外資系経理マンのページ

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A子



だれもいない部屋にむかって言うのも空しいなあ。最近、つくづく思う。
でも、いいってことよ。きょうは月曜日。8チャンネルのめざましのうらない、なんとおひつじ座、一番だ。ラッキーってかんじよ。週のはじめから。

おっと、となりのBさんだ。

「おはようございます。」

ちゃんと会釈でかえしてくれる。いい感じの人だわ。

「あったかくなりましたね。」
「そうですね。」

共通の話題がないときは、やっぱ、天気だね。Bさん、ゴミ出しか。

でも、エレベーターという密室で男と女が二人。ほんの1分ばかりの時間共有か。

と思ったら、変なおやじが乗ってきた。なんか、酒臭い。二日酔いぬけてないんじゃないの?なんかジロッてにらんだだけ。感じ悪い。

「失礼します。」

ゴミ置き場に行ってから駅にむかうと、どうだろう、Bさん間に合うのかなあ。始発電車。

ま、そんなことどうでもいいや。

う、そうだ。いやなこと思い出した。この時間だとC子にあっちゃうじゃない。あの女、誰か始末してくれないかなあ。わたし、いやなのよ、生理的に。たかが、10ん年まえ、一緒にマックでバイトしただけなのに、いまだに馴れ馴れしくくるのよね。学校もちがったのにさ。

と思ったら、C子じゃん。

「A子おっはよー」

なにがおっはよーよ、女子大生じゃあるまいし、馴れ馴れしいのよ。

「C子おっはよー」

なんだか、馬鹿みたいな私。なんで、C子とハイタッチなんてしないといけないの。

「A子、きょうのブラウスに合うわね。」

あたりまえよ、わたしはあなたと違って着こなし上手でセンスもいいの。

「それほどでもないわ。でも、あなたのネックレスもクロスがモチーフで可愛いわね。」

というか、安っぽいのよね。それくらいが、あんたにはお似合いよ。

なんだか、ストレスたまるのよね。そして、社交辞令で、自然に口から、心にもない、そういう言葉がでる自分が恐ろしい。

おっ、いつも1両めで並んで待っている、イケメン、おっ、いるいる。

ん?ちょっと、C子がなんで、わたしのそばにいるわけ?C子の会社は、反対側じゃなかった?

「C子、きょうはこっちなの?」
「そう、きょうは本社にいくのよ、研修で。」

占いって、あてんなんないわ。

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