ポエムガーデン

「R氏の日記」作品市場





「R氏の日記」




【目次】♪=12

置き去りのラヴソング / 西部のオキテ / お気楽者 / 小説家の卵 /
ハニーパイ / フルーツガーデン / 50点の詩 / ソナタ /
春に / プレゼント / メロディーにのせて / GOLDIES



【まえがき】

小学生の頃を思い出して
鼻と口の間にえんぴつをはさみながらお読み下さいませ。

ではごゆっくりとどうぞ。。。








【置き去りのラヴソング】


誰も振り返ることのない歌がある
ヒットチャートの木の枝から
振り落とされた歌がある
無口な季節に
懐かしいフレーズを口ずさんだなら
想い出がそっと訪ねて来る風景がある

使い捨ての時代だから
もてはやされても
こんなにも早くに忘れ去られてしまうのかい?
使い捨ての時代だから
あんなに分かり合えても
僕は君にとって
数日にして過去の人となってしまったのかい?

愛する人が好きだった歌がある
僕の心のヒットチャートで
No.1であり続ける歌がある
あの日投げかけてくれた輝かしい微笑みは
ただ一人のために唄ってくれたラヴソングだったと
今も信じ続けている僕がいる









【西部のオキテ】


何度恋に泣かされようとも
くじけないで笑っていなくちゃいけない
なぜって?
それが西部のオキテだから

裏切りになんて
いちいちくじけていちゃいけない
なぜって?
それが西部のオキテなのだから

カウボーイハットを顔に乗せて
いびきをかいている Z z ・・・

片田舎のバス停で
半日遅れのバスを待っている ♪♭・・・

どこからか笑い声が聴こえてきて
誰かが恋に泣かされている絵が浮かんでくる ♪♯・・・

ここに暮らす者は
泣きべそなんてかいていちゃいけないのさ
それがここでのオキテだから

恋の交差点で
北と南の安全を確認したなら
東も忘れずに確かめなくちゃいけない
なぜって?
それが西部のオキテなのさ









【お気楽者】


夢を叶えるのに
近道はあるのだろうか?
「ある ある」
梢の小鳥たちは気楽なもの

夢をあきらめて
気ままな暮らしにでも戻ろうかな?
「戻ろう 戻ろう」
サングラスのもぐらたちも気楽なもの

夢だけがすべてじゃないよね
そう思わないかい?
「すべてじゃない すべてじゃない」
ひだまりの猫たちも気楽なもの

何事もあきらめが肝心だよねやっぱり
そう思わないかい?
「あきらめ あきらめ」
合唱するカエルたちも気楽なもの

でもやっぱり夢は持ち続けた方がいいかも知れない
まだまだあきらめないで夢を追い続けることにしよう
「続けよう 続けよう」

ところでやっぱりボクらってお気楽者?
「お気楽 お気楽」 ^ ^









【小説家の卵】


金庫をこじ開けた警官が
記憶を取り戻したところから始めましょう
金庫でもなく
警官でもなく
私は小説家の卵
もしも一生遊んで暮らせたら・・・
そんな不幸なことはごめんでしょう

振り上げた銀のハンマーが
一瞬にしてバラの花に変わります
ハンマーでもなく
バラでもなく
主人公はペテン師マジシャン
もしも一生笑って暮らせたら・・・
それは少し魅力的なことかも知れません

バラをくわえた警官が
大金を目の前にマジシャンと握手です
終わりはもちろんハッピーエンド
もしも続きがお望みなら
卵をコンコンとノックして下されば・・・











【ハニーパイ】


ハニーパイ
昼下がりのデザートに甘いパイはいかが?
お好みのお飲み物もおつけいたしましょう
ごゆっつくりとおくつろぎ下さいますように

ハニーパイ
見た目はもちろんのこと
香りも味もこの町の人たちのお墨付き
一度味わえばあなたもこのパイのとりこになること間違いなし
そんなデザートなのでございます

少年の頃には野球選手にも憧れたこの僕です
芸術家になりたいと思ったことだってありました
けれど今はれっきとしたパイ職人
僕が野球選手にならなくてあなたがたは幸せ
こんなにも美味しいパイに出会えたのですから

そして愛しのハニーパイ
僕も君に出会えて幸せに思う
本当の喜びを教えてくれた君 ハニーパイ
感謝の気持ちでいっパイさ










【フルーツガーデン】



いちご畑に会いに行くならば
ホワイトシロップを忘れずに
昼下がりに味わうデザートは
甘ずっぱい初恋の味がするでしょう


                              (いちご一会)





サクランボウの種を買った月曜日
サクランボウの種をなくした火曜日
サクランボウの種を買い直した水曜日
サクランボウの種をサクランボウマニアのサルに奪われた木曜日
サクランボウの種をもう一度買い直した金曜日
サクランボウの種が実はひまわりの種だった土曜日
あきらめて
サクランボウの缶詰を買い占めてやけになって食べた日曜日


                              (サクランボウびんぼう)





わたくしはももでありまして
話せば長いお話で
話さなければ短いお話で
すももも
ももも
もものうちでありまして
話せばこのようなお話でありまして
話せばたあいのないお話でありまして


                              (ピーチスピーチ)





シャイな恋人同志 手と手が触れて
真っ赤な顔のりんごカップル
青いシグナル 点滅の交差点
いそいであわてず
おふたりさん
しっかりと手を握って
おふたりさん


                              (アップルカップル)





メロン? いいねえ
バナナ? よかった
ぶどう? たまらないねえ
バナナ? たまらなかった
パイナップル? イッツ ア グレイトだねえ
バナナ? イッツ ア グレイトだった
昔 大好物だったくだもの
今 どうでもよくなってしまったくだもの


                              (バナナばなれ)





いちご畑に会いに行くならば
勉強も仕事もみんな忘れてしまいましょう
カラッポな頭で味わうデザートは
幸福な笑みをさずけて下さるでしょう


                              (いちご二会)





笑わない人の笑顔は
どんな笑顔をしているのでしょう
イチゴはサクランボウに
サクランボウはモモに
モモはリンゴに
リンゴはバナナに
すべてをさらけ出して
笑いころげている

笑わない人たちのポケットの中には
どんな喜びがしまい込んであるのでしょう
フルーツガーデンの招待状を
そっとしのび込ませてあげましょう


                              (フルーツガーデンがいでん)










【50点の詩】


小学校の頃を思い出して先生
ぼくの詩に点数をつけてくださいな
漢字のところだけにマルをつけて
50点と書いてくださいな

100点満点の詩なんてありえませんよ きっと
100点満点の思いやりが存在しないように
100点満点の遊び時間なら遠い昔にあったような気がします
100点満点のいたずらなら遠い昔にあったような気がします

小学校の頃を思い出して先生
ぼくのひまつぶしに点数をつけてくださいな
点数の横に「もっとがんばりましょう」と書いて
紙ひこうきにして飛ばしてくださいな











【ソナタ】


ソナタはどなた?
と 言われても
ソナタはソナタ

あなたはステキ
と どんなにほめても
上の空のあなた

あなたは罪だ
の 目をしている
あなたも罪だ

愛はどこに?
と 言われて
愛はここに

あなたの瞳の中の道化者


ソナタはどなた?
と 言われても
ソナタはソナタ











【春に】


レンゲ畑の中でレンゲの花の絵を描く
鳥の歌を聴き
愛しい人を思う・・・


愛しい人を思う
鳥の歌を聴き
レンゲ畑の中でレンゲの花の絵を描く











【プレゼント】


君にお花をプレゼント
君にクレパスをプレゼント
君にキャンバスをプレゼント


僕の誕生日に
君から
花の絵のプレゼント











【メロディーにのせて】


なぜ僕が詩を書き始めたのか
もうすっかり思い出せない
花につつまれて
少女が歌を唄っている

「ソナタ」に
「ハニーパイ」に
「置き去りのラヴソング」に
シンプルなメロディーをのせて
とても美しい声で・・・

僕は
僕の詩の魅力を
その歌に出会って初めて知る

なぜ彼女が僕の詩を知っているのか
僕は彼女のことをまだ何も知らない











【GOLDIES】


昔の曲はいい
今の曲もいい
昔も今もいい曲はいい
と思える人がいい

ただ古いというだけの曲
ただ新しいというだけの曲
気づかないうちに誰もが
心に残るメロディーだけを応援している

昔の情熱は素晴らしい
今の優しさも素晴らしい
どんな時も素晴らしいものは素晴らしい
と思える心が素晴らしい














【あとがき】

久しぶりにかいだえんぴつの匂いはいかがでしたか?
今回はこれにて失礼。またいつかお会いしませう。。。











ポプラ社 作品市場編集者の声 「トビトビ日記」より 

お腹のすく詩に出会いました。
秋人さんの『R氏の日記』です。秋人さんの言葉はどれも心地よいテンポにのって、まるでオープンエアのカフェで太陽を浴びながら冷たいジュース(いや、ワインかな?)を飲んでいるような、さわやかさ、幸福感がありました。

小さな言葉の束には、いろんな味がありました。
小動物たちの台詞を借りながら、けっこう熱いメッセージのある『お気楽者』。でもあくまでも軽い口調で大げさぶらないところが秋人さんの魅力でしょう。
『ハニーパイ』
『フルーツガーデン』
『サクランボウ』・・・ピーチ、アップル、メロン、バナナ、いちご・・・かわいい食べ物をモチーフに、秋人さんの世界は鮮やかな色彩であふれます。私はお腹がすいてたので、ハニーパイなんて、タイトルだけで惹かれちゃいました。

そして、この詩には「50点」をつけましょう。
理由? 秋人さんの詩をお読み下さい。人生で大事なこと、サラっと言えちゃう秋人さん、素敵です。



作品市場編集者おまめ様より 2002.4.3  

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