本棚≪愛久愛輝羅好≫

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未開の世界



宇宙船が天魔界を過ぎた、ほぼ同刻。

「・・・」

ジーニアス宅では、ジーニアスとハルナが机で向かい合い、勉強をしていた。

この家ならではの、親子の時間である。

それを微笑み見つめていたプレセアは、お茶を出し、キッチンへとそっと下がる。

そこに、ドアをノックする音が響き

「はい」

プレセアが玄関へと出た。

「はぁ・・・はぁ・・・」

ずいぶん慌てた様子のキールが現れ、ジーニアスが連れ出された。

いつも使っている研究所へと走る2人。

研究所では、魔界との通信が繋がっていた。

キャンからの通信である。

モニター通信であるから、姿を確認でき、蓮も魔界側に居ることが確認できる。

ここで、会話が始まった。


キャン「久しぶりだな、だが、このような挨拶をしている場合ではない」

ジーニアス「何か緊急事態みたいだね」

キール「はぁ・・・はぁ・・・もう一度説明を頼む」

キャン「・・・お前は、内宇宙(ないうちゅう)と外宇宙(がいうちゅう)を知っているか?」

ジーニアス「内宇宙と外宇宙?」

キャン「この宇宙は、星と同じく、球体として存在している。次元ごとに、いくつか宇宙があり、この宇宙はその1つに過ぎない」

ジーニアス「なるほど・・・」

キャン「そして、その球体の果てまでたどり着くと、逆側の果てへといく、ループシステムが存在しているのだが、それは、外宇宙の話」

ジーニアス「つまり内宇宙は・・・外宇宙には干渉しないようにしているんだね」

キャン「そうだ。天魔界がある座標から、外宇宙の果てと同じ軌道で円を描いた部分が、外宇宙と内宇宙の境界線になっている」

蓮「天魔界は、内宇宙と外宇宙が干渉しないように、見張ってるんだって」

キール「まぁ・・・宇宙は広いから、本来、僕らのような内宇宙の者が外宇宙と関わることはないだろうがな」

キャン「境界線付近で生命が存在できる星も、天魔界しか存在しない」

ジーニアス「・・・外宇宙との干渉を避ける理由は?」

キャン「・・・外宇宙は、本来別次元の宇宙であり、それが融合して、我々の宇宙と混ざり合い生まれた場所。我々の上層界である真天界と真魔界、神ですら、全てを知らない世界」

ジーニアス「どんな危険があるかわからない、ってことか」

キャン「実際、過去に一度、私の使った実験が、外宇宙でも行われたが、未知の戦闘能力を持った生物や動物とも出会っている」

ジーニアス「なるほどね・・・」

キャン「そして、そんな外宇宙から、1時間ほど前、宇宙船が一機、内宇宙に突入した」

ジーニアス「・・・それは危険だね」

キール「この一機がどこに危険を及ぼすかが、大きな問題なんだ」

蓮「軌道から計算すると・・・」

ジーニアス「・・・僕らの星あたりに、なるわけだね」

キャン「お前たちの星は、この宇宙のほぼ中心あたりに位置している」

蓮「よほどの事情がないと、そんなところまで行かないよね」


「・・・僕らの星の近くで生命活動がある星は、パレードスターと、その横にある星、そして僕らの星か」

そう言うとジーニアスは、パレードスターにも電信を飛ばした。

クレイにも、この事態を伝えなければならない。

「速度から察するに、あと30分もすれば、そちらの星にたどり着いてしまう」

「わかった・・・警戒するよ」

キャンからの電信を終えた後、ジーニアスはすぐに大人たちへと連絡を取った。

キールの方も、できるだけの抵抗はしようとシールドの準備はしたが

天魔界ですら侵入を防げなかったものを、この星の科学で乗り切るのは難しいと思われる。

位置だけでも把握できるよう、クレイと連携をとり

周囲の宇宙に、レーダーを張る作戦も決行されている。

そして、レーダーが宇宙船を捉えた。

「・・・ここだね、あと2分くらいか」

やはり、彼らの星に向かっているようで、あと2分ほどで到着。

事情を知っている大人たちは構えていた。

そんな中

「はてさて・・・どうする?」

「お父さんもどっか行っちゃって、暇なんだよね」

「うち来る?」

「ちゃんとコレットさんに許可もらわないとダメでしょ?」

セツナ、ハルナ、カイト、カリンは学校の校庭で暇をつぶしていた。

そこに

「!!」

ピンポイントに、宇宙船が落下。

凄まじいスピードで、轟音を上げた落下であったが

彼らは回避していた。

星そのものも、カリンとハルナが瞬時にガード術を展開し、無事なようだ。

そして宇宙船から、4つの人影。

彼らは外宇宙のことなど知らないので、宇宙船そのものに驚いているが

姿形は、彼らと変わらぬ、人であった。

女性1人、男性3人。

女性は、綺麗なピンクの髪を結い上げ、団子ヘアー。容姿も綺麗である。

男性は、1人は腰に剣を持つ、クールそうな青い短髪の男。美形。

1人は、武器は持たない、細いが筋肉はある黄色い髪の男。ワイルド系。

1人は、忍装束のような服装で、顔も目元しか見えないが、少しきつい目つきの男。

そして

「見つけたわね」

女性は、彼らを見てそう言い

男性陣に合図を送った。

その合図で、男性陣は彼らを囲む。

「お前ら誰だ!!」

カイトが剣を抜き、戦闘開始である。

男性剣士と、激しく打ち合う。

セツナは徒手空拳で、武器を持たない男と。

ハルナは忍装束の男と、にらみ合う形。

そして、手が空いているカリンは

「!!」

女性へと仕掛けた。

だが

「なっ!?」

女性は手元より鞭を出し、カリンをいとも簡単に捕まえた。

「ッ・・・!!なんで!?」

いつものように結界で弾こうとするが、発動しない。

女性の鞭の力のようだ。

そのまま力が抜けていき、カリンは気絶してしまった。

「カリン!!」

カイトが助けに入ろうとするが、剣士に阻まれる。

「どけよ!!」

セカンドリミッターを発動し、威圧するも

「なっ!?」

そのカイトと互角のスピードで打ち返してくる剣士に、奇襲を受けているカイトでは成す術がなく

同じくセツナとハルナも、互角の進行。

カリンはそのまま、宇宙船へと連れ込まれてしまった。

「待てよ・・・!!待てって!!」

サードリミッターを発動するカイト。

「真・舞葬斬!!!」

秘奥義を放つが

「はぁっ!!」

剣士により、受け止められた。

剣士の方も、無傷というわけにはいかないが

秘奥義を受けたわりには、ダメージは少ない。

「ッ!!」

カイトは攻撃直後の隙をつかれ

「ぐあぁぁぁっ!!」

乱れるような斬りを受け、倒れてしまう。

「カイト!!」

セツナは気閃・零式を発動しているが

それでも相手は、互角に渡り合ってきた。

ハルナの方も、状態変化を発動させるも

「ッ・・・!!速すぎる!!」

忍装束のあまりの速さに、術を当てることができない。

「いつまでやってるの!!帰るわよ!!」

「御意」

女性の一言で、彼らは宇宙船へと退いた。

「逃がすか!!」

セツナは指先にエネルギーを集め

「気閃・電磁砲!!!」

それを放った。

だが、宇宙船事態は驚異のスピード、というかワープの軌道で、電磁砲には当たらず

そのまま、彼方へと姿を消してしまった。

「カリン・・・カリーーーーーーーーーン!!!」

カイトの叫びが無情にも響き渡り

カリンは、連れ去られてしまった。





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