つきのわ王国(四畳半分)

つきのわ王国(四畳半分)

お天気

雨に色がついてたら いいのにとおもう
透明な 浅黄色 桃色 若葉色 蒼色 キレイ
窓のそとを 淡くだけ彩って
ぼくは 窓越しに 滴に飾られる

おなじ色 色の無いという色ばかりでは
飽いてしまうから 物足りないから
おなじ雨 おなじように見るまいにちは
飽いてしまうから 沈んでしまうから

だけど

雨に色がついたら
 染まらなくてよいものまで 染まってしまう
透明が色づいたら
 沁みなくてよいときまで 沁みてしまうから

雨は色がない
それは 透明な滴が ぼくらの
ココロについた 色を 落としたり 洗ったり
その小さな一粒に 色を夢みたり 願ったり

そのために 色が無い …のかも?

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雨の音をきく 夜は 永い

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晴れの日に 思い出す かなしい出来事のような不思議
空をみて 学校を 思い出したら いつも
校舎の窓にも 校庭の鉄棒にも 廊下の隅の暗がりにも
生徒たちがいないの
わたしの思い出の学校は いつも青空の放課後

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白い空 白い雲 合わさると少し灰色がかる
キレイなこころと キレイなこころ
合わさると もっとキレイ にはならない

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だけど 地面が濡れてる
だけど 空気に雨のにおいが混じってる
ただの晴れじゃなくて
雨雲が切れて 光が射して その絵が 
とても「再生」というか「向上」というか
ただちょうどよく立ち会えただけで
地球は 雨と晴れの繰り返しなのだけど
だけどそれだけで
笑顔になれそうなじぶんがいる

この晴れだって、台風の余波。

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仄かに灰色を含む空霞。
大地と混じって深緑から群青の闇に変わってゆく空。
とても暗澹たる気持ちになる。
落ち込んでいる、というのではなくて、ただの暗澹。
闇には何も溶けて見えない。だけど在るのがわかる。
恐怖も、悩みも、何も、姿は無いから怖くない。
その存在をその姿に惑わされること無くおもうことができる。

わたしは眠りに落ちなかったら、いつまでも考えていることでしょう。
結論を出してはいけないから、眠りがやってくるのかもしれません。

毎日は、わかりそうでわからないまま。


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景色は、水彩絵の具のように、
光を塗ると明るみを増す。
透明な色が重なり、
すぐ温度に溶けて、
滲んだような風景になったりもする。
夏は境界線も滲んで薄くなる。
だから、夏は恋しやすいのかな。

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雨の日 連想するのは 学校の通学路
今はなつかしい 長靴のきゅきゅっとした心地と
雨のにおい 雨に濡れる肩の感覚 かたつむり
どこへでも行ける気がした 家と学校の間の道

雨の日 連想するのは 渡した手紙
雨に濡れたから滲んだ宛名
決して 泣いたわけじゃないよ
家までの道 からだがあつくって
ひとり 傘をささないで歩いた

雨の日 連想するのは 窓からの眺め
キミの声が遠くなる 隣にいるのに
キミの声を聞こうとして なぜかいつも
助手席の窓の小さな屋根から滴る しずくをみていた

雨を思い出にして だから
いつまでも わたしは雨のなかにいる

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あめが わたしを ぬらすので
わたしは びしょびしょです
あめは わたしに しみこんで
わたしは うるおいます

あめが わたしたちを ぬらすけれど
いやがってるのは わたしたちだけ
あめが しみこんで うるおすことを
忘れてしまうのは わたしたちだけ

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雨がふっている 雲からわかれて降る
大粒 吸い寄せられるように 地面に落ちる
地面でまた いっしょになれるね

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ばん!ばん!と窓を叩く音がきこえる
それから小さく こつ、こつ、と
カーテンの隙間からはぼんやり仄暗い 夜の闇
それは 誰?
わたしをここから救い出してくれるひと?
わたしをここから攫っていってしまうひと?
善悪がわからない 時に激しい 時に優しい 風の音
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窓を開け放って 風が流れこむ 外のにおい
空気が動いているだけなのに このかんじはなんだろう?
この空気は 外の「初夏」をいっぱい吸収している
わたしに触れた風は また流れていって 窓から逃げた
わたしを含んだ風は次に 誰に何をかんじさせるのだろう?

風のゆくえは… 

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花が散って 緑が色づく
緑はいっせいに深呼吸し始める
だから初夏の森は
 とってもすーすーするというか
 清清しいのだよね
緑が 吸ったり吐いたりとかする その風です

緑は 生まれたてで 生き生きとしていて
せいいっぱい 自分を謳歌する 主張する 生きる
だけど
あつくなって 光をうけて 過ごしているうちに
疲れてきちゃうの
ちょっとずつ元気がなくなってきて
冬には 落っこちてしまうの

何もしらない生誕から 何もかも悟ったかのような死
それはまるで ひとひとの一生のようだなんて
思ったりもするけれど 
木々はそうして繰り返し 生きている
ひとはそうして繰り返し 滅びてゆく
違いはなんだ?
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おおきな風が あたしに吹いてる
すんごい向かい風 前に進めない 息ができない
そこを抜けたら 何かあるのに
風が止んだら 広がるのは晴れの空なのに
どうしていつもいつも あたしに立ちはだかるのかと

思ったけれど

前はどっちなの?北なの 南なの 西 東なのか
「あたしの」前は あたしが決めてもいい…? 

向かい風 風と同じ方向をみてみようか
そうしたら
そうしたら あたしに吹く風は追い風になる

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ゆきがふっている
ゆきがふっている
あめは だいちをかくさないのに
ゆきは このだいちをかくしていく
凍った雨 融けた雪
おなじなのに ちがうよう

もっともっと降り積もってほしいというこころと
すぐに止んで融けてほしいというこころとが 鬩ぐ
相反するきもちがまんなかで どうっとぶつかって砕ける
すると かけらも 残らないので
わたしはただ立っている
何もできずに ただ立ってる

わたしは影を無視できない
わたしは光を焦がれてやまない
どちらも選べないまま過ぎていく時間を
どこへも行けないまま過ぎていく場所を
どこかへ選び行く人人の後姿を見送りながら
時々それらがとても憎憎しい

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