悲劇を遠ざける!多角的護身術のススメ

悲劇を遠ざける!多角的護身術のススメ

体格差は覆せるか

体格差は覆せるか

 自分よりも体の大きい、力のある相手を制する。これは武道や格闘技を習う者の多くが望む永遠のテーマであり、そうやすやすと実現できる事ではありません。試合ならまだしも、何でもありの喧嘩なら、普通の体格をした武道の有段者が、大柄な力自慢の素人にぶちのめされる事は珍しくありません。

 ボクシングの軽量級のチャンピオンでも、重量級のそこそこの選手に歯が立たないという事はザラですし、柔よく剛を制す、という事を看板に掲げている柔道においても、小柄で並みの筋力の有段者が、新しく入ってきた体の大きな白帯を、初めのうちは投げる事ができても、少し日が経ってその初心者が慣れてくると、もう技が掛からなくなってしまう・・という現象はしばしば見られます。

 よく「当道場では力を使わず、女性でも大の男に勝てるようになります」などと書いてあったりしますが、これは現実を知らない素人に甘い夢を見させて月謝を取るための宣伝文句である場合が多いです。

 そんな簡単に強くなれてデカイ奴を倒せるようになる流派があったら私が行きます(笑)というか私だけでなく全国から格闘家が「俺も入門させてくれぇ~!!」と殺到するでしょう。

 まったくの素人の方にはわかりにくいかもしれませんが、武道や格闘技、またはラグビーやアイスホッケーなども含めた格闘的な要素の強い競技を経験している方であれば、相手よりも少し体重が重いだけでも、それが戦いにおいて非常に有利に働く事は十分に肌で感じておられるはずです。

 身長差のある相手でも、体重が同じならば格闘戦においてはさほど気にならないのですが、体重の重さは有利不利に如実に影響してきますね。

 では護身術をやっても自分より大きな人間に襲われたらどうしようもないのか、意味無いじゃないか、と思われる方もおられるかもしれませんが、そうではありません。希望はあります。ご安心を。

 この体格差、体力差というものは、ルールがシンプルな競技であればあるほど、覆す事は難しくなります。特に何の運動もしていない体重50kg 身長165cmの男性と、同じく運動していない体重90kg 身長185cmの男性を連れてきたとします。この2人に綱引きをしてもらうと、まず50kgの男性が勝つ事は無いでしょう。綱引きは非常にシンプルな競技です。綱引きにおいて勝つための独特のテクニックを50kgの男性に伝授したとしても、90kgの男性に勝つ事はかなり困難でしょう。

 ではこの2人に重量挙げをしてもらったらどうでしょう。特に鍛えていなければ、体の大きいほうが力がある場合がほとんどです。2人の間に筋力の差がそれなりに存在すれば、同じ日にもうひと勝負!、と何度やってみても常に同じ側が勝ち続けます。重量挙げも競技内容はシンプルですので、今日だけたまたま運良く普段の2倍の重さを持ち上げる事ができた、なんて事は起こらないわけです。

 ではこの50kgの男性が日常生活を送っている所に、90kgの男性が現れ、50kgの男性を殺そうと襲いかかったらどうでしょう。何度やっても必ず小さくて軽いほうがコテンパンにやられるのでしょうか?そうではありませんね。
 偶然足元にビール瓶が転がっているかもしれません。どちらかがたまたま足を滑らせる事もありえます。そこにはあらゆる雑多な要因が絡んでくるため、時間帯、場所など様々な状況、また何より50kgの男性が無限の選択肢の中からどんな行動を選ぶかによって、結果は変化し得ます。

 ただ不利である事には変わりはありません。襲われた50kgの男性が、「逃げるのは男らしくない」とか「最後まで戦い続ける」「モノを使うのは卑怯だ」などといった妙なこだわりを持っていれば、助かる可能性は小さくなるでしょう。

 逆に、逃げたり助けを呼んだり、手近にある道具を使う事などの手段を臨機応変に用いれば、助かる可能性は高まります。ここが非常に重要です!格闘能力が変わらなくとも、 考え方を変えるだけでも助かる可能性が高まる のです。
 そこでさらに50kgの男性が実戦的な護身武術を身に付けていたなら・・・ 殺されずに済む可能性は極限まで高まります

 今存在する体格差や筋力差は、ルールがシンプルで選べる行動が限定されていればいる程、覆す事はできなくなります。しかし護身術はそのような競技ではありません。護身術は自由なんです。格闘的な側面だけを見ても、普通の格闘技で卑怯とか危険だという事で禁じられているような技もどんどん使っていいのです。(←これが体格に勝る犯罪者に一矢報いる可能性を生み出すのに重要なポイントです)

 護身術は何でもあり、なのにも関らず、無意識のうちに特定の手段しかありえないと思い込んでしまっては、自分で自分をルールの枠にはめるようなもので、助かる可能性は狭まるでしょう。ですが大多数の人が、犯罪者を目の前にしたときそうなってしまうのです。脅威を目の前にして冷静に広い視野で有効な手立てを選んでいけるなら、体格や人数に勝る相手に対し、思いどおりにさせない事は十分可能です。護身術を身に付けるなら、そのような境地を目指しましょう。



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