酒の鬼


羊と人で美「美」と読み、我が羊で「義」と読む。
古代の漢民族にとって羊は貴重な食料であり衣料であり、ゆえに神聖な存在だったのだろう。
また凄いという文字には「妻」がいる。
漢字の奥深さには感心させられる。

酒の鬼と書いて「醜」と読む。
三人いる新撰組局長の一人、芹沢鴨は酒の鬼だった・・・

「おい、じじい!!!
 オレタチャ天下の義士なんだぜぇー。
 天下国家のために金を貸せ言ってるのがわかんねぇーーのくぁーーーーー」
鴨は酒臭い息を吐きながら呉服屋の老主人に凄んだ。
「芹沢様にはもうたくさん貸しているではありませんか。
もう本当に勘弁して下さいよ。」
「あん?じゃあこの服で勘弁してやらぁ。おう、おまえらこれもってけや。」
鴨は手下連中に命令した。
「ヤ・・・やめて下さい。そ・・それは・・・ウ・・ゴッゲ!!!」
鴨の鋭い蹴りが老主人の腹部に決まった。
老主人はその場に崩れ落ちた。
鴨はニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながらその鋭いがにごった瞳で老人の苦しむ様子を見ていた。

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: