闘魂 サバイバル生活者のブログ

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労働ビッグバンをめぐって



経済財政諮問会議の民間議員八代尚宏へのインタビューが新聞に出ていた。

派遣法を改正して、雇用期間制限を撤廃して、劣悪な労働条件を維持したまま、企業が継続的に雇用できるようにしたいとぬかす。

派遣社員の正社員化の道を閉ざしておきたいという魂胆、つまり、経営側に正社員化を強いる、経営側にとって不利な現行の派遣法の規制は撤廃したいという魂胆がみえみえなのだ。

他方、正社員と非正社員の賃金格差を解消するのに、非正社員の低い給与を底上げするのではなく、正社員の雇用保障を既得権だと切って捨てるとおっしゃる。それにより、正社員の労働条件を非正社員の労働条件まで引き下げるのだという。

そのための具体策として、労働ビッグバンと称して労働の流動化を進め、そのために解雇条件の緩和と金銭解決による解雇の自由化を図るとのこと。その背後にあるのは、リストラによって創造した派遣市場という経営側にとって旨い仕組みを維持したいという醜い動機が隠されている。

そもそも経済(=損得)の会議で公共性(=善悪・正義)を論じるのは無理なんちゃうかという印象。これでは、当面、少子化は改まるまい。詳しくは、中野麻美「労働ダンピング」(岩波新書)に譲る。

ところで賃金が減れば消費は増えない。消費が伸びなければ経済は停滞するのだ。労働者を費用の側面でだけでなく、消費の主体として見る必要があるとは思わんのだろうか。

政治のさしあたっての目標は、この国に住む人をハッピーにすることだ。

非正社員が多いといっても1600万、正社員はその倍以上はいる。扶養家族を入れるともっと多くになる。

正社員の雇用を不安定にして、家のローンもおちおち組めない状況がハッピーといえるか。わざわざ正社員を敵に回さんでもいい。

そもそも正社員と非正社員を分断して、経営者の責任をうやむやにする議論は胡散臭い。ここは非正社員と正社員が団結しなければならない局面だろう。

労働ビッグバンは不幸の再生産に資する不幸の政治だ。不幸の政治をすると国家に対する求心力は必ずや失われるね。

ついでに言えば、失われた求心力を補うために愛国心を動員するのも馬鹿のひとつおぼえというか、ワンパターンだからやめてほしい。頭を使えや。

ここ50年、ここぞというときにドル切り下げで借金をちゃらにしてきたアメリカをモデルにするのではなく、ぼちぼち眼をヨーロッパに転じてはどうかね。みんなで知恵を出し合うブリュッセルの動向になぜ着目しないんだ!!

いきなりグローバリゼーション=労働ビッグバンではなく、インフラを整備するのにヨーロッパから学ぶべきだと思う。労働をめぐるインフラが脆弱な日本がいきなり労働ビッグバンまで行ってしまうのは労働というものの特質を考えると危険が大きすぎる。

そうした意味では、一定の結果を出してるオランダなど、ヨーロッパの先進諸国のインフラを知るところからまずはスタートしなければならない。

見当違いのロマン(志)とビジョン(中長期の目標)を抱いた、何のことはない、お前もか、対米売国主義の安倍政権は、この国をどうしようというのだろうか。

2006年11月15日 根賀源三

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