GMPY-net'裏'版

ヤギ屋



今日はねむかった。
今日はヤギ屋に行った。
しかし、いいヤギはいなかった。
くそっ。
無駄足か。
「近くの山の上に、いいヤギを持っているジイさんがいるよ。気難しい人だがね」
ホントに?
ちょっと行って、売ってくれるよう交渉しよう。
俺は山を登った。
しかし、きつい道のりだった。
すると、途中でヤギ飼いの少年がスイスイと俺を追い越した。
すごいなぁ。
ちょっと少年。
荷物持ってくれないか?
「えぇー…」
ほら、お駄賃上げるから。
すると少年は、お金と荷物をさっと取り、またすいすいと山を登って行った。
現金なやつだ。
そして俺は、そのジイさんの家についた。
コンコン。
すいませーん。
「何の用だ?」
うおっ。
早速気難そうな感じだな。
あの、ヤギを…
「ヤギをなんだって?」
ですからヤギ…
「ハッキリ言わんかい」
や、ヤギを売って欲しいのですが…
すると、家の中から女の子が出てきた。
「ダメよ。絶対にダメよ。シロとクロは絶対に渡さないんだから」
女の子は興奮して言った。
「そういうことじゃ。分かったらさっさと帰れ」
すいません…
俺は仕方なく山を降りた。
降りる時、またあのヤギ飼いの少年に会った。
「あ、もう帰るのかい?お駄賃くれるなら、また荷物持ってやるよ」
いや、別にいいよ…
「ちぇっ」
少年は舌打ちすると、スイスイと山を降りて行った。
とんだ無駄足だったな。

あれっ?
俺、なんでヤギが必要なんだっけ?
ホントに必要なんだっけ?
思い出せんな。
全部無駄だった。



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