俺は全速力で追いかけた。




アナタと一緒に




突然の変化。
元の時間に逆らうことは難しくて。
理解されない。
してもらえない。
名声は時に壁となって俺の前に立ちはだかる。
今までの平穏な日々を犠牲にしても。
俺はアナタに追いつきたかった。
それは今でも変わらない。
アナタの隣にいること。
それが今の喜びで。
それが今の幸せで。
誰に否定されたとしても。
俺は変わる。
何を犠牲にしても。



テニスが好きだった。
ずっと家にいたから、体を動かすのが好きになるのは自然的で。
でも、その中でテニスを選んだのは。
偶然。


「どうしたんだ長太郎。」
「えっ・・・あっ何でもありません。」



俺は今、アナタの隣で並んで歩いています。
ここまでくるのにどれだけ苦労したことか。
でも、そんなのはどうでもいい。



「宍戸さん。今度の試合頑張りましょうね。」
「ああ。」



俺は今、アナタと会話をしています。
アナタと友達になりたいと。
仲良くなりたいとずっと思っていたことを、アナタは知っていますか?



「大分慣れましたね。」
俺はそう言って頭を撫でた。
「・・・まあな。」
いつもは嫌がるアナタが、今日はなぜか俺の手を払い除けない。



先日。
大会でアナタは負けて。
レギュラーから落ちました。
あんなにプライドが高いアナタが。
俺に本気で頼みました。
『練習に・・・付き合ってくれ。』
一緒に練習しました。
ずっとずっと。
そして、アナタはレギュラーに勝ちました。
これで復帰できると思いましたが、監督は許してはくれませんでした。
アナタは自慢の髪まで切って、頼みました。
必至になって頼みました。
俺も、監督にアナタをレギュラー復帰させてくれと頼みました。
そしたら、監督は変わりに俺を落とすと言いました。
『構いません。』
本当にそう思いました。
心から。
だって、このままではアナタの上に立ってしまう自分が許せなくて。
でも、アナタの下にいるのも嫌でした。
だから俺は頑張りました。
今までずっと。
アナタと同じ『レギュラー』という地位につくために。
それでも、その地位を投げ出してでも、アナタには上にいて欲しかったんです。
結局は跡部部長の説得もあって、アナタはレギュラーに復帰しました。
『ありがとうな長太郎。』
アナタの笑顔は俺の宝物です。



「長太郎。」
「なんですか?」
「お前さ・・・最近疲れてないか?」
「えっ!!何でですか?」
「・・・目にうっすらと隈が出来てるぞ。」
そう言われて近くのカーブミラーを見ました。
そのとおりの顔がありました。
「そんなことないんですけど・・・。」
「そうか?」
「はい。」
「でもまあ、気をつけろよ。」
「はい。」



今、俺は嘘を吐きました。
大好きなアナタに。
俺は小さい頃からピアノを弾いていました。
バイオリンも弾けました。
両親は俺を音楽家にしたがっていました。
だけど、俺は嫌でした。
今考えると、それはただ親に反発したかっただけかもしれません。
親の期待なんてただ鬱陶しいだけでした。
とにかく嫌で嫌で仕方ありませんでした。
家に帰れば、何時間も稽古させられる。
生き地獄でした。
俺はなかなか家に帰りませんでした。
いつも公園で時間を潰しました。
友達と遊んだり、読書したり勉強したり。
その時に俺はテニスと出会いました。
公園にあるコートで打ち合う人たちを見て、やりたいなと思いました。
しかし、そんなことを両親には言えませんでした。
言えばもっとこの状況が悪くなるに決まってます。
だからずっと心の奥底にしまっていました。
そんな俺にチャンスが訪れました。
中学受験。
俺は両親が思っていた音楽校へは行きませんでした。
わざと白紙で出しました。
俺は氷帝学園に入ると決めていました。
テニス部が有名なのを知っていましたから。
逃げるようにそこに受験し、見事合格。
合格を告げた時、両親はとても驚いてました。
当たり前ですよね。
だって俺は音楽家になるものだと思っていたのですから。
でも、そこは名門校として有名でしたから。
両親は反対する理由が見つからず、入学させてもらいました。
俺の真の目的を知らずに。
俺はもう決めていました。
テニス部に入ると。
両親に相談せず、俺は勝手に入部届けを書きました。
そう。
両親が気づいた時にはもう遅いように。
でも、それはすぐにバレてしまうことも承知でした。
だから俺は両親と約束しました。
『支障が出たらやめる。』
そう誓いました。
それしか道はなかったんです。
俺が俺でいられる道は。



「長太郎!!」
「はっはい!!」
「お前本当に大丈夫か?」



大丈夫じゃないんです。
練習時間はたくさん必要で。
テニスでもピアノでもヴァイオリンでも。
でも、学校の勉強もあるわけで。
睡眠時間が減りました。
それでも俺はやめられません。
投げ出せばどんなに楽でしょう。
何度もそう思いました。
だけど、それは同時にアナタとの別れの時。
だから、絶対に投げ出すわけにはいかないんです。



「何やってるかは知らないけどな・・・無理だけはすんなよ。」
「わかってますよ。」



アナタを失いたくありません。
テニスも失いたくありません。
いつまで続けられるかわかりませんが。
俺はこの生活を続けます。
きっとアナタには怒られると思いますが。
精一杯頑張ります。
アナタと一緒にいられるように。
アナタの隣で歩けるように。
少しでも長く。




だって俺は・・・・・・




アナタが好きだから。






*あとがき*
突発的に書いた鳳宍です。
チョタがピアノとバイオリンが趣味だそうで、それを元に想像して書いてみました。
本当に私の勝手な想像ですみません。
私的にはプロローグという感じで書きました。
すっごく読みづらいですね。(苦笑)
ここまで読んでくださった方がいれば、すっごくありがたいなと思います。
最近、氷帝が気になり始めたので、また氷帝CPで何か書ければいいなと思います。
                                     BYノエ




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