白魔女の館

予言 危ないニッポン



 新幹線さえも危ないなと、私は思っている。

 二十世紀後半の社会のシステムとして必要不可欠で、かつ安定して運用されていると信じられていた、人体で例えれば神経や血管とも言えるような大事な部分がだんだんと蝕まれて来ている。

 なぜならそういう部分を真に支え、日々のメンテナンスをし、―おれがやらなきゃ誰がやる―と土曜も日曜も働いていた人達が、一人、また一人と現場を離れているからである。

 地震などがあれば、「あそこは大丈夫だろうか?」と現場をみに行き、不都合があれば黙々となおし、何ごともなければホッと胸をなで下ろし家にかえる、そんな人が職場を去っている。そして問題なのはそのあとをつぐ人がいないことだ。あとには時間いくらでそこにいる人だけ。恐ろしい話。

『構造改革?』

 責任感以上の何かで職を全うする、そういう事を誰も尊ばなくなり、時間いくらもらえるか、土日は休みか、そういう事で仕事をえらび、自分の為に働く。
 会社も高い賃金を払わなければならない、経験豊かな社員をリストラし、若くて経験のないひとを雇う。経験や現場の声という財産をみすみす捨てている。一時のお金勘定で動いている。

 人の為に働くと言う気持ちが失せてしまった社会はもはやそれ自体信頼できない社会である。

 近頃、都会に出ると、本気で怖い私です。

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