We love コミック日記

♯１

　人間は皆　何を望んでいるのか　

　それはもちろん　自分がどれだけ幸せに生きていけるか　だ

　人のことは考えず　自分の価値を上げようとするばかりに

　人間は必ずしも一回は　ひとの悪口を言い　ひとを卑下しようとする

　誰かのために何かしたい　誰かのことを助けたい　自分がどうなっても…

　絶対に　守りたい　絶対に　命を賭けてでも…

　そんな人間は　この世界にはほんの少ししかいないだろう

　侍のように　たくましく　強く　カッコいい人間になりたい

　真の侍は　どちらかというとほんの少ししかいない人間の方だ

　俺は　そんな侍のような人間になりたい

　誰かを　困っている人間を　全力で助けられる人間になりたい

　だから　俺は　相談屋を開いた

　　　　　　　　　　　　　　　　＊　

　今日も全然客が来ない　そりゃあそうだ

　あんまりためになるような大きな事を成し遂げたわけではないからだ

　知名度もなく　俺一人でやっているちっぽけなところになど

　誰も来ないのも　納得はしている

　だけどこれでは生活できない　だから俺はあせっていた

　学もあまり広い範囲ではわからない　それのせいで高額の依頼も断ったことがしばしばあった

　誰か雇わなければ…　苦しいながらも誰か雇わなければ…　と　思った

　けれども　無理に決まっていると　俺はあきらめた

　俺ができる仕事は　剣での勝負の依頼などくらいだ

　今の時代は　もめごとが起きると刀を抜きその場を納めようとする危ない時代だ

　幕末以来　そんな時代は来なかったが

　内閣がおかしくなってから　普通にどの人も刀をぶら下げている世界になってしまったのだ

　俺の剣道の腕を試すのに　もってこいの時代なのだが……

　ピンポーン……

　俺にとって　最高の喜びとなる玄関のインターホンが鳴った

　そこには俺よりも少し大きめの　人相の悪い男が立っていた

　たぶん　お客だ

「はいはい　今出ますから」

　俺は走って玄関の扉を開いた

「あの…　ちょっと相談したいことがあるんですが」

　男は俺の顔をチラリと睨み　すぐに下を向いた

「どうぞ　中で詳しく話しを聞きますから」　

　俺はぐいぐいと　その男を中へひきいれた

「相談屋をご利用してくださって　誠にありがとうございます

　私の名は　高山　馨といいます　よろしくお願いいたします」

　俺はそう言ってから　名刺を渡した

「ほう…　たかやま　かおるさんか　よろしく　俺の名は才助だ」

　その男…　才助は名刺を受取ってぶっきらぼうに床に座った

　才助という男は　やはり腰に立派な刀をぶら下げていた

「んでですが…　早速ですが今回の相談というのはどんな…??」

「あぁ…　話すがちょっと　あんた顔が気持ち悪いぞ」

　俺は自分の顔がものすごくにやけていたのに気づいた

「えっと　今回の相談事は実にくだらないことだ…　恥ずかしいが

　前に好きだった人を　一緒に探してほしいんだ」

　俺はつい　プッと吹き出してしまった

「その人相で　何　可愛いこと言っちゃってんですかお客さんー

　ありえないですよ　っていうか気持ち悪いですよ」

　才助さんはちょっとキレた　俺もちょっと言い過ぎた気がした

「お前こそ…　その言葉づかいいらっとくるんだよ　セールスマンか」

　お互いに嫌な空気になったのは　ＫＹキングの俺でも分かった

　そのあと　才助さんの好きだった人の事を聞いた限り…

　その人はとてもクールな人だったとか　どこか凛としていたところがあるとか

　髪は肩につくぐらいとか　よく場所を移動する仕事をやっているとか…

「手がかりが性格の事だけだったりでは…　どうにもわかりづらいですね」

　俺はちょっと困った　せっかくの相談事なのにできないとなると悲しい

「今すぐじゃなくていい　何年かけてもいいから探してくれ」

　才助さんは必死に頼んだ　俺はそこまで言われてしまうと

「あ…　はい　分かりました　少しずつ探していきましょう」

　……と　ＯＫしてしまった

　才助さんはすごく嬉しそうにして

「じゃあ　手がかりを少しずつ調べていこう　今から時間があるか」

　と　言った

　よし　じゃあ何をしようとしたところで　また玄関でピンポーンと鳴った

　また新たな相談者が来たのだ

「えーっと　誰だろう……？」

　俺は扉を開けて　相談者と対面した

　その人は小柄な女の子だった

「ついでに　俺も相談事を手伝ってやるよ」

　才助さんも寄ってきた　

　その女の子は　俺達の顔を見るなり　怖がりもせずに言った

「あなたたちは　Ｓですか？」

「………………はい？」　才助さんと　はもった

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