幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

桜の姫君10



そんな紅葉を見ようとする者もたくさんいた

やがて木々の葉が無くなり、地には落葉でいっぱいになった

そうして寒い冬を迎えたのであった

「あ~ぁ、寒くなるわよ、今年も」と口を尖らせてぼやいている

「今年もっていっても今年ももう終わりじゃない」と身を震わす魅魔だった

「あら?もう今年終わるの?」 「あんたとぼけてるの?今日は27日よ」と呆れた声で言った

「知らなかったわよ」と胸を張って言う幽々子に「そんなので胸張ってどうするのよ」と笑った

「春…もうすぐね」と魅魔が少し寂しそうに言った 「仕方ないわよ。人間と幽霊が仲良くしちゃいけないんだから…」と呟いた

そうしてひとつついたため息は白く浮かび上がり、そして消えていった…

やがて日も過ぎていき、新年を迎えた

「新年明けましておめでと~」と幽々子はへらへら笑って紫と魅魔に挨拶した

「日にちも良くわからない奴が良くそんなこと言えるわね」と魅魔は笑ったが「ま、明けましておめでと」と言った

「おめでとう、お二人さん。今年はどうなるかしらね」と紫が言った

「まぁとりあえずあなたは大きな仕事があるからね」と紫は新年の紅い空を見上げた

「なんとかなるわよ」と幽々子も空を見上げる

「ほんとうになんとかなるのかしらね」と魅魔を空を見た

空には光る太陽が浮かんでいた…

時は流れ、3月になると卒業する生徒がたくさんいる。新しい学校生活、または仕事に就くのだった

3月は別れの時期。しかし4月となれば新たな人々との出会いの時期であった

丘の前にはたくさんの初々しい姿の男女達が通りすぎていく

「あ~、もう4月なの?早いわねぇ」とあくびをひとつついた

今年から小学校に進学した子供達や進学をした子供達がたくさんいた

「私もあんな頃があったのよねぇ」としみじみ思う

「桜もだんだん蕾が大きくなってきたわねぇ…。あと2週間くらいかしら?」と呟いた

「あ~…やっぱり神様っていうのは意地悪なのね」と嘆いた

その日、部活が終わった後に恵美がやってきた

「幽々子さん、こんばんは」少し息があがっているようだ 「こんばんは」と優雅な笑顔で答えた

「何日くらいにくれば幽々子さんにとって都合が良いかなぁって聞きに来たんです」

「ああ、私はピークより前がいいから…今日は何日だったかしら?」と聞く

「今日は…4月の5日です」 「なら…4月の16日ね。まぁ、彼氏の都合がつかなかったら15か17でもいいわよ」と笑顔で答えた

「あ、16日は確か土曜日だから…大丈夫だったはずです」

「恵美の彼氏を早く見てみたいわねぇ」と笑ってみせた 「あ、そういえば1回も見た時なかったんですね」と少し驚いた顔をしていた

「あ、注意しておくけどね。私のことを見えるのはあなただけなんだから声をかけたり不信な行為しちゃだめよ?」と言うと 「わかってますよ」と笑顔をみせた

「それじゃあ楽しみに待ってますね」とにっこり笑って帰っていった

「本当に純粋な笑顔なのね、あの子ったら…昔の私みたい」と呟いた

そしたらなぜか心の奥が痛くなった

銀のペンダントに触れた。少しだけ勇気をもらえて気がする。だけど胸の痛みは治ることは無かった…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: