その7


ケージの中が自分のハウスだと覚え始めたある日、夫はおもしろがってテニスボールをひとつ投げ入れました。
 ボトッという音と共に落ちて来た黄色くて丸い物体。ワインはしばらくフリーズしたまま、この物体をにらんでいました。すると突然、
「ウウォン!」(あたしのオウチに入ってくるあんたはなんだ!)
と一喝したのです。このときワインのしっかりした吠え声を初めて聞きました。小さい体に似合わず、お腹の底から出すような低い太い声でした。
 しばらくするとテニスボールは別に恐くもなんともないと判明したせいか、ころがしたりして遊び出しました。そしてかじるかじる!そんなものを食べたら体に悪そう。どこの子犬も同じかもしれませんが、ワインはなんでもかじったり食べたりします。
プラスチックのトイレもワインにかじられて穴だらけ。電化製品のコードもさんざんかじりました。これとタバコの吸殻は危険なので、徹底的にダメと教えたものです。家具を噛んではダメということも、夫がきつく言い渡したのでなんとか覚えてくれたものです。
同じミニチュアダックスフンドでも、体型が違うせいかまるで別物の吠え声の子がいます。近所に住んでいる子はキャンキャンという吠え声です。体が小さめなので甲高くなってしまうのでしょうね。この子は何かと言うと吠えまくる無駄吠えの多い子です。
対するワインは、そんなには吠えません。吠えるのは玄関の呼び鈴が鳴ったときと、ベランダ越しに気に入らない犬が通るのが見えたときのどちらかです。吠えてはいけないと教えようとしましたが、徹底してやらなかったせいか、ワインは関係なしという顔でいました。外を見ているときに吠えた場合は、サッシを閉めればそれで静かになりますし、もともとあまり吠えない犬なので真剣に教える必要もなかったという次第です。
そう言えば電話のベルが鳴ったときには、鳴ってますよママ~と教えに来てくれました。(吠えずにそばまで来て教えます)よしよしキミは聴導犬になれるね、と犬親ばかぶりを発揮して誉めたものです。
マンションということもあって、吠え声には注意し続けましたが、この問題に悩まされることはそんなにはありませんでした。



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