「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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♯2 「最低最強人間」
相談にきたその女の子は 声も優しく顔も可愛く 見たところ悪そうではないのに…
なんで いきなりS!? どんな教育受けてるんだこの子は
確かに俺の服のサイズはずっとSサイズだけど… それは関係ないとして
「まぁ… とりあえず中で詳しく話聞きますから」
ちょっとキレ気味の様子の才助さんをどかして 俺は女の子を招きいれた
「私 好きな人がいるんです」
その子は いきなりそう話を切り出した
「あ… ちょっと待って 自己紹介から先にしようよ 自分 高山 馨といいます よろしくね」
「あ… ごめんなさい 私の名前は 久坂 弥生といいます」
その子は緊張気味に 少し申し訳なさそうに言った
「貴様… さっきから無礼なことばかりを……」
才助さんが眉にしわを寄せて言った 顔がかなり怖い
「あ… ごめんね この人は才助さんっていって さっき俺に相談しに来てた人なんだ」
俺は慌てて おびえる弥生さんに説明した
「何ですかこの人… さ…才助さん?? 怖い人ですね」
弥生さんは少し才助さんに反感を抱いたようだ 大丈夫 俺も同じ気持ちだ
「今回 相談したいことはさっきも言いましたが 恋愛の事で……
学校の人には相談しづらいから ここの相談屋を利用しようと思ってきたんです
私 好きな人ができて ずっとドキドキしてるんですけど…
気がついたらあとをつけてたり…ストーカーしてたり しちゃいまして」
弥生さんがいきなり自分ストーカーです発言をしたので 俺はびっくりして「ええっ!?」と叫んでしまった
「私… その人にいじって欲しくて ついタイミングを計っちゃうんです
それで いつのまにかストーカー… みたいな」
Mーーーーーーー!!! 今度は自分Mです発言かよーーーーー!!!!
「その人は どこのどんな人なんだ?」
才助さんが 明らかに嫌そうな顔をして言った
「え…? あぁ その人は同じ大学の先輩です Sなんです」
「大学生だったのか!!」
才助さんはそこに驚いていた 大学を出たばっかりの俺から見ても
確かに弥生さんは 中・高校生に見えるくらいのかわいい顔立ちをしている
「今回は その人にストーカーを続けてると流石に犯罪なので
両想いになりたくって…… どうすればいいかということで相談に来ました」
「なるほど そういうことね 分かった!! 俺が弥生さんとその人をくっつけてあげる」
俺はノリノリで答えた 生活費が無い今 ストーカーの相談だろうがなんでものってやる気だった
ただ 才助さんは半ばあきれ顔だった
そして 俺たち3人は その大学にきた
「あ!! あの人が私の…」
弥生さんが恥ずかしそうに言った 俺は隠れながらちらっと見てみた
弥生さんの好きな男の人は 背は結構高め 目は細くキリリとしていて 左目に眼帯をしていた
腕には包帯 指の所々に絆創膏 がっちりした足… 年下の人だからといっても 何か怖かった
「これから ちょっと見守っててください それだけでいいんです」
そう言って 弥生さんはたったとその人の方に走って行った
「才助さん…どう思います あの男の人 目つきや見た目からしてすごく怖いじゃないですか
弥生さんがいくらMだったとしても 何か危なっかしいですよね」
俺はあんパンを食べながら そして弥生さんが走っていくのを見送りながら話しかけた
「人を見ためで判断するな もしかしたらいい人かもしれんぞ」
才助さんが俺のあんパンをガン見しながら 俺の問いに答えた
まぁ… 確かに才助さんは目がものすっごく恐いけど そこまで悪そうな人じゃないし…
そう言ってる間に 弥生さんはもうその好きな人と話し込んでいた
何の話かと耳を澄ませば(盗み聞きだろこれは) 部活の話をしているらしかった
どうやら(盗み聞きだろこれは) その男の人は卓球部の人らしい
弥生さんはすごく顔を赤くし とても頑張って そして楽しそうに話していた
たまに俺達の方をチラチラ見る様子からすると いつも一人じゃこんなに話せないんだろうと思った
あぁ… そんな弥生さんを見てると俺の心の奥にまで女の子が恋する幸せな感じがしみわたる
そうのんびり感じていたら 才助さんがいきなり俺の服の裾をぐいと引っ張ってきた
「ああ!? いきなり何ですか??」
「おいお前… ちょっとあれはおかしいんじゃないか」
才助さんの視線をたどると そこにはじゃれあうように見える弥生さんと弥生さんの想い人がいた
「別におかしくないでしょう」
俺はそう言いながら 二人をよく見てみた… すると 男の方が何かを弥生さんに突き付けていた
弥生さんの好きな男が何か手に持っていると思ったら それは日本刀だった!!
弥生さんに突き付けられているのは… 刀!!?
弥生さんもいつものいじりじゃないと気づいたらしく 恐怖に震えていた
そうこうびっくりしている間に その男の連れが来た 男の数人のグループだ…
「何かこの空気は… やばいの…!? 弥生さんは… えっと…」
俺は何が何だか分からなくなってきた
「多分 弥生がMってことを面白がったあの男達が 集団で…」
才助さんは青ざめていた 俺も冷や汗が頬に流れた
俺は急いで弥生さんのもとへ走った 才助さんが後からついてきた
「この子さ Mなんだって ストーカーなんだって かーわいー
顔も結構いけることね?? 使えるなこいつ」
集団の一人がそう言って弥生さんの腕をつかんだ
「やめろぉぉっっ!!!!!!!!!!」
俺は集団に割って入って 弥生さんをつかむ手を離した
そして 竹刀を取り出して男の刀を持つ手をおもいっきし叩いた
「この… ちび野郎が!!」
その男はすごい力で 弥生さんを遠くに叩きとばした 才助さんがそれを急いでかばった
そして集団の恐ろしい目は俺に集中した 俺はこれで自分の剣の腕を試そうと思った
前からも 後ろからも 横からも… 集団はあわせて10人以上はいるだろう…
流石の俺でもきつかった 相手は日本刀 こっちは竹刀じゃ俺の命も危ない
やっとの事で 一人を戦闘不能にしたものの 残りのやつらがどんどん来る
あきらめるか… と思っていたら そこに才助さんが手伝いにきた
一人二人と鮮やかに…すべて峰打ちで倒していった 才助さんの実力は計り知れなかった
俺も それでびくついている相手を少しずつ弱らせていった
そしてなんとか その場は収まった………
「今日はありがとうございました… 危ないことに巻き込んでしまって…
私がMだったのがいけないんです 危険な人ばかり好きになってしまいます…」
弥生さんは泣きながら ずっと謝っていた
「それに見合う報給をお渡ししたいのですが… 1000円札がこれだけしかなくって…」
俺は なんだか可哀そうになってきたので財布を開けている弥生さんを止めた
「じゃあ たまに俺の仕事手伝いに来てください 一人じゃやっぱり 相談屋は難しくって…」
俺はそう言って できる限りの笑顔で笑った
才助さんはそれを 鼻で笑って言った
「男を見る目くらい ちゃんと磨いとけよ」
「いや お前さっきあの人の事良い人かもって言ってただろ」
俺のツッコミに対し 才助さんは恥ずかしそうに俺にデコピンをした
「あ… あぁ……」
弥生さんがうっとりとした目で こっちを見た
「どうかしましたか」
「私 仕事引き受けます 一生でもいいです 給料もいらないです… そのかわり
才助さんが… 一緒に働いてくださるなら…」
才助さんは こっちを見て いやそうに渋々と
「働いてやるよ 給料があるんなら」 と言った
俺は人手が一気に増えて嬉しかったけど だけど だけど まさか…
「私 才助先輩が好きになったみたいです!!!!」
弥生さんが叫んだ 「Sです!!! 私の求めていた人です!!!」
はい… いやな予感が的中しました
才助さんは猛ダッシュで逃げた
なんだか 毎日がにぎやかになりそうだ…
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