履歴と感想 : う

 読書履歴 と 読後感想 ( ※ 作品の記載順と出版順は必ずしも一致していません )

【 う 】

歌野晶午
・ 葉桜の季節に君を想うということ ・・・・・ ★★★★☆
葉桜の季節に君を想うということ
こと女に関してはからっきし意気地のない後輩・キヨシに拝み倒されて、南麻布の愛子嬢の屋敷を訪ねたのが事件の発端だった。
『 なんでもやってやろう屋 』 成瀬将虎は悪質な霊感商法事件に巻き込まれ、一方では運命の女・麻宮さくらとのデートもこなさなければならず大忙し。
果たして事件は無事解決するのか? 事件の意外な顛末とは・・・。
そして将虎とさくらの恋の行方は? 
最後の一ページまで目が離せない、本格スピリットに満ちた長篇。
2003年(2004年度版) このミステリーがすごい第1位
第57回 日本推理作家協会賞受賞
第4回 本格ミステリ大賞 小説部門受賞

─── 出版社の内容紹介等から引用 ───

文芸春秋社の 『 本格ミステリー・マスターズ 』 という事で、本格ミステリー作品かと思われましたが、一般的に言うところの 『 本格作品 』 とは、かなり趣きが違います。
ですが、叙述トリックも用いられており、終盤、大いに驚かされますので、そういった部分から 『 本格 』 的な作品として読まれても差し支えはありません。
本作を読み終わった私個人の印象では、軽快なハードボイルドの様な作品であると同時に、恋愛小説ではないかと思います。
伏線の張り方が秀逸で、それは、所々読み返してみても なお その感想は変わらず、不合理な部分も無いではないのですが、感心するばかりです。
本書は、感想をネタバレしないで書く事は非常に難しく、上記感想でさえ、ネタバレになってしまい未読の方の楽しみを奪ってしまうのではないかと思うのですが、さすが、各方面で好評価を得ているだけあって、完成度も高く、面白かったと思います。
ただ、最後の締め括り方は、好みの分かれるところだろうし、締め括れてない部分もあって、『 え? これで終わり?』 って思うかもしれませんが、題名の意味を考えた時に、納得できるかもしれません。
主人公の現在の事でもそうですし、過去の事でもそうなのですが、『 人の気持ちは理屈ではない 』 ということを思い知らされた様な気がしました。
途中、主人公がある部屋の一室で目にする 思いもしない光景のシーンでは、涙が出てきましたし、その部分に関しては、読んでてつらかったです。
色々な読み方ができる本書ですが、オススメです。

内山安雄
・ ダッシュ
・ ドッグレース

浦賀和宏
・ 記憶の果て
・ 時の鳥籠
・ 頭蓋骨の中の楽園
・ とらわれびと ・・・・・ ★★☆☆☆
とらわれびと
この本の表紙等には続き物とは書かれていませんが、連作のなってますので、この本だけ読んだのでは、ストーリーの肝心な部分が全くわかりません。
『 記憶の果て 』 → 『 時の鳥籠 』 → 『 頭蓋骨の中の楽園 』 → 『 とらわれびと 』
・・・と、順に読まないと、面白さは半分以下になると思います。
浦賀和宏さんの作品は、あらすじを言うとほとんどネタばらしの様になってしまうので余り書けませんが、いつもの雰囲気の作品です。
相変わらず、安藤君の周りで事件が起こるのですが、今回は安藤君はほとんど出てきません。
またもや人体実験が係わっています。
クライマックスには大技があったのですが、4作目ともなると 『 ひょっとして○○が○○なんだろうなぁ 』 って予想がついてしまったのは残念でした。




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