本棚≪愛久愛輝羅好≫

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光放つ部屋へと入る2人。

そこではクリスタルが光を放ち、その前に

「・・・」

ユリが立っていた。

「ユリ・・・」

蓮が静かに言う。

名前を呼ぶ以外、言うことが見つからない。

それはマオも同じである。

すると、クリスタルから声が聞こえてきた。

「早く!ユリを助けてあげて!!」

「お願い!!」

その声は、ライ、ハルナからの声だった。

2人は無事のようだ。

だが、自我を失っているユリを、どうやって元に戻せば良いのかわからない。

困惑していると

「・・・!!」

ユリは、クリスタルに向かって波動を放った。

波動は乱反射し、部屋中に放たれる。

「ぐあぁぁっ!!」

「きゃあっ!!」

不規則に放たれる波動を避けきれず、2人は大ダメージを受けた。

いつのまにか、ユリは動かなくなっていた。

「ユ・・・ユリ・・・またお喋りしようよ・・・」

そう言いながら、少しずつ這いずって近づいていく蓮。

蓮が手を触れようとしたそのとき

「!!」

ユリが手で、蓮を刺そうとした。

蓮はもう、身動きがとれない。

終わった・・・そう思ったそのとき

「ッ・・・!!」

マオが、目をそむけながらユリに、炎を放っていた。

「う・・・あぁぁ・・・」

声にならない声をあげ、ユリは消えた。

瞬間

「!!・・・みんな!!」

街からいなくなった人々や、ライ、ハルナが、気を失った状態で一同の前に現れた。

「ユリ・・・うっ・・・うぅ・・・」

蓮には少し、重すぎる出来事。

「蓮・・・蓮・・・」

だが声が聞こえてきた。

その声は紛れもなく、ユリ。

クリスタルは、ほんの少しの光を放っていた。

「ユ・・・ユリ・・・?」

「私は・・・2000年前、飢え、家族とともにここで生活していたの・・・家族は私を生かすため、自らを殺し、私に人肉を食べさせた・・・私はそれ以来、人肉しか食べられなくなり・・・私を恐れた人々に・・・ここに封印された」

「・・・」

この声は、魔界にいる全員の脳内に流れている。

「でも・・・最近になって封印が弱まり・・・私の中の悪魔が人肉を食らえと囁いた・・・私は人をここに集めた・・・でも・・・食べるなんてできない・・・たとえ死ぬことになっても・・・」

「科学は日々、進化している」

ユリが説明しているところに、キャンが現れた。

「そのような症状が過去、報告されていた・・・治療プログラムも、もう完成寸前だ」

戦い疲れているのだろうか、息を少し荒くしている。

「街は・・・どうなってますか?」

ユリの声が、段々弱くなっていっている。

「ひどい状態だ・・・直すには時間がかかるだろう・・・だが・・・治療プログラムを優先するぞ」

キャンの言葉に反応し、クリスタルがほんの一瞬、すごく輝いた。

「嬉しい・・・でも・・・私にはもう力が残ってない・・・だから・・・最後の力を・・・」

「何をする気・・・?ユリ・・・?」

泣きながら蓮がクリスタルに近づいていく。

「私は・・・今死ぬために生まれてきたのよ、蓮」

「散るための命などない・・・」

ユリの言葉に、キャンが返す。

「そうですね・・・死ぬんじゃない。永遠に生きるの・・・私は・・・あなたの心の中に、みんなの心の中に、この街に生きるの。楽しかったよ・・・蓮」

「うっ・・・うっ・・・ユリ・・・」

涙が止まらない蓮。

マオとキャンは、真剣な表情でクリスタルを見つめている。

「最後だよ・・・蓮・・・クリスタルを・・・砕いて・・・」

「うっ・・・できな・・・うッ・・・いよ・・・ひぐっ・・・・」

蓮の左手に、マオは自分の右手を添えた。

「ごめんねユリ・・・ありがとう・・・」

マオのその言葉で、蓮は涙をぬぐい、マオと共にクリスタルへと近づく。

そして

華憐散 」(かれんさん)

淡い、蒼い炎で、クリスタルを砕いた。

「私・・・幸せでした」

クリスタルの欠片は、洞窟を出て、魔界の空、そして街へと降り注いでいく。

街は直っていき、魔界の空を雲が晴れていき

青空が顔を出した。

コバルトの空 白く漂う雲が

現在、街は完全に復興している。

佇む僕を そっと包んでゆく

「ユリ・・・本当にありがとう」

君の息づかいが 聞こえてきそうで

そして、城の地下には、小さなユリの花が、一輪咲いている。

滲む景色と儚き日々を重ねてた

その花からは不思議な力が放たれていた。

柔らかい光が射して 遠い旅に出掛けたね

それはとても癒させる力だった。

届けたい もう届かない 君の名前 呼ぶ声が

その力を応用し、数々の治療プログラムが生まれた。

Uh... 繰り返して

そのメインプログラムは『ユリノハナ』と名づけられた。

Uh... 響いている

この事件を元に、人々は貧富の差をなくすための団体

『YNH』作った。

設立者は、この星に籍の乗っていない蓮。

最高責任者は、この星に籍が刻まれたユリである。

散るための命などない。

その言葉虚しく、散っていった。

だが、彼女は永遠である。

もう手は届かないけれど

みんなの心に、彼女はいるから。

永遠は手にとれなくて

急ぎ足で過ぎてゆく

いつまでも僕の心に

君は強く咲き誇る

Uh... 春風(かぜ)のように

Uh... ユリのように



終わり















後書き
マオ主役で書くつもりでしたが、
いつのまにか、蓮が主役になっていきました。
次回作はかなり早めに書くかも・・・
期待しててくださいね~


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