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(5)放射線とは何か


原子は小さくて見えませんが、身の回りの物質は、水素や酸素や炭素などの92種類の小さな原子が大量に集まってできています。
原子は互いにつながって、水やビタミン、生命を担うDNAなどの多様な分子になります。
通常、原子は安定しているので別の原子になりません。
すなわち猫が犬になれないように、普通は水素が酸素になることはないのです。

しかし原子力発電所では原子の種類を変化させることで、原子の持つ力である原子力を利用して大量のエネルギーを作り出すことができます。
その時に、『放射性物質』と呼ばれる不安定な原子が多量に生成されます。
放射性物質が原子炉の中に閉じ込められている場合は安全ですが、今は原子炉の外に漏れています。

不安定な原子の集まりである放射性物質は、高速で飛ぶ銃弾のようなものを発射してから別の安定な原子に変わります。
この時に飛ぶ銃弾が『放射線』です。
小さい原子一つ一つの全てに銃弾が入っているので、たとえほんのわずかな量の放射性物質であっても、そこから発射されるタマ(放射線)は数千億をはるかに超える膨大な数になります。
ものすごい数のタマが適当な方向に次々と飛び出すのです。

すなわち放射性物質とは、タマ入が入っているのに引き金ゆるんでいて勝手にタマが発射される壊れた拳銃が、大量に集まっているようなものなのです。
各原子に仕込まれているタマの数は、放射性物質の種類によって1つの場合もあるし2つなどの場合もあります。

このタマこそが放射線で、タマの種類には4種類あります。
小さい順で、ガンマ線、ベータ線、中性子線、一番大きいのがアルファ線と呼ばれています。
小さなタマでも強力なエネルギーを持っているので、ガンマ線だからといって安心なわけではありません。

なおレントゲンで使うX線は、出方が違うだけでガンマ線と同じものです。
どのタマも材料は電子など、どこにでもあるものですので、止まってしまえば全く安全で何の影響もありません。
放射性物質も、仕込まれたタマをすべて発射してしまった後は安全な物質に変わります。

『放射性物質』の原子たちは、そのタマ(放射線)をいつ発射するのか。
その時期の目安が『半減期』です。
半減期の間に全体の半分の原子がタマを発射し終わるのです。

それは自宅でポップコーンを作る様子に似ています。
トウモロコシが徐々に破裂して半減期の間に半数がポップコーンになって、まだ残り半分はまだトウモロコシのままで、残りはその後に破裂します。

ただしポップコーンと少し違うのは、その後は半分の半分の半分といつまでも続くことです。
まだタマを発射していない放射性物質は半減期の2倍の期間で4分の1、3倍の期間でさらに半分の8分の1まで減ります。

放射性セシウム137の半減期は30年、放射性ヨウ素131は半減期が8日と言われています。
実際は、放射性ヨウ素は2つのタマを持っているので、半減期8日で最初のタマを発射してからもまだ不安定な状態が続き、その後に2個目のタマを半減期12日で出します。

危険なのはその時に飛びだす放射線というタマに体が当たることです。
放射線は目に見えないほど小さいタマなので1つ1つではたいした影響がありませんが、実際にはあまりにも膨大な数が発射されるので体にダメージを与えます。

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