残酷な神様へ(前編)








神様・・・
あたしたち、なんの為に生まれてきたの・・・?












残酷な神様へ―前編―<死へと誘う前奏曲>

















――聞き慣れた声があたしの頭に響く。








『これから、殺し合いをしてもらう』

『期間は三日』

『殺しあって、最終的に一人残った者の勝ちだ。そいつだけ、家に帰れる』








十二支野球部羊谷のいい加減聞き慣れた声。
でも、言ってることだけは慣れない。




















『・・・あぁ、もし三日経っても何人か生き残っていた場合は、手前らの首についてるのが自動的に
爆発する。』

つまり、皆オサラバってことだわな。

いつもの口調。いつもの態度。
なのに、言っている事だけいつもと違う。












あたしたちは、従うしかなかった。


















殺さなければ殺される。
そう思って武器を振るった人間も居れば。

殺すなんてできない。殺すくらいなら・・・殺されるくらいなら。
そう考えて自ら命を絶った人間も居る。

島中に響き渡る銃声。
狂ってしまった部員の雄叫び。

傷つけられてしまった部員の断末魔の叫び。

銃口からでた煙の匂い。
部員から流れ出た血の匂い。

死臭漂うこの島で
あたしは誰も殺さなかった上に、誰にも見つからないまま二日を過ごした。














タイムリミットまで、あと一時間。













穂那美は、廃屋の中に居た。
膝を抱いて座り込んだまま、動こうともしない。
小さく震えていた。








「・・・嫌・・もう・・・なんで・・・?」
ぶつぶつと呟き、穂那美は野球部のことを思い出していた。












合宿で行った伊豆での一年対ニ・三年のガチンコ対決。



負けたけど、新たな決意をした華武との練習試合。

猿野が牛尾の変わりにクジを引いた抽選会。






・・牛尾。




「・・・御門・・・」
穂那美は、名前を呼んでみる。
一番、大好きな人物の名前を。

まだ生きているのだろうか?
・・・死んでしまっただろうか・・?

人一倍部活のことを思っていた彼だけは、部員の血に身体を染めていないことを願う穂那美。




ふいに、胸が一杯になる穂那美。


















「・・・御門ぉっっ・・・!」
返事が返ってくるわけがないのに、その名を呼ぶ。











「・・・穂那美・・・?そこに居るのかい!?」
返ってくるわけがない・・・ないのに。

牛尾御門から、返事が返ってきた。

「み・・かど・・・?」
ゆっくりと歩み寄ってくるその姿は間違いなく牛尾本人。

















「穂那美・・!良かった、生きていたんだね・・・」
牛尾は穂那美を抱きしめた。
「うん・・・うん!!御門も・・・無事で良かった・・・。」
穂那美も、牛尾の背中に腕をまわす。














「御門・・・。――っ!!?」
お互いに抱きしめ合っていたが、ふいに穂那美は何かに気づき、牛尾から離れる。





「穂那美・・・?どうしたんだい・・」
「御門・・・それ・・なに・・・!?」






牛尾の胸に付着してたのは血痕。








「・・・御門・・・まさか・・・!」
穂那美は困惑の目で彼をみた。




アナタ・・・




アナタだけは・・・



















「――いやぁぁぁぁっっっ!!!」
廃屋の中に、穂那美の声が響き渡った――。















神様・・・
あたしたち、生まれてきた意味があったの・・・?





















ピッピッ・・・ピッ・・・
ゆっくり・・ゆっくりと流れる・・・死へと誘う前奏曲が・・・


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: