幻竜の羅刹

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桜の姫君6



「翔なの?本当に翔?」と幽々子は尋ねた

「うん、僕は翔だよ」と笑顔で答えた

すると幽々子は翔の元へと駆けだし、強く抱きしめた

「今まで…どこにいたのよ!!心配したんだから…」と顔を上げ、翔の顔を見つめた

「ごめん。幽々子に会うのが…恐かったんだ。ごめんよ」とぎゅっと抱きしめた

「何が恐いのよ…翔のことを忘れることなんて無かったのよ?」

「ありがとう」と素直に言われ、顔を紅く染めた

「なんで…なんであの日に事故になんて遭ったのよ」

「幽々子が速くに丘に行ったっていうのを聞いたから急いでたんだよ。僕は人を待たせるのが嫌いだっていうの知ってるだろ?」

「うん。いつも私の方が遅かったもんね」と懐かしむように言った

「それで、君の誕生日に待たせるなんて最低だって思って全速力で走ったんだ。そしたらいきなり角から車が飛び出てきてね…吹っ飛ばされたんだ」

「そんな…急がなくてもいいのに。私はあなたが約束を破らないって知ってるからいつでも待ってたよ?」と幽々子は言った

「君の喜ぶ顔が早く見たかったんだ。許してくれ」と涙を流した

「人に泣くなって言ってあなたが泣いてどうするのよ…私までまた悲しくなっちゃうじゃない」と涙を流した

「本当に…俺のせいで何もかもが…ごめん、ごめん…」二人は抱き合い、そして泣いた

「これでよかったのよね」と空の上に座っている紫が言った

「あなたのために私も少しは頑張ってたんだから感謝しなさいよね」と誰にも聞こえることは無いが呟いた

今日は月が綺麗な夜だった そんな月は二人だけを照らしているかの様に輝いた

「そうだ、幽々子」というと翔はポケットの中をあさった

「なに?翔」

「これ…今ごろって感じだけど誕生日プレゼント」というと幽々子の手のひらに冷たいものが乗った

「バイトでためたお金で買ったんだ。結構高かったんだぜ?」と照れくさそうに言う

「わぁ、かわいいペンダント。ありがと~」十字の形をしたペンダントだった。それを早速首につける

「どう?似合う?」と得意げに聞く幽々子に「うん、似合ってるよ」と笑って翔が答えた

「じゃ、俺、そろそろ行かなくちゃ」 「行くってどこへ?」

「もちろん上だよ。もうやるべきことはやったんだ。上に行くことにするよ」

「そんな…せっかく会えたんだからもうちょっといても…」

「いや…もう約束なんだ。これが定めってやつだよ。今日は会えて嬉しかったよ」

「ちょっと!待ってよ!!また私だけおいてくの?」と泣きそうな顔になる

「愛してるよ、幽々子」と言うと幽々子を引き寄せ、キスした 「んっ」と小さく唸る

「じゃあね、幽々子」というと笑顔で消えていった

「ああやっていっつもかっこうつけて帰るのよね・・・ぜんぜん変わってないんだから…」というとその場でうずくまり、泣いた

そんな姿を見ていた紫は少し罪悪感があった

「あなたに会わせてあげるという約束を翔君としたわ。でもあなたは翔君といれば生きている人間とおんなじ幸せを感じることになるのよ…。それじゃあ生きてても死んでも同じじゃ生きてる人間としては張り合いが無いの。だから会ったらもう会わないっていう約束もしてもらったのよ」と泣いている幽々子を眺めながら言った

「本当にこれが彼女にとって幸せだったのかしらね…」と紫は呟くと悲しみがどっと溢れ、涙を流した

「これで良かったのよね…これで…」

一人夜空から幽々子を眺め、呟いた・・・

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