誰かにこの事を話そう
父は仕事が忙しいだろうから 訪ねるのはやめよう
だから俺は おかしを色々と買って 妹に会いにいった
病院に入ると 病院独特の臭いがツンとした
総合病院だから 広くて迷ってしまいそうになる
妹の病室の前まで来たら なぜだかすごく緊張した
俺と妹が会うのは そういえばひさしぶりだった
「あ…お兄ちゃん!!ひさしぶり 元気なの？？」
「お前こそ はやく病気を治してもらわないと困る」
俺は立とうとする妹を押さえて あの話をしようと思った
「なんで来たの？何かあったの？珍しい…変なの!!」
「へんとか言うな 俺は…あの…」
うまく話がきりだせなかった
「お菓子買ってきたから 暇があったら食べなよ」
……言えなかった
妹が相手なのに 緊張してしまうのだ
「このお菓子… 10円とか20円とかのやつばっかりじゃん
お兄ちゃんは相変わらず けっちぃなぁ」
「あぁ… うん… ごめんなさい」
「何かやっぱり変だよ いつもだったら反撃するのに」
「あぁ… うん… ごめんなさい」
妹が気味悪がって 俺をみた すると
妹は腕組みをして なるほど…とニヤニヤし始めた
「恋でもしたの?」
妹が言った 俺は思わず前にずっこけた
「そりゃあ もう高校生だもんね～ ていうか遅すぎ」
妹にダメ出しをされて これなら
友達と変わらないじゃないか……と思ってしまった
俺は恥ずかしくなって 妹に背を向けた
それが図星だと分かったらしく 妹は言葉を続けた
「名前は……なんて人なの？？」
「わからない…聞くの忘れたから」
「どこで知り合ったの？？」
「近所の公園で…」
「あの公園で!!なら近所の人かな? どんな感じで恋したの？
ま…まさか一目惚れ！！！！！」
なんて言ったらいいか分からなかった 一目惚れともいえるだろう
ただ 本当のことを言ったところで ナンパにしか思えないだろう
俺はそれでも その時の事を詳しく教えた
「ふぅん… そうゆうのね ナンパっていうんだよ」
妹にも言われてしまった
「雪のせいにしちゃいけないけどさ……私も同じだよ
窓から雪をみてたら お兄ちゃんと話したくなってきた」
俺は 今まで全然妹のお見舞いに行ってなかった事に後悔した
そして同時に この恋をきっかけに妹との距離を縮めたい
そう 思った
「とりあえず また公園に行ってみることからだね!!!
ずっと恥ずかしがってたら 何にもできなくなるやん」
妹はそう言ってから 一生懸命俺の恋を応援してあげると言った
そして俺の背中をバシンと叩いた
まだ背中は痛かったから 余計に痛くなった
「ありがとう… 明日また行ってくる あと……」
俺は少し顔を赤くしてしまった 恥ずかしいが言いたい言葉
「そんじゃ また遊びに来るからな 待ってろよ」
「遊びじゃなくて 見舞いだろ!!」
妹が笑顔でつっこんだ そして一言
「また来てちょ 待ってるからな」
とだけ言って 布団にもぐった
俺は翌日 また公園へいった
そこにはまた 彼女がいた
後から思えば
……俺は恋なんてしなかった方が 良かったのかもしれない
と思っているだろう
両想いになるなど けして夢のまた夢なのだから
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